【試し読み】それでも僕は東大に合格したかった

※本稿は、西岡壱誠(著)『それでも僕は東大に合格したかった』(新潮社)の一部を再編集したものです。

2月26日 試験当日

「……どうせバカなら、死ぬほどバカになってやる」
なんてったって、日本一頭のいい大学に挑むのだ。それなら僕は、日本一のバカにならないと。

闘わない奴等が笑うだろう。

それでもいい。笑いたければ笑えばいい。僕はそれでも、進むと決めたのだ。
進む先は、もしかしたら前じゃないのかもしれないが、それでも動かないよりはいい。
それが、僕の東大受験だ。

ドアが開く。
——さあ、行こう。
 

合格発表まであと8日

「よう西岡。彼女できた?」

3日前に東大を受験してきた学生に対して、その試験の出来を聞くこともせず、「彼女できた?」なんてバカみたいな会話をする人。この人が僕の師匠。僕に「東大」という目標をくれた人である。

「師匠、ありがとうございました」
僕は、改めて師匠に向き合う。
「東大を目指して勉強して、死ぬほど頑張って、2浪までして、いろんなものを捨てて、ここまで来ました」

「『いろんなものを捨てて、ここまで来た』と。本当にそうなのか?」
師匠は笑って、僕の言葉を断ち切った。
「やっぱり、なんもわかってねえな、西岡」

「自分が何がわかっていないのか、わからないままだったら、多分お前は東大には合格できないな。今のまま合格発表の日を迎えたら、お前はまた不合格だ」師匠は冷たく、僕にそう言い放つ。

「明日から、毎日1人ずつ、ここで人に会え。お前が今までの人生で関わった人と会え。1週間で、お前が捨ててきた、人間関係を清算しろ」

こうして、僕の「天国と地獄の狭間」の8日間が、自分の人生の走馬灯のような8日間が、幕を開けたのだった。
合格発表まで、あと8日。

それでも僕は東大に合格したかった

著者:西岡 壱誠
出版:新潮社(2022/9/20)

話題の現役東大生作家が自身の受験経験を描く、感動ドキュメント・ノベル!
高校1年のあの日、ある教師の一言でずっと落ちこぼれだった僕は途轍もない挑戦を強いられた。「自分を変えたければ、東大を目指してみろ」。結局2浪、3度目の受験を終えた時、その教師がまた想定外のことを言い出して……。偏差値35のド底辺から合格発表を迎えるまで、『東大読書』シリーズで知られる著者の原点の物語。


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この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

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