東京都西東京市にある武蔵野大学高等学校様にて、2022年の1年間「アカデミックマインド育成講座」を実施させていただきました。「アカデミックマインド育成講座」とは、日常の中に問いを立て、仮説作り・検証をする一連の思考法を学ぶことで、勉強する意味を自ら見いだし、課題発見・解決能力の獲得を目指す講座です。
2022年12月13日、全10回の講座を完走した高校2年生の皆さんが、その集大成として西東京市立保谷小学校の5年生の皆さんに「アカデミックマインド」を勉強してもらう授業を実施しました。
本記事では、この授業の様子をメディア事業部のKANESHIROがレポートします!
テーマは「お年玉はなんでもらえるのか?」分解して考えることで答えを導く!
元気な声が響き渡る西東京市立保谷小学校にやってきたのは、武蔵野大学高等学校の2年生10名!2つのグループに分かれて、小学5年生に向けて授業を実施します。今日の授業に向けて、テーマ決め・内容相談・資料作り・模擬授業など、一生懸命準備をしてきた皆さんが、少し緊張した様子で教室に入っていきます。
まずは1つ目のグループが授業開始!
「今日の目標は、自分で問いを立てて考えてみること!難しく思うかもしれないけれど、頭の片隅に置いておいてね」と話します。
続けて「お正月と言われて思い浮かぶものはある?」という質問をすると「お餅!」「お賽銭!」「年賀状!」などさまざまな意見があがります。教室があたたまったところで、今日のテーマ「お年玉ってなんでもらえるんだろう?」の問い立てが始まります。
1つ目のグループでは、このテーマを4つのステップに分解して、進行していきます。
まずは「お年玉の習慣はいつから始まったのか?」
縄文時代・平成時代・江戸時代・令和時代の4つの選択肢を出して、それぞれの時代の特徴を聞きながら、答えを導いていきます。正解の江戸時代が発表されると、当たった生徒は大盛り上がり!授業を楽しんでいる様子がうかがえます。
次の質問は「お年玉はお金じゃなかった!では最初は何だったのか?」。
生徒が悩む中「お正月に関係する食べ物」というヒントが出されると「お餅だー!」という声が各所であがります。
では「お餅からお金に変わったのはなぜか?」。
街が田園から都市に変わった写真やお米の生産量のグラフなど、ヒントを少しずつ出しながら、答えに導いていきます。
グループワークで行われたこの質問では「農家が減ってお米が少なくなったから」「街が豊かになって田んぼが減ったから」「税金がお米からお金に変わったから」などさまざまな視点で意見があがります。
正解の「街が豊かになり、農家や畑が減って、自分たちでお餅をつくことが減り、代わりに手間なく用意できるお金になった」という説明を聞くと、生徒たちが「なるほど〜」という表情でうなずきます。
そして最後に、今日のテーマ「お年玉ってなんでもらえるの?」についてグループごとに答えを考えます。「1年間頑張ったご褒美」「お餅が伸びるように、子供にすくすく育ってほしいから」「神様が子供を守ってくれますようにという願いを込めて」など、最初は分からなかった質問に、生徒たちが答えを出すことができました。
「子供が1年間元気に過ごして、成長してほしいという願いが込められた習慣がお年玉になったから」という説明を伝えて、授業は最後のまとめに入ります。
「今日の目標、皆さん覚えてますか?お年玉はなんでもらえるのか?を知ることではなく、自分で問いを立てて考えてみることが目標でしたね。今日のように難しい問題や何から手をつければいいか分からないときは『問題を分解して考える』ということをしてみてください。」
「日常生活の小さなことに疑問を持ち、分解して、どういう問いを立てられるかを考えてみることが大切です。その問いが当たっていなくても問題ありません!自分で考えてみるプロセスが重要です。」
授業が終わると、生徒からは「難しい問題がいっぱいあったけど、グループで協力して解くのが楽しかった」「最初は全く分からなかったけど、分解して考えたら分かったような気がしてよかった」という感想があがりました。
「お年玉」という1つのテーマで、たくさんの知識を得られる!
