受験におけるタブーを集めた『浪人回避大全』。執筆したのは、「苦労しました、9浪だけに」というギャグでお馴染みの、9浪はまいこと濱井正吾です。今回は、濱井さんに執筆のきっかけや、本の見どころをインタビューしてきました!
浪人9年で知り尽くした「受験に挑む上でのタブー」
——濱井さんの処女作となった『浪人回避大全』ですが、内容を簡単に教えていただけますか?
一言で言うと、志望校に合格するために「やってはいけないこと」をあつめた本です。
私は9浪をしているのですが、たくさん浪人をしてしまったその背景には、受験におけるタブーをいっぱいやってしまったことがあると考えています。ということで、私や知人の多浪生がやってしまったタブーを整理し、失敗談としてまとめました。
——「やってはいけないこと」というのは新しい観点ですね!
そうですね! 失敗から学ぶことはたくさんあると思います。この本を読んで、ぜひ受験に落ちない受験生になってほしいです。
——大学4年生のときに執筆されたということですが、執筆のきっかけはどのようなものだったのですか?
私はもともと、多浪生をゲストに迎えてトークをする「トマホーク」というYouTubeチャンネルに出演していました。そのチャンネルのファンだということで、出版社の方からお話をいただいたのがきっかけです。
私自身、本を出すのが夢でしたし、自分の体験や考えを本としてまとめておけば、内容が整理されて、多くの人に伝えやすくなるのがいいなと思ったのも理由として大きいですね。
——この本は濱井さんの受験生活9年間の伝記みたいですね!
そうですね(笑)。9年間の失敗や挫折を詰め込んだ浪人回避バイブルとなっています。
——9年間の失敗が詰まっているということで、どれも思い入れがあると思いますが、とくにこだわった点はありますか?
自分の出せるものをすべて出そうという思いで書いたのですべてに思い入れはありますが、とくに気に入っているのは、赤本を真似た表紙のデザインですかね。赤本と何年も向き合ってきたので、この表紙はとてもしっくりきています。
騙されない受験生は、「言葉」や「数字」に疑問を持つ
——全部で105項目とかなり充実した内容の本書で、とくに読んでほしいおすすめの項目はありますか?
読んでいただきたいところはたくさんあるのですが、その中でも私がとくに気合いを入れて書いたのが、項目23の「社会に出たら学歴は関係ないと思う」ですね。
私自身、「社会に出たら学歴は関係ない」、「大学に行ってもなんの役にも立たない」と言われて育ってきました。でも、それは実際に大学に行ってみないと分からないのではないかなと思っていました。
私は3つの大学を経験しましたが、できることなら名門校に行ったほうがいいと感じています。というのも、名門校というのはいろんなネットワークがありますし、いろんなチャンスに恵まれていると感じるからです。
私が以前テレビに出演させていただいたのも、早稲田大学出身の放送作家の方が自分のことを知ってくださっていたからでした。
——そんな経緯があったんですね。他におすすめはありますか?
もう一つ、とくに読んでいただきたいのは、項目93の「偏差値を額面通りにとる」というものです。
受験生がよく見る偏差値というのは、模試や大学のまとめサイトで記載される2.5きざみの偏差値だと思います。それを見て出願するかどうかを考えたりすると思うんですけれども、ここには人の人生を狂わせかねない大きな落とし穴があります。
というのも、62.5という偏差値が記載されているとしたら、それは62.5から64.9までの偏差値をひとまとめにして62.5と記載されているのです。だから、62.5と65という偏差値があったとしても、実際の偏差値はそこまで違わないということもあり得ます。
あとは、同じ大学の中で、学部によって偏差値が異なるときも注意です。偏差値65の学部が並ぶ中、1つだけ62.5の学部があるとします。そんなときには、みんな62.5の学部に飛びつきますよね。62.5だから入りやすいだろうと。実際、62.5と65という数字にはあまり違いがないかもしれないのに、みんな同じことを考えてその学部を受験することで競争率が一気に上がってしまい、次の年に偏差値が上がるということはよくある話です。数字を全面的に信じるのは危ないという注意喚起の項目になっています。
自分の失敗を糧にしてほしい
——『浪人回避大全』というタイトルからは、高校生や受験生に向けたものという印象を受けます。濱井さんはこの本をどんな方に読んでほしいですか?
主には、高校生や受験生に読んでいただけたら嬉しいですね。
ただし、この本のタイトルを言い換えるとすれば、『失敗回避大全』とも言えます。受験に限らず、資格取得や昇進試験など、さまざまな挑戦に失敗しないための知識が詰まっていますので、社会人の方が読んでも役に立つ内容になっているのではないかなと思います。
——かなり幅広い失敗談が掲載されているんですね。今作は受験に軸足をおいた企画でしたが、今後はどのような本を執筆したいですか?
自身の失敗体験を反面教師として伝えるコンテンツを、これからも作っていきたいですね。
失敗をさらけ出すというのは、私自身勇気が必要なことでしたし、他の人もそうだと思います。でも、失敗から学べることは必ずあると思うんです。現時点で、失敗関連のコンテンツというのは多くは存在しないからこそ、たくさん失敗した自分がそこに切り込んでいきたいですね。
著者プロフィール
浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと
日本能率協会マネジメントセンター (2022/4/27)
9浪の末、早稲田大学に一般受験で合格。『バンカラジオ』(登録者65万人)、『トマホーク』(登録者16万人)といった若年層に人気のエンタメYouTubeチャンネルに出演を続けながら、「多浪生である著者に学ぶ、受験においてやってはいけないこと」をまとめた一冊。一見すると「そんなことやるわけない」「そんなことやったら落ちるに決まっている」という項目もあるが、自身も多浪生であった著者や友人の多浪生が実際にやってきたことであるため、説得力があるものである。