東大受験生必見!『足切り』を徹底解説!

最高学府、東京大学。毎年多くの受験生が東大合格を目指して勉強を続け、試験に臨んでいます。そんな東大受験と切っても切れない関係にあるのが「共通テスト」です。大学受験をするほとんどの受験生が受けるこのテストですが、東大生にとっての共通テストは「足切り」、すなわち二次試験を受けることができるか否かが賭かった一大イベントともいえます。今回は、東大受験における共通テストの「足切り」について詳しくお話ししていこうと思います。

目次

東大の入試での足切りとは?

そもそも「足切り」とは何を指すのでしょうか。受験において「足切り」とは、共通テストで基準となる得点以上の点数を取れなかった受験生が、大学の個別試験を受ける資格を剥奪されてしまうことを指します。この「足切り」という制度はとりわけ志願者の多い国公立大学で実施されます。すなわち、大学側が個別試験を受ける受験生の人数を少なくするために行われるのです。東大受験においてもこの「足切り」が実施されます。しかも、東大受験生の学力レベルはとても高い水準にあるため、生半可な共通テスト対策では「足切り」をくらってしまいます。では、どれほどの点数をとれば良いのでしょうか。

足切り制度の基本的な仕組み

東大の足切りの基準は、各科目の点数には依存せず、共通テストの総合点数にのみ依存します。すなわち、ある教科の出来が悪くても、他の教科で補うことが可能ということです。しかし、東大の足切りはそこまで甘くはありません。例えば、今年の理系の足切りの基準点は理科一類で703点、理科二類で682点、理科三類で691点であり、文系においては文化三類で623点となっておりと、平均して8割弱ほどの得点率が求められていることがわかります(今年は文科一類と二類において足切りは実施されませんでした。これについては後ほど解説します)。つまり、他の教科である教科を補うと言っても、大きな失敗はできないということです。どの科目も平均して高得点を取らなければならないのです。

また、東大受験の際、共通テストの得点は110/1000(11%)に圧縮され、二次試験との配点比は1:4にまで縮みます。つまり、共通テストでの得点差は微々たるものであり、東大受験における共通テストとは「足切り」としての色がなおのこと強いのです。しかし、これは共通テストの得点は足切り基準点のギリギリを狙えば良い、という話ではありません。1点の差で合否が決まるのが受験の世界です。共通テストにもしっかり取り組むべきでしょう。

ちなみに、先述のように足切りとは個別試験を受ける人数を調整するためのものなので、志願者が少ない学部には足切りが課されないこともあります。今年の文科一類・二類に足切りが課されなかったのも同様の理由です。

過去の足切りラインの変動を分析

ここで、東大の足切り基準点の過去五年間にわたる推移を見てみましょう。

ここ5年の傾向とその要因

文科については、2020年から順に以下のようになっています。

文科一類:621, 562, 520, 479, 226

文科二類:612, 足切りなし, 435, 454, 足切りなし

文科三類:575, 600, 595, 足切りなし, 623

文科の足切り基準点は平均7割弱といったところですね。三類が最も足切り基準点の平均が高くなっています。また、二類に関しては足切りが実施されていない年がここ5年で2回もあり、ある意味狙い目と言えるかもしれません。また、足切りが実施されている年の基準点を見ても、他に比べてやや低いように見えます。

理科についても、以下のようになります。

理科一類:681, 699, 630, 543, 703

理科二類:626, 629, 646, 711, 682

理科三類:611, 534, 529, 640, 691

全体として8割弱が基準点と言ったところでしょうか。東大理系といえば理科三類が頭一つ抜けて難しいと世間では言われていますが、足切り基準点という面だけで見ると理科一類・二類のほうが基準点の平均は高いです(理科一類:651.2 理科二類:658.8   理科三類:601.0)。

ここで全体の推移を見てみると、2022年にほとんどの科類で基準点が下がっていることがわかります。これは、2022の共通テストの難化に伴うものと考えられます。2022年の共通テストの平均点の低さが記憶に新しい方も多いと思います。また、5年全体で見ると、文科では総じて足切り基準点は低下傾向に、逆に理科では上昇傾向にあることが読み取れます。原因としては、昨今の社会全体での理系志向のためかそもそも文系受験生全体が減っていることが挙げられます。実際、ここ五年間の東大受験においては、理科では足切りがなかった年はありませんが、文科では3回足切りなしの処置が取られています。

