カルペ・ディエムの宮島凜講師(教育学部3年生)と縹峻介講師(理学部3年生)が2023年3月27日、東京都にある武蔵野中学高等学校の中学3年生から高校2年生の19人に生徒会活動探究ワークショップを行いました。
3時間の講義では、宮島講師と縹講師の高校時代の生徒会経験を交えながら、生徒会の意義や具体的に生徒会役員として何を目標に活動していくのか、について考えを深めていきました。
本記事では、この講演の様子をメディア事業部の縹がレポートします!
高校時代に生徒会長を努めていた東大生達
宮島講師と縹講師は2人とも高校生の際に生徒会長を努めていました。
しかし、生徒会長と一言で片付けるのは早計で、実際に活動した内容は2人で大きく違ったようです。2人の正反対とも言える生徒活動について紹介します。
宮島講師「私は『生徒主体の学校づくり』を目標に生徒が提案しやすい環境の構築と生徒の当事者意識の向上を目指して生徒会活動をしてきました。『生徒会は全校生徒が所属する組織なのに活動しているのは一部の役員の生徒だけ…トップダウン型の生徒会活動を全員が主体的に参加していくボトムアップ型の活動に変えていけば、生徒一人一人がもっとやりたいことに生き生きと取り組めるのでは?』と考えたんですね。私の母校には「自分には無理だから」と挑戦することを諦めてしまう生徒が少なからずいて、もったいない!と強く思ったことがきっかけです。生徒会活動で行った取り組みの具体例は、公開型の目安箱である『アイデアペーパー』。これは、生徒から寄せられた、学校をより良くするアイデアや意見について生徒会役員が返信を行い、掲示を通して全校で共有できるようにした仕組みです。『アイデアペーパー』を活用して、生徒から広く意見やアイデアを集め、共有することで、生徒一人一人の当事者意識が向上しました。」
縹講師「僕の学校の生徒会での目標は『行事を上手く回す』ことだったんです。宮島さんの生徒会とは真逆で、だいぶ実務に寄っていた感じですね。例えば学園祭に際しては、クラスの出し物調整やパンフレットの作成、財務管理、ステージ発表裏方、当日使用資材の管理と調達などなど、主要な業務のほとんどを担当させてもらってました。で、僕の生徒会のここが凄かったと思ってるんですが、これらの業務は基本的に生徒会が主導してて、先生方には『僕たちが業務をお願いする』形式でした。なので、僕たちに裁量がある範囲では割と好きにやらせてもらってましたし、だからこそ『やらされている感』は全く無く、活動を楽しめたんだと思います。」
紹介した2人の活動を通じ、「どういった生徒会を目指すのか」について各々構想を膨らませ、まとめてもらいました。
KJ法でまとめるアイディア
皆さんKJ法って御存じでしょうか。今回のワークショップのように何人かがまとまって意見を出して発表する時って、話題が散逸して収拾がつかなかったり、結局一番解決したいのは課題は何なんだ、ってなることも多いのではないでしょうか。そんな時に試してもらいたいのはこのKJ法。4つのステップでアイディアを効率的に整理していきましょう。
- STEP1 : 思いついたアイディアを付箋に書き出していく
- STEP2 : アイディアを、グループごとにまとめる
- STEP3 : まとめたグループの関連性を考える
- STEP4 : 重要度の高いものから文章化し発表
今回のワークショップでは「生徒会で今後取り組みたいこと」というテーマについて、KJ法を用いて、実際に何を目標として一年間活動していくか、考えてもらいました。
実際に生徒さんが思っていたこととして、
- 体育大会を盛り上げたい
- 生徒会役員と、その他生徒や先生との関係性を深めてたい
- 生徒会役員内でも話し合う機会を多くしたい
- 時代に合っていない校則を見直したい
などがあげられました。
もちろん、この一年で全ての目標を達成することは難しいと思いますが、まずは生徒会役員の中で、学校生活における問題意識を共有することが出来ました。では、この大きな目標に対して、実際にどのような活動を通して実現していくのか、具体的な案を出していきましょう。
マンダラチャートで広がるアイディア
大きな目標を掲げたら!実現のための具体案を広げていくのに有用なのが、このマンダラチャートです。