2つ目のグループは、同じテーマと4つのステップに「お年玉はどうして”子供だけ”がもらえるのか?」という視点も加えて、別のクラスで授業を進行します。
最初のステップに入る前に「そもそもお年玉って何だと思う?」という質問を投げかけ、次のように説明します。
「お年玉というのは、神様からもらう新しい魂のことだったと言われています。昔の人は、新年に新しい魂をもらうことで、1年間を健康に生きられると考えていたんです。」
「農作物がたくさん実るのを助けてくれる神様を『年神様』と呼びます。お正月に年神様を迎えて、魂をもらうから『おとしだま』と呼ばれるようになったという説が有力です。」
この知識を踏まえて、4つのステップを進めていく生徒たち。最初は難しかった内容も、分解を進めていくうちに理解が深まってきます。
最後に「お年玉はなぜ子供しかもらえないのか?」という質問に対して、グループごとに答えを出します。「大人は自分で稼げるけど、子供は稼げないから」「新しい魂をあげて、子供に長生きしてほしい願いを込めている」「去年の魂についた厄を払うをため」「お金の使い方を勉強してもらうため」などさまざまな回答があがります。
「昔は、家の代表である、お父さんややおじいちゃんだけが、新しい魂をもらっていました。けれど魂は目に見えないので、子供にあげるときは、目に見える形としてお餅をあげていたそうです。これが今子供だけがお年玉をもらえるなごりになっています。」
こう説明すると、生徒たちは関心した様子で、高校生たちを見つめます。
「今日は私たちから説明を伝えましたが、お年玉という1つのテーマだけでも、たくさんの知識を調べて、得ることができます。日常生活で何か不思議に思ったことがあれば、積極的に調べてみてください。」と最後に伝えて、授業が無事終了しました。
インプットからアウトプットへ!授業を終えた武蔵野大学高等学校の皆さんの感想を一部紹介!
今回の取り組みの参加理由を教えていただけますか?
年下の子相手になにか授業をするというのは逃すと二度と無いと思い、そして自分の進路のヒントになればと思い参加しました。
自分の教わったことを実際に行動に移し、生かしてみたいと思いました。
将来、教員になりたいと思っているので、授業を一から作って、教えるということができると知り、 良い機会だと思ったからです。 ・学生の頃から幼稚園の先生になりたくて少し年齢は上がるけどいい経験になるかなと思い立候補をさせていただきました。
授業準備する段階で難しかったことは何ですか?
教える相手が同い年でもないため、 小学五年生がわかるように表現をかみ砕いたり、 どうやったら飽きずに楽しい思ってもらえるか試行錯誤するのが一番苦労しました。授業を受ける側でなく、 初めて授業をする側になったので時間配分を考えたりするのも難しかったです。
難しかったところを一言で表すと「教育って難しい!大変!」です。結果を説明することって意外とできるんですがそのプロセスをつくる、 そして伝える、 この過程が大変でした。分かりやすい言葉に直すのはもちろん、 そこからスライドを見やすいように工夫する。 加えてクラスでもいろんな子がいるのでさまざまな可能性を考慮して言葉を発する。 教える側に立つことの難しさを知りました。 リハーサルが4時間を超える日もあり、その都度先生方が確認してくださって本当に感謝しています。
実際に授業をしてみて、新しい発見や勉強になったことを教えてください。
しっかりと声を張らなければ声がいき渡らないこと、学び手との一種のコミュニケーションになるなと思いました。
今回は小学生に授業をする目的でプロセスを組んでいったけど、 普段の学校生活で、 友達に問題の解き方などを教えたりする時に生かせるのではないかと思いました。
一方的ではなく、参加しやすい授業をすることで、 授業してる側も、受けてる側も、楽しく授業ができることを知ることができました。また 難しい問題でもみんなで協力して話し合いをすれば答えを出せること、 分解して考えることで少しでも、 簡単に答えを考えることができることを、改めて学びました。
授業をするだけでなく、 他のチームの授業を見ている際にも、「わたしたちの授業にこれを取り入れたらさらに面白くなったかな?」など準備から実際の授業までさまざまなことを勉強することができました。
今回の取り組みで一番楽しかったことは何ですか?
授業中に私が問いかけたことに元気よく反応してくれたことが、嬉しかったし、 楽しかったです。
小学生とコミュニケーションを取りながら、 問題の答えを考えてみたり、 私たちが投げかけた問いに疑問を持った時に発言してくれたり、 手を挙げて答えてくれたのが、 とても楽しかったです。 みんな楽しく笑顔で授業を受けているのを見て、 とても嬉しく、 楽しくしゃべることができました。
小学生から自分では思いつかなかった考えがたくさん出てきたこと。初めは「全然分からない」と言っていた小学生も問いを分解することにより、 最後には答えを出せたことを喜んでいるのを見られたことが嬉しかったです。
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