足切りを突破するための勉強法

ここからは、足切りを突破するための勉強法、すなわち共通テストで安定して高得点を叩き出すための勉強法をご紹介していきます。

高1〜高2に向けて

共通テストで問われるのは、科目に関わらず、基本的な知識とその応用力です。まだ受験生ではない方々は、今は各科目の予習と復習を着実に行うことが重要です。その一方で、定期的に共通テストの過去問を解くのもおすすめです。なぜなら、東大を志望する高校生にとって、共通テストの過去問はある科目を復習するのにちょうど良いレベルだからです。共通テストを長期休みなどで国数英だけでも解き、共通テストの感覚を掴みつつ二次試験の地盤を固めていくのが良いでしょう。

高3・浪人生に向けて

この時期になると、共通テストばかりに時間は割けません。勉強の軸は常に二次試験対策におくことになると思います。ただ、12月からはいったん二次試験対策から離れて、共通テスト対策に専念しましょう。1ヶ月前からで間に合うのか、と思われる方もいらっしゃると思います。確かに始めるべき時期に個人差はありますが、東大の二次試験に向けて勉強をしている受験生であれば、一定水準の知識と応用力は担保されているはずです。今までの自分の勉強を信じ、ラスト1ヶ月半で共通テストへの追い込みをかけましょう。

また、勉強スタイルとしては[過去問・予想問題集を解く]→[採点]→[数日後にやり直し]のサイクルがお勧めです。このサイクルを回し続け、共通テストの形式に頭を慣らしていきます。時間ももちろん本番通り測って演習しましょう。また、本番同様の緊張感を得たい方には、「鉛筆で解く」「本番の科目順で解く」「マークシートを用意する」などもお勧めです。

効率的な時間配分と重点的な科目

そして、足切り突破のためには「苦手科目をつぶす」ことが何より大事です。特に受験生は共通テスト対策に割ける時間が少ないので、得点が伸び悩む科目については、間違えた問題をストックしておき、自分の間違えやすい問題の傾向を掴むのが良いでしょう。また、掴めた傾向はノートなどにまとめておき、本番にそのノートを見直すのも手です。

足切りとその他の合否判定基準の違い

足切りの役割は、先述のようにあくまで「個別試験を受ける生徒の数を調整する」というものです。ですので、足切りを突破した先に二次試験があるわけで、足切りを突破したから合格、というわけはありません。しかし、共通テストの点数は合否に如実に関わってきます。東大の合否は、共通テストの点数を110点に圧縮し、440点満点の二次試験と合算して判断されます。

この時、共通テストが110という中途半端な数字に圧縮されるのにはちゃんと意味があるのです。

点数だけではない合否判定の要素

110/1000という割合で圧縮する時、よほどキリのいい点数を取らない限り、圧縮後の点数は小数点以下まで続きます。これにより、受験生の二次試験との合計点数は小数点以下まで差が付くことになり、合格者数の大きなブレがなくなるのです。逆にいえば、共通テストの圧縮後の0.1点単位で合否が決まりかねないのです。足切りさえ突破できればいい、という短絡的な思考には陥らず、共通テストでも余裕のある得点を取ることが大事です。

他大学との足切り制度の比較

他の多くの大学でも足切り制度は導入されています。しかし、東大の足切り制度と他の大学との一番の違いは「足切りの影響を受ける受験生の数」です。他の多くの大学でも足切りは実施されていますが、学部ごとに試験が細分化されている影響で足切りされる受験生の数が少ないのです。実際、東大以外で足切りを導入している大学で実際に足切りが発生するのは大半が医学部の試験くらいです。一方で、東大は文理合わせて科類が6つしかなく、受験生人気も相まって、各科類に二次試験を受けることのできる人数を大幅にこえた人数の受験生が集まってしまうのです。

他大学受験生へのアドバイス

かといって、東大以外かつ医学部以外の大学・学部を受験する人は共通テスト対策をおろそかにしていいのかと言われると、全くもってそんなことはありません。多くの大学は共通テストの点数と個別試験の点数を合算して点数を決めますし、個別試験との配点比も東大より大きいところがほとんどです。他大学受験生は、東大受験生以上に共通テスト対策をしなければならないという意識を持つのが良いでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。今回は東京大学の二段階選抜(足切り)について紹介しました。
東大受験生の皆さん!全力で走り切りましょう!ありがとうございました。


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この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

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