二年間共通テスト無対策の東大生、共通テストに挑む。

共通テスト、それは全国の受験生が同時に受ける最大規模のテストであり、日本の一大イベントとも言える試験です。

この時期になると、受験から離れた大学生や社会人の方々も、かつての受験生時代の記憶を想起することでしょう。もちろん私もその一人です。

しかし、東大受験に向けて勉強に勤しんできた経験からか、私はかつての記憶を掘り起こすだけでは飽き足らず、次第に共通テストを実際に解いてみたいと思うようになってきました。

そこで今回は、二年間受験勉強から離れていた東大生は、共通テストでどれくらいの得点を取れるのか

さらに、東大二次試験への足切り(一次試験)を突破することができるのかを検証していくことにします。

実は昨年度も同様の企画を行っており、その際は1000点中「840点」という結果でした。

受験から離れていたとはいえまだ一年弱しか経っていなかったため、足切りはそれなりに余裕で突破できる点数を取ることができましたが、果たして2年経った今どれほど取ることが出来るのでしょうか。東大生としての威信をかけて、いざ勝負です。  

目次

本年度の戦略

試験を受けるにあたり、まずは目標を設定しました。

受験生時代は全科目90%〜95%という目標を掲げていましたが、受験生時代はおろか昨年よりも実力が落ちていることはほぼ確実なので、それを踏まえて手堅い目標を立てていきます。ひとまずこんな感じでしょうか。

地理 : 70  現代文 : 90  古文漢文 : 70 英リーディング : 85  英リスニング : 85
数IA : 90  数IIB : 90  物理 : 85  化学 : 85  情報I : 70
計820/1000

地理は本当に受験以降触れていないため70点に、国語については、現代文は暗記要素があまり無いためまだ高得点を取れると信じて90点に、古文漢文は流石に忘れているだろうということで6割程度に設定しました。

英語は、2年生になってから授業中に英語を取り扱うことがほとんど無かったため、実力は昨年よりかなり落ちていると予想しました。そのため昨年はリーディング100点、リスニング92点でしたが、今回はリーディング・リスニング共に目標を85点に設定しました。

理系科目については、数学は大学入学後もそれなりに勉強しているため90点に設定しました。物理・化学も大学で取り扱ってはいるものの、二年生になってから電磁気を中心とした専門的な内容を学ぶようになったため、昨年ほどは取れないだろうと予想し、共に85点に設定しました。

情報は大学一年生で少々勉強していましたが、二年生になりすっかり忘れてしまいました…。しかし、ある程度は数学等の知識で解ける問題もありますので、70点に設定しました。

昨年の東大理科一類の足切り得点は809点でしたので、この目標を達成できれば、多少の足切りの上下があっても突破できるでしょう。
それでは実際に全科目の試験を解き、その感想を実際の得点や難易度と共に述べていきます。
※ここから述べていく感想は、あくまで自宅で解いた際の所感であり、受験生の方々のように人生の懸った緊張感の中で解くことができたわけではないということを記しておきます。あくまで一大学生の感想としてご覧下さい。

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今年度の結果

地理【70/100】(体感難易度:普通)

なんと目標得点ピッタリ。少し驚きました。正直二年間も勉強していなかったためかなり苦戦するだろうと思っていましたが、実際に解いてみると意外と知識が残っているものです。

肝心の問題難易度についてですが、昨年からほぼ変わっていないように感じます。問題形式もあまり変わらず、基本的な知識と資料の読み取り能力があればコンスタントに点数を取れるような問題に思えました。

注目する点としては、地誌問題(アジアや南アメリカ等、特定の地域に関する問題)が出題されず、代わりに第六問にて3つの国際河川沿いの地域に関する問題が出題された点でしょうか。昨年はインド洋周辺(東南アジア・インド・東アフリカ)に関する問題が出題され、自分たちの受験した時よりも幅広い知識が要求されてきているように感じます。

国語【174/200】(体感難易度:普通)

思いの外得点することができた、というのが第一印象です。漢文に関してはまさかの満点。結構驚いています。

これは昨年も感じていたのですが、「現代の文章」問題に資料読み取りが追加された分、古文と漢文の問題数が減らされたものの、「現代の文章」自体は暗記や緻密な読解力を要求しないため、相対的に難易度が下がっているような気がしています。

現代文については、小説の語彙問題が消えた分読み取り問題が増え、少々難易度が上がったように感じました。しかし、小説の文章自体はそこまで難解なわけではなく、筆者のメッセージがわかりやすいような印象を受けました。

