自己肯定感を高めるには?〜認知行動療法の観点から解説!~

自己肯定感を高めるには?〜認知行動療法の観点から解説!~

突然ですが、皆さんは自己肯定感が高いですか?

そもそも自己肯定感とは何でしょう?

今回は、実は誰でも高めることができる自己肯定感について、大学で臨床心理学を専攻している秋元保菜実(あきもと・ほなみ)が、認知行動療法の観点から解説していきます!

目次

自己肯定感とは?

自己肯定感を一言で表すと、「自分には価値がある」と思える感情のことです。

自分なら大丈夫!と思うことができるため、人間関係や仕事など、あらゆる局面でポジティブな結果を招きやすいといえます。最近では、SNSで他人と自分を比較して劣等感を抱いたり、自分の生活を常に外部にさらすことで疲れてしまったりすることも少なくありません。

自己肯定感が高いと、どんなメリットがあるのでしょうか?!

自己肯定感が高い人の特徴

・辛い出来事からの立ち直りが早い

・他人からの評価に左右されない

・良好な人間関係を築くことができる

・失敗を恐れずに、主体的に行動できる

自己肯定感がある人は、自分の行動や将来の見通しに対してポジティブであり、そうでない人と比べて物事を前向きに捉える傾向があります。自己肯定感が高い人はストレスコントロールが上手な人も多く、楽観的である場合も多いでしょう。楽観的過ぎて仕事や生活に支障がある場合はそれも考え物ですが、楽観的な人は、85歳以上まで長生きする確率が高いこともボストン大学医学部の研究(*1)で証明されています。

自己肯定感が低い人の特徴

・ありのままの自分を受け入れられない

・他人の持ち物に目がいく

・承認欲求が高い

・物事を否定的に受け取りやすい

自己肯定感が低い人は、「自分らしさ」や自分というアイデンティティを自身で確立するよりも、どうしたら他人からよく見られるかを重視して自分を作ろうとする場合があります。常に自分と他人を比較して、劣等感を抱いたり、疲れてしまうこともあります。その結果、自己肯定感が低くなってしまうといえます。

自己肯定感が下がってしまう行動や認知

・失敗を必要以上に反省する

・何でも自分のせいだと思い込む

・完璧主義

自己肯定感を高めようとしても、無意識にそれを妨げる行動や認知のパターンがあります。

人間は、ミスをする生き物です。そうとは分かっていても、自分がミスしてしまうと必要以上に脳内で反省会が行われ、最終的に「あぁ、自分はダメだな」という考えに陥ってしまいます。

もう一度言いますが、人間は、ミスをする生き物です。

責任感が強い人ほど、ミスを全て自分のせいだと考える傾向にあります。必要以上に自分を責めてしまっていたら、まずは一回、温かいお茶を飲んで、客観的にその思考を断ってみることからはじめてみてはいかがでしょうか。

 認知行動療法で考える、自己肯定感を高める秘訣!

認知行動療法とは、クライエント(問題を抱えている当事者)の問題を、相互に関係している認知・行動・感情・身体の4つの側面から捉える心理療法です。新しい経験を与えて行動を変化させる行動療法とは違い、自分を追い詰めるような認知の仕方に着目するのが特徴です。

例えば、コップに水が半分入っている状態を「半分も入っている」と捉えるか、「半分しか入っていない」と捉えるかの違いも、人によって異なる認知の代表例だと言えます。認知行動療法は薬物を用いないため、副作用の心配がほぼありません。また、薬物療法と比較しても、同等の治療効果があると評価されています。

コップに水が半分入っている状態

自分に特有の考え方のクセに気づく

原因帰属理論の分類図

上図は、Weiner, B.(ワイナー,1979)が発表した、原因帰属理論の分類図(*2)です。人が何かに失敗した際、どこに原因を帰属させるかを可視化したものです。

一般的に、「自分の能力のせいだ」と考えてしまう内的統制×安定タイプは、失敗やミスで落ち込みやすく、自己肯定感を下げやすい傾向にあります。反対に、「単に運が悪かった」と考える外的統制×不安定タイプは、失敗を引きずりにくく、次の行動に早く移るといえます。一度、自分特有の考え方のクセについて考え、受け入れてみることもいいでしょう。

自律神経を整える

気持ちがざわざわして、何となく不安だという時は、自律神経が乱れている可能性が高いです。

その場合は、目の前にあることから一回離れて、自分の自律神経を整えることにフォーカスしてみてはいかかでしょうか。例えば、温かいお風呂に良い香りのバスボムを入れてみたり、甘いプリンを食べてみたり…自分への労いの気持ちを添えて、ご褒美をたっぷり与えてみましょう。

脳内でポジティブな思考に変換する

もし、自分がネガティブ思考になっていると気づいたら、脳内で「でも」と囁いてあげましょう。

「でも」という接続詞の後には、反対の言葉が続きます。だから、「でも」と自分に問いかけると、脳は勝手にポジティブなことを考え始めようとするのです。

ありのままの自分を受け入れる

最後は、ありのままの自分を受け入れてあげるということです。日々生活する中で、自分のココが気に入らない、他の人の方が優れている、などと感じることがあるかもしれせん。しかし、生きている限り、それは誰もが感じたことがある気持ちでしょう。全てに満足して心地よく生きている人は、地球上のどこにもいません。

だからこそ、自分の些細な変化や負の感情に気づいて、「今、私はこんな気持ちになっているのね」と客観的に受け入れてあげる。そうしてあげるだけで、フッと心が軽くなることもあるものです。

結論:自己肯定感を高めるには?

人は生きていれば、誰でも不調に陥るものです。生活に支障はなくとも時々不安感に駆られる人、常に自己肯定感が低いと感じている人、感情の起伏が激しい人など私たちは多様なコミュニティの中で生きています。しかし、全員に共通していえることは「今の、ありのままの自分を受け入れてあげる」ことです。ネガティブな思考になっている時は、「自分は今疲れているのだな」と俯瞰してあげる。それだけで心がふっと軽くなったりするものです。

自分の存在を一番認めてあげることができるのは、自分自身なんですね!

参考文献

*1 あなたは楽観的? だったら長生きしやすい=米研究

*2 ワイナーの原因帰属理論


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この記事を書いた人

早稲田大学文学部で臨床心理学を専攻している。チームビルディングやマネジメントに関心がある。公園で見知らぬ子どもと犬を愛でることが日課。趣味は散歩とカフェ巡り。

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