宇都宮短期大学附属高等学校 アカデミックマインド 第9回

カルぺ・ディエム講師の、布施川講師(文学部4年)橋本講師(教育学部3年)宮島講師(教育学部4年)朝倉講師(教養学部2年)塚原講師(慶應大学1年)が、2024年2月3日に宇都宮短期大学附属高校の高校1年生を対象に「アカデミックマインド育成講座」という講演会・ワークショップを開催しました。

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アカデミックマインド育成講座とは?

AIなどさまざまな技術が発達する中、これからの世代に求められるのが「思考力」です。共通テストや大学入試でも「自分で考える力」が試されるようになっています。

本講座では、現役東大生と一緒に「身の回りにあふれる疑問」と「五教科の勉強」を結びつけた課題に取り組み、自ら問いを立て、仮説を作り、検証する一連の思考法「アカデミックマインド」の獲得を目指します。

勉強がより楽しく、身近な存在になるだけではなく、獲得した思考法を大学受験の問題に応用していく講座です。

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全10回からなるアカデミックマインド講義の今回は第9回目です。

本記事では、イベントの様子を実際に講義を担当した講師の宮島が紹介します!

今回の講義では、アカデミックマインド講座で学んだことを活かして、東京大学の法学部の推薦入試に挑戦してもらいました!

目次

推薦入試って?

「推薦入試って、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)の2種類があるんだけど、知っていた?」という問いかけからスタート。

指定校推薦やAO入試という言葉は聞いたことがあるという生徒も多かったですが、実際にどのような入試なのかは分からない様子です。

近年、大学入試における推薦入試の割合が高まってきており、なんと、令和3年度の学校推薦型選抜・総合型選抜が占める割合は全体の50.3%にもなります。(参照:【参考資料2-4】大学入学者選抜関連基礎資料集 第4分冊(制度概要及びデータ集関係)令和3年度国公立私立大学入学者選抜実施状況 )

今回の講義では東大の推薦入試に挑戦してもらうため、まずは推薦入試の仕組みやどのような力が求められるのかを説明しました。

推薦入試では、「前に踏み出す力、課題に向き合う力、他者と協働する力」が重要です。

アカデミックマインドとも重なる部分が多いですよね!

また、東大教育学部の推薦入試で入学した宮島講師からは、高校時代の生徒会活動の話や、実際に推薦入試に向けてどのような準備をしたか、体験談を話してもらいました!

ディスカッションをしてみよう

「ディスカッションとディベートの違いって説明できる?」

問いかけをすると、

「ディベートは賛成と反対に分かれて、戦うよね」

「ディスカッションはみんなの意見をまとめて、結論をだすイメージ」

このような声が聞こえ始めました。

ディスカッションでは、全員が情報を共有して、意思決定や議論に参画することで、多様な意見を集約・整理し、まとめていくことが重要です。

「ディスカッションで大切な視点」

・多様な意見を集約できているか(発散)

・整理できているか(整理)

・まとめられているか(収束)

また、推薦入試の選考過程にディスカッションがある場合、発言数や説得的な意見を言うことで高評価が得られると思いがちですが、実際には、「新しい意見、説得的な意見を言う=高評価」ではないです。

議論の全体像を掴んで、方向性に沿った意見を言ったり、情報を確認・整理したりすることが大切です!

また、ウォーミングアップとして「学校帰りの買い食いは許容?禁止?」というテーマでミニディスカッションもしました!

賛成、反対それぞれの視点で考え、グループごとにしっかりと結論を導いていました。

アカデミックマインドで学んできた分解思考が活かされていますね!

そして、東大法学部の推薦入試のディスカッション問題に挑戦するにあたり、グループごとに役割分担をしました。

司会、タイムキーパー、書記など自分の得意な部分を考え、役割を決めたら、いよいよ東大の推薦入試問題にチャレンジです!

東京大学法学部の推薦入試問題に挑戦!

東京大学法学部の推薦入試では、チケット転売に関するディスカッション課題が出題されました。

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各種イベントのチケットの転売規制について、あなたは、どのように考えますか。

「チケットの転売」を規制することは、誰にとって、どのような意味をもつのか。また、それにはどのような限界や問題点があるかについて、議論してください。

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今回は、以下の点について、ワークシートを活用してグループごとにディスカッションをしてもらいました。

・チケット転売の規制に賛成?反対?その理由は?

・利害関係者への影響は?

・発表にむけてチームで意見をまとめよう

ウォーミングアップの効果もあり、スムーズにディスカッションがスタートしました。

「転売を規制しないと、本当にチケットを買いたい人が定価で買えなくなってしまう」

「チケット転売があれば、お金を出せばチケットを買うことができるってことだから、お客さんにとってはメリットもあるんじゃない?」

「問題は高額でチケットを転売して、転売ヤーが儲けていることじゃない?定価とか、定価より低い値段で売るなら問題ないと思う」

難しいテーマにやや難航している場面もありましたが、このように国・主催者・一般客・転売ヤーなど様々な視点から考え、深い議論をすることができていました!

発表の際には、グループ同士で意見交換をする場面も見られました。

そして、講義の最後には、宮島講師からこのようなコメントがありました。

「東京大学の推薦入試では、学部ごとに選考内容が違います。例えば、法学部ではディスカッションがありますが、私が受験した教育学部ではプレゼンテーションがありました。みんなには今日、チケット転売に関するディスカッションに挑戦してもらったけど、異なる意見をまとめたり、チケット転売が誰にどのような影響を与えるのかを深く考えたりするのは難しかったと思います。ディスカッションには論理的批判的な思考力や、他者の考えを尊重して協働しながら結論を導く力が求められます。今後、アカデミックマインド講座に限らず、色々な問い…時にはすぐに答えがでない問いに直面すると思いますが、『なぜこれが問われているんだろう』『どのような力が求められているんだろう』という視点を意識して取り組んでいってほしいです!」

最後に

いかがだったでしょうか。

今回はアカデミックマインド育成講座の特別講義ということで、東京大学法学部の推薦入試に挑戦してもらいました。

今までの講義で学んだことを活かし、積極的にディスカッションに取り組んでいる姿を見て、生徒のみなさんの成長を感じることができました。

ディスカッションで求められる論理的批判的思考力は、アカデミックマインドを育む上でも重要な力です!今回学んだことを今後の講義に活かしていってほしいなと思います。

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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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