古文漢文についても、文章の展開が分かりやすく解きやすかったです。昨年と比較してみると、全体として展開が追いやすい文章が出題された年のように感じました。

英語リーディング【92/100】(体感難易度:やや易しい)

流石に二年連続満点とはなりませんでしたが、それでも英語に一年弱触れていない身としては大満足の点数でした。中高の積み重ねは伊達ではなかったようです。

昨年同様問題数は44であり、形式も変わりませんでした。新課程に入ってから現在の八問形式になりましたが、語彙数はむしろ減少しており、難易度としては2024年以前と比べて少し易しいものになったと感じています。

少し具体的に今年の問題の話をさせて頂きたいのですが、第一問2のイラスト選択の問題が少し曖昧な問題のように感じました。”take off the check shirts to show black tank tops inside”という文章だけだと①と③の二つが選べるような気がするのです…(私のtake offに対する解釈が間違っている可能性も十分にありますが)。今回はto show black tank tops insideに焦点が当たっていそうな文脈であったので①を選択したところ正解しましたが、少し解釈が分かれそうだなあという印象を受けました。

英語リスニング【89/100】(体感難易度:普通)

2年生になってからろくに英語を耳に入れていなかったので、試験中は大変難しく感じていたのですが、いざ蓋を開けてみると9割近い得点でした。まだ私の英語耳は衰えていないようです。

問題形式や難易度も昨年から大きく変わらず、毎日英語を聴き対策を積めば9割越えも全く夢ではない問題のような印象を受けました。

一つ難しくなった箇所としては、第四問Aが挙げられるでしょうか。共通テストが施行された2021年から昨年までは、第四問Aは四つのイラストの並び替えか4つの語句を図に当てはめる問題でしたが、今年はダミー選択肢が追加されて5つの選択肢から選ぶ問題になっており、少し戸惑いました。

数学IA【83/100】(体感難易度:やや難)

わたくし理系東大生、恥ずかしながら解き切る事ができませんでした。各大問、昨年と比べて難しくなっている印象を受けました。

しかし、今までの共通テスト数学の「難化」と今年の「難化」は少し性質が違うように感じます。

今年を含め、共通テスト数学では「誘導に沿って段階を踏んで解いていく→最後に難しい問題を前問利用によって解く」という流れが定番です。そして昨年までの問題の難易度の上下は、前者の「段階を踏んで解いていく」に左右されるものでした。2022年度の鬼難化もこのパターンのように思えます。

一方、今年の数IAは後者の「最後に難しい問題を前問利用によって解く」が、そこまでの解き方を深く考えずに丸々使い、第一問2の図形問題のように別の数値を使って一から解き直す形式となっていました。すなわち、順当に計算量が増えた結果「難化」したのが今年の数IAだと私は考えます。

来年もこのような形式が続くのであれば、計算力がこれまで以上にものを言うだろうと思えるような問題でした。

数学IIB【87/100】(体感難易度:普通)

やればできるじゃない、と思える点数でした。三角関数や複素数平面など、しばらくぶりに見た分野がひしめいていましたが、健闘出来たのではないかと思っています。

選択問題では数列・ベクトル・複素数平面を解きましたが、ここでも数IA同様、順当に計算量が増えている印象を受けました。特に複素数平面の大問は、昨年が初導入のためかかなり簡単であったのを踏まえると、要求されている計算量はかなり増えています。

一方、必答問題である微分積分(第三問)は計算問題がかなり減り、グラフ選択が中心の問題となっていました。昨年の数学IIBでも、微分積分の大問ではグラフ選択や極大値・極小値についての抽象的な問題が出題されていたため、今後もこのような理解重視の問題が増えるのかな?という印象を受けました。全体としては数IAに比べて点が取りやすいように感じます。

物理【50/100】(体感難易度:普通)

反省も反省、大反省しなければいけない点数を取ってしまいました。理系東大生としてこれからやっていけるのでしょうか。昨年は80点であったことを踏まえても、実力の低下が目に見えて明らかです。勉強しないといけません。

今回の失敗の原因はやはり「典型問題の解き方をド忘れしている」ことでしょうか。特に、大学二年生になってから扱わなかった力学・熱力学で大きく失点してしまいました。東大生といえど、やっていないことは忘れます。理科社会ならなおさらです。

言い訳はさておき、問題自体について述べていきます。全体として難易度はそこまで変わっていないように感じます(私が解けていないだけです)。

適度な計算と、基本的な実験をモチーフにした考察を要求してくる点は、共通テストが始まってからほとんど変わっていません。典型問題をしっかりものにしている受験生の方々であればコンスタントに得点できると思います。

