ビジネスシーンなどでたびたび話題となるのが質問力です。質問力はなぜ必要だと言われるのでしょうか? 質問力を身につけるメリットからその鍛え方まで徹底解説していきます。
質問力とは
質問力は、その名の通り相手に質問をする能力です。会話の一環でもあるので、コミュニケーション能力の一つということができるでしょう。
仕事の多くは、1人ではなく複数人で協力して行うものです。チームプレーでは、お互いの考えを理解することが重要ですよね。そのための手段としての質問力は、重要なビジネススキルの一つということができます。
質問するのは簡単?
「良い質問」をするのはすごく難しいことです。なぜなら、「ただ質問をすればいい」というわけではないからです。
例えば、皆さんが数学でわからない部分を先生に質問したいとしましょう。下の2つの質問だったら、どちらの方が良い質問だと言えるでしょうか?
A.「この資料の作り方がわからないんですけど、どうやって作ったらいいですか?」
B.「この資料をこういうターゲットに向けてこんな風に作りたいのですが、効果的な方法はありますか?」
Aの質問は、漠然とわからないことを伝えているだけですね。一方で、Bの質問は自分のわからないところを明確に示した上で、質問をすることができています。相手から自分が欲しい情報を引き出すためには、Bのような質問をする必要があるのです。
このように、良い質問をするためには、まず自分が疑問に思ったこと、気になることを整理する必要があります。さらに、それに答えてもらえるようにするには、質問の意図が相手に伝わるような質問の仕方をしなければなりません。相手に「結局何が聞きたいの?」と思われないためには、簡潔にわかりやすく伝えることが必要なのです。
質問力を身につけるメリット
質問力を身につけると、自分にとっても相手にとってもさまざまなメリットがあります。
有益な情報を得ることができる
質問をするということは、自分がもっと知りたいこと、理解を深めたいことについて聞くことができるということです。自分が聞きたいことをうまく整理して質問をすることができれば、自分にとって有益な情報を得ることができるのです。何かしらの目標を持って質問をしている場合は、その目標も達成しやすくなるということができます。
相手に対して関心を持っていることが示せる
質問という行為は、「もっと知りたい」という気持ちの表れです。一方的に聞いて終わりにするのではなく、質問を通して双方向にコミュニケーションを取ることで、相手に対して関心を持っていることを示すことができます。誰しも、自分の話に関心を持ってもらえて嫌だと思うことはないでしょう。関心を示すことで、相手も好意的な印象を持つようになり、人間関係を円滑に進めることができます。
お互いの思考を深めることができる
質問をする目的の一つには、理解が曖昧な箇所を明らかにし、理解を深めることにあります。すると、良い質問をすることによって、理解をより深めることができます。そして、質問の効果は質問をする側だけにあるものではありません。質問をされた相手も自身の思考を整理し、考えを深められると言えます。質問により、お互いの思考を深めることができるのです。
思考力を鍛えることができる
良い質問を考えるのは難しいことだと言えるでしょう。話の内容を理解するのはもちろんのこと、その中でもより知りたい部分を見つけ、どのように聞くのが良いかを考えなければならないからです。発表会などでの質疑応答は時間が決まっていることも多いため、短い時間で質問を考えなければなりません。このような短い時間での理解と疑問の言語化は、思考力を鍛えることにつながります。
質問の種類
質問には、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」という2つの種類が存在します。自分が聞きたいことは、どちらの型で聞くのが良いのかを判断できるようになると良いでしょう。
クローズド・クエスチョン
クローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問や、答えられることが限られている質問のことを指します。例えば、「最近ハマっていることはありますか?」「それは何ですか?」というような質問です。答えが定まっている場合が多いため、聞きたいことを確実に聞くことができます。
オープン・クエスチョン
オープンクエスチョンとは、相手に自由に答えてもらう質問のことを指します。例えば、「最近〇〇にハマっているのはどうしてですか?」というような質問です。答え方が自由なため、相手の答えも複数存在する場合があります。その中でも、自分が聞きたいことを引き出せるような質問の仕方をできるかが鍵となります。
良い質問と悪い質問
質問には良い質問と悪い質問が存在します。それぞれの特徴を押さえていきましょう。
良い質問
①その質問の目的が明確であること
質問をするからには、「なぜそれを知りたいのか」という質問の目的を持つことが重要です。質問の目的を持つことで、自分が何を聞きたいのかを明確にすることができる上、相手にとっても答えやすい質問になります。時間に余裕がある場合は、質問と合わせて質問の目的も伝えるようにすると良いでしょう。
②単なる知識ではなく、相手の意見や経験を聞く質問であること
単なる知識は、googleなどで検索すればわかることです。質疑応答が終わった後にでも調べるようにしましょう。そうではなくて、その人にしか聞けないようなことを質問することで、質疑応答の時間を有意義に使うことができます。
悪い質問
①何を聞きたいのかがわからない
質問はコミュニケーションの一環です。聞きたいことが相手に伝わらなければ、ほしい回答をしてもらえない可能性が高くなります。そうなると、質問をする意味がなくなってしまいますよね。
意見や疑問をうまく整理できないまま質問をし始めてしまうと、何が聞きたいのかよくわからない質問になってしまいがちです。
②調べればわかるような単なる知識を聞いている
良い質問でもお伝えしましたが、単なる知識を聞くのであれば検索した方が詳しい情報を得ることができます。単なる知識を聞いてしまっていないかを確認してから質問をすると良いでしょう。
質問力を発揮できる場面
質問力の概要とその必要性を解説してきました。質問力を発揮することができる場面はさまざまですが、ここからは質問力が活きる場面を三つほど紹介します。
講演などの対人インプット
