過去問はいつから解けばいい?東大生が解説!

 志望校が決まったはいいものの、過