東大生が語る!競技かるたの世界①〜全国高等学校かるた選手権大会〜

東大生が語る!競技かるたの世界①〜全国高等学校かるた選手権大会〜

夏……。高校生にとってインターハイや全国大会など、日頃の部活や活動の成果を発揮できるかけがえのない季節。
それは「競技かるた」と向き合う高校生たちも例外ではありません。

皆さんは「競技かるた」のことを知っていますか?
漫画「ちはやふる」や、劇場版「名探偵コナン から紅の恋歌」などで見たことがある方もいるのではないでしょうか。
毎年7月末には「全国高等学校かるた選手権大会」が開催され、全国の強者たちが集まります。

そこで、本記事では、中学・高校の6年間、競技かるたに熱中していた著者が、伝統ある「競技かるたの世界」について紹介していきたいと思います!札と音に本気で向き合う高校生たちの様子は一見です。

この記事に巡り合ってくれた皆さん!ぜひこの機会に、暗記力・精神力・体力が求められる『畳の上の格闘技』こと競技かるたを始めてみませんか。

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目次

競技かるたとは?

みなさんは「かるた」と聞いて、何を思い浮かべますか?

・絵が描かれている札を広げる。
・読んだ言葉とマッチしている絵が描かれている札をどれだけ早く取れるかを競う。
・一番多く札を集めた人の勝利。

こんな光景を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。いろはかるたや上毛かるたなど、かるたといっても種類はさまざまです。特定の地域で行われているものも多くあります。

その中でも、競技かるたは少し違った「かるた」です。読まれた言葉に対応した札を取るというところは他のかるたと同じですが、さまざまな要素で異なってきます。ここでは、1番基本となる「読まれる言葉」について紹介します。他の要素に関しては次回以降の記事で紹介していきます。お楽しみに!

他のかるたとの違い〜読まれる言葉:歌〜

競技かるたで読まれる言葉はことわざや標語などではありません。その全てが約1000年前〜1500年前の日本で作成された歌(うた)で構成されています。

歌といってもポップスやロックといった音楽に言葉を載せる現代の歌とは大きく異なっています。当時の日本の貴族たちは「5-7-5-7-7の31音」で風景の綺麗さや自らの気持ちなどを表現していました。このリズムにそって選ばれた31音のことを「歌」と競技かるたでは表現します。競技かるたは、藤原定家と呼ばれる歌人により選ばれた100首の歌により構成されています。これを小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)と呼びます。

※歌は1首、2首、と呼びます。「いちくび」、「にくび」ではないですよ、「いっしゅ」、「にしゅ」です。

ではここで問題です。競技かるたの試合中に読まれる札はいくつあるでしょう。

「100首!」

引っかかってくださった人、ありがとうございます。正解は101首です。

「え、さっき100首っていってたじゃん、あと1首はどういうことだ!?」と思いませんか?
実は競技が始まる前に「序歌」と呼ばれる歌が読まれるんです。高校野球のサイレンのようなものですね。なお高校野球のサイレンは試合前と試合後に流れますが、競技かるたでは競技の終了時に流れる歌は特になく、競技終了直前に読まれた歌の下の句が読まれて拍手で終わります。

※下の句:5-7-5-7-7の後半の7-7の部分です。いろはかるたなどの絵が書いてある取り札に書かれています。これに対し、5-7-5の部分は上の句と呼ばれます。

この100首を用いて、熾烈な戦いが繰り広げられるのです。

全国高等学校かるた選手権大会

綺麗な赤色の近江神宮が見える。しかしその前には長い階段が立ちはだかる。まるで都道府県予選に勝ち上がってきた自分たちチームがさらなる試練に立ち向かうように。

毎年、7月末になると高校生の全国大会が行われます。団体戦では各都道府県から1チームまたは2チームが選出され、滋賀県の近江神宮でその頂点を決める戦いを繰り広げます。

ここまで読んで違和感を感じたあなたは鋭いです……!

滋賀県の近江神宮

「かるたって個人戦では?」と思う方も多いのではないでしょうか?
実は、競技かるたには個人戦と団体戦があります。(全国大会では個人戦も団体戦も行われます。)

個人戦は1対1で戦います。それに対し、団体戦も本質的には個人戦と同じです。どの選手も目の前の相手と1対1を繰り広げます。大きな違いは、「5つの個人戦が横一列に並ぶこと」「声かけができること」「5つの個人戦のうち、3つ勝てば勝利できること」です。

団体戦では、自分が負けてもチームが勝つ、自分が勝ってもチームが負ける、なんてことは日常茶飯事なのです。ここで鍵を握るのが「声かけ」。

競技かるたの団体戦では、以下の三つの条件を満たせば声かけが許可されています。

・歌が読まれていないときであること
・他の選手の妨害にならない範囲であること
・表現が他の選手への攻撃にならないこと

例えば、札をとったチームメイトに対して讃え、札を取れなかったチームメイトに対して励ます。そんな声かけが競技会場内に満ち溢れています。自分だけでなくチームメイトも勝たせる。自分は負けてもチームメイトに勝たせる。

礼儀作法を重んじる考え方や新型コロナウィルスによる飛沫対策などで、その存在自体が賛否両論ある部分ではありますが、私は声かけをし合ってお互いを高めあう高校生の姿を見ると感銘を受けてしまいます。(あくまで主観ですが(笑))

7月22日の土曜日に令和5年度の全国高等学校かるた選手権大会の団体戦が行われました。結果は東京都内にある関東第一高等学校が優勝。神奈川県の横浜平沼高等学校が準優勝でした。YouTubeでその様子がみられますので、高校生たちの勇姿をぜひご覧ください。

いかがだったでしょうか?

競技カルタの魅力を少しでも感じでいただけましたか?
次回は、さらに深掘りして紹介していきます!お楽しみに!

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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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