講演などは、終了後に質疑応答の時間が設けられている場合が多いです。この質疑応答を活用できれば、講演に参加した効果をより高めることができます。
講演に参加するということは、その講演から得たい情報があるということだと思います。その目的が講演を聞くだけで達成されたのであれば良いですが、そう簡単にうまくいかないことも多いでしょう。講演は多くの人向けに作られている場合が多いので、ピンポイントの情報はあまり伝えられないことが多いのです。
講演の内容を聞いて基礎的な理解を深めた上で、自分が真に得たい情報を質疑応答で引き出すことで、講演に参加する効果をより高めることができます。
読書などの非対人インプット
学術書やビジネス本など、一冊の本を読み終わったあとに、その本に何が書いてあって、何が得られたのか説明できないという経験をしたことがある人もいると思います。読んでいるときは理解しているつもりでも、説明しろと言われると途端にできなくなってしまうのはどうしてなのでしょうか? その原因は、一方的に情報を浴びるだけの読書になっていることにあります。
「読書は相手がいないのだから、一方的になるのは仕方がないことなのでは?」と思った人もいるかもしれません。しかし、本の向こう側にはかならず書き手が存在します。書き手の意図を理解し、時に疑問をぶつけながら本を読み進めることで、情報が左から右に流れていく読書ではなく、しっかり頭に残る読書をすることができるのです。
この時に活きるのが質問力です。「これはなんで?」「どうしてそう思ったの?」と質問をぶつけながら本を読み進めることで、情報を整理し、深い理解を促すことができます。
このような読書法を紹介している書籍もあるので、より詳しく知りたい人は参考にしてみてください。
上司と部下のコミュニケーション
皆さんは、「コーチング」という言葉をご存じでしょうか? 「コーチング」とは、相手の話に耳を傾け、質問や提案などをして相手の内面にある答えを引き出す目標達成の手法のことを指します。
似た言葉に「ティーチング」という言葉がありますが、「ティーチング」は知識や技能を教えて成長させることが軸なのに対して、「コーチング」は自身の気づきによる成長をサポートすることが軸という違いがあります。自分の気づきが起点となっていることから、一方的に教えられるよりも自主性を重んじることができます。
「コーチング」において重要なのが、質問力です。部下や後輩が自らの自主性を保ちながらも、成長につながる気づきが得られるような質問をすることが必要となります。
コーチングの方法が詳しく説明されている書籍もあるので、より詳しく知りたい人は参考にしてみてください。
質問をするときのポイント
質問は相手がいてこそ成り立つ行為です。良い質問をするにあたって、相手への気配りという観点で気をつけると良いポイントを解説していきます。
むやみに相手の意見や考えを否定しない
質問はコミュニケーションの一環です。むやみに相手の意見や考えを否定してしまうと、相手も質問に答えようという意欲がなくなってしまうと言えるでしょう。
ただし、これは反対意見を持ってはいけないということではありません。反対意見を伝えるときは、トゲトゲした言い方を避けようということです。相手も自分も、気持ちの良いコミュニケーションが取れるように心がけましょう。
答えやすい聞き方をする
前置きがやたらと長かったり、聞きたい内容が明確ではなかったりするような質問を聞いたことがあるという人もいるでしょう。このような質問の仕方は、自分が聞きたいことを相手に伝えることが難しく、結果的にほしい情報を質問から得ることができなくなってしまいます。相手にとっても、「こんな答えでよかったのか……?」というモヤモヤが残ってしまいますよね。
自分のためにも、相手のためにも、答えやすい聞き方をするように心がけましょう。
相槌などの反応にも気を配る
質問をした後、皆さんはどのように振舞っていますか? 何度も言うようですが、質問はコミュニケーションです。お互いに気持ちの良い振る舞いをすることが求められます。
すると、質問に回答してもらっている時も、相槌などの反応を示すことが重要です。相手にとっても、聞いてもらえていることがわかりますし、全く反応してもらえないよりも気持ちがいいはずです。
質問力を鍛える方法
質問力は先天的なものではなく、後から鍛えられるものです。質問力を鍛える方法を解説していきます。
質問力が高い人の真似をする
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」だと言います。つまり、学ぶことは真似ることから始まるということです。
これは質問力を鍛える時も同じです。良い質問をする人をよく観察してみたり、良い質問だと思ったものをメモに取っておいたりすると良いでしょう。
質問の型を覚える
質問には型が存在します。この型を覚えておくことで、質問を考えやすくすることができます。人それぞれ、使いやすいと感じる型は異なりますが、ここでは例として三つの質問の型を紹介します。
・定義を確かめる
例)「〇〇という言葉は一般的に〜という意味で使用されていますが、あなたはどのように〇〇という言葉を捉えていますか?」
・5W1Hの中で語られていない部分の詳細を聞く
例)「この研究はどのような手法を用いて行われたのですか?」
・新しい視点を提示して考えを聞く
例)「コーチングにより部下が変化したという話は理解しましたが、コーチングをする側である上司にも何かしらの変化が期待できるのでしょうか?」
質問をする目的を明確にする
質問をするとき、一番に意識すべきなのが「質問をする目的」です。「理解をより深めるには〜〜の部分を知る必要があるから」「〜〜を知って××に役立てたいから」というように、質問をする目的を持つようにしましょう。
質問をしてより詳しく話を聞くことで、自分が何を得たいのかを明確にするということですね。目的が明確であれば、質問もシャープなものとなり、自分にとって有益な情報を引き出せる質問をすることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
生きていく中で、質問をする場面は無数にあります。その一つ一つで、自分のためになる情報を得られるようにするためにも、ぜひ質問力を鍛えてみてくださいね。
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