化学【84/100】(体感難易度:やや易)

こちらは昨年より点数が上がりました。採点当初は疑問でしかなかったのですが、順当に難易度が下がったのでしょう。現に、公式を覚えてさえいれば数値を代入して終わり!という問題がどの大問でも大半を占めていたように思えます。

知識問題についても、「二年前の暗記事項なんてド忘れしてるし解けないだろうなあ」と思っていたら、そこまで細かい知識が問われることはなく安定して得点を積み重ねる事ができました。少し難しいと感じたのは無機(第三問)の最初の問題くらいでしょうか。NaHのHは陰イオンになる、と言うのは初見では分かりにくいものです。

ともかく、全体で見ると細かな知識を問う問題は減ったように感じます。昨年の石油の分留の問題はなんだったのでしょうか。脅すような真似はやめて頂きたいものですね。
全体として、基本的な公式への理解と知識があれば十分に得点できる問題だったと感じます。

情報I【78/100】(体感難易度:普通)

情報系の分野を大学で学んでいるからか、昨年(69点)よりも点数が上がりました。特に、プログラミングについての大問(第三問)を解き切る事ができたのも得点上昇に寄与しています(昨年はこの大問がまるで解けず撃沈しましたので)。

知識問題(ドメイン・WWWなど)が取れないのは、まあ仕方がないでしょう。ひとまず勉強0で情報Iここまで得点できた自分に拍手を送りたいと思います。

昨年より導入された新科目「情報I」ですが、問題形式も昨年から変わらず、難易度にも大きな上下はないように感じました。

少しここで述べさせて頂きたいのは「問題内容の進化」です。昨年の情報Iでは、お釣りの受け渡しや陶芸品の作成といった、あまり情報技術が関係なさそうなテーマに無理やり絡めて出題している印象が強かったです。昨年の情報Iを解いた方は、たかだか10人から集金するためだけに1万回のシミュレーションを行うMさんの奇行を覚えていらっしゃると思います。。。

しかし、今年の問題では、住民データのネット上での受け渡し・画像の合成・アトラクション待ち時間の表示など、実生活と関連があり、かつ問題との絡め方がかなり自然であったため、解いていてとても楽しかったです。

画像の合成で論理演算を用いる問題では、画像合成の仕組みに思わず「なるほどなあ」と納得させられました。実際に用いられている仕組みより簡略化されているとは思いますが。

大きな難易度変化もなく、かつ今後の出題が楽しみになる、そんな問題でした。

足切りは突破できるのか?

早速ここまでの得点を合計してみると、なんと807/1000!

なんとか8割を死守しました。

しかし、足切りを突破できるかどうかはかなり怪しいです。昨年の基準から考えると2点差で落ちてますからね。

一旦今年の共通テスト全体の難易度を整理してみましょう。私の基準からすると、英語リーディング・化学が易しくなり、数IAは難化、他は据え置きです。

うーーーーーん、怪しすぎる。数IAがそれなりに難化したことを考えると希望はあるかな…という印象です。ひとまず東大側の発表を待つとします。

最終的な所感・もし自分が今後二次試験対策もするなら

まとめると、現役東大生が二年間対策0の状態で共通テストを受けると、「大学の授業で取り扱う分野は得点が落ちることはないが、勉強していない分野はそれなりに落ちる(特に理科)」、という事がわかりました。古文漢文を勉強していない割に得点できたのは、中学校から古文漢文を授業で読んできた分積み重ねが大きかったからなのではないか、と予想しています。

最後に、もし私が受験生時代にこの得点を取ったと仮定してみます。平均的な東大合格者の共通テスト得点率はおよそ90%と言われています。すなわち、今回の得点率(80.7%)はかなーりまずいということになります。50点しか取れなかった物理は急いで参考書を読み直し、典型問題の定着から始めると思います。国語・英語・化学は9割近く取れているので、特に気にせず過去問の演習をスタート。数学は計算スピードが少し足りないようなので、二次試験まで毎日計算テストをやります。

最後になりましたが、共通テストは多くの受験生にとってはあくまで通過点だと思います。もしこれを読んでいるあなたが受験生であれば、共通テストの結果そのものはそこまで気にせず、しかしある程度二次試験に向けての勉強スタイルを見直す材料にするのが良いと思います。もしこれを読んでいるあなたが受験生以外の方であれば、これだけ覚えておいていただけると嬉しいです。
現役東大生でも、勉強していない科目の成績は容赦無く落ちる

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この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

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