実は、今やメジャーで大活躍している大谷翔平選手も高校一年生の時に「8球団からドラフト1位を獲得する」という大きな目標を掲げてこのチャートを作成していた、と話題となった代物なんです。
と言っても作り方はシンプルで、
- STEP1 : 「最も核となる目標」を一番中心のマスに書き込む
- STEP2 : その周りの8マスに、「最も核となる目標」に直結する小目標を書き込む
- STEP3 : 8マスに書き込んだ小目標を、周りの8マスの中心に書き写す
- STEP4 : 小目標を達成するための具体的な案を書き出す
実際の例を見てみましょう。今回の生徒会活動ワークショップに参加した1グループのものを紹介させていただきます。
このグループの方々は、最も核となる目標に「生徒の声を通す」ことを設定しました。
そして、この目標を達成するために、現時点で生徒の不満が多い「規則の改善」や「制服の改善」、生徒の学校生活における満足度を高めるための「行事の強化」や「有意義な部活動」といった小目標を設定しました。
最後に、「行事の強化」に対する具体策として「文化祭や体育祭中のスマホの使用可」や「部活動対抗リレーの実施」「予算の増加」「宿泊行事の増加や変更」といった、自分たちが実際に行動することで改善できる課題を書き出しました。
参加した生徒会役員の声 ~このワークショップを通じて~
探究活動を終えた生徒さんのアンケートでは、
「想像が膨らんでたのしかった。今後やるべきことがわかった。」
「色んな人たちの目指す生徒会というものが色々と知れ、満足できた。」
「学校によって生徒会の方向性は違って、自分たちもその方向性を決めていけたと思う。」
と言った声が多く、様々な生徒会の在り方を模索し、その一端に自分が関われていることを自覚できたことにより、この一年の生徒会活動にモチベーションが上がったという人も居ました。
宮島講師より
私は中高6年間ずっと生徒会役員として活動をしてきて、学生生活の思い出は?と聞かれたら真っ先に生徒会活動と答えるくらい思い入れがあります。今回の生徒会活動探究ワークショップは、自分自身の経験をベースに生徒会活動のスタートダッシュとして「こんなことができたらよかったな」を形にしたものです。
高校生徒会長として「生徒主体の学校づくり」に向けて挫折しそうになりながらも学校を変えていった経験から、生徒会活動をもっと盛り上げていくことで、学校教育の中で主体性を育むことができると実感しました。学校を「小さな挑戦を踏み出し、成功体験を積んでいける場所」、「失敗しても立ち上がれる場所」、「仲間と一緒に好きなことに熱中できる場所」、そして「自分の可能性を信じてあげられる場所」、そんな場所にしていきたい。生徒会活動はそれを実現できる可能性を持っていると思います。
「生徒会って自分には関係ない遠い存在」と思ってしまいがちですが、「実はそんなことないんだ!」「生徒会をもっと活性化したらわくわくするようなことができそう」と多くの中学生・高校生、そして先生や保護者の方に感じていただけたらなと思っています。
縹講師より
やっぱり、自分達で考えて行動に移せるから、生徒会活動って楽しいと思うんです。逆に、先生から言われっぱなしの生徒会って、生徒も先生も生徒会役員も、誰も得しないと思いませんか?だからこそ、今回のワークショップでは、生徒の皆さんが自分達で実際に動けることを策定し行動に移せるようになってもらいたい、と思いながら進めていました。
高校時代、そんな風に生徒会長をやってたからこそ、大学内やカルぺ・ディエム内でも主体的に仕事を楽しめている自分が居るんだと思います。僕は正直、それが行き過ぎてワーカホリック気味なんですが、皆さんは、生徒会の仕事を、楽しむ、ことを経験してもらいたいです。せっかくの高校生としての時間ですから。
カルペ・ディエムでは、学校様ごとのお悩みに対応した講演・講座・ワークショップをご提案&実施しております。
偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠をはじめとして、地域格差・経済格差など、さまざまな逆境を乗り越えた現役東大生講師たちが、生徒に寄り添って対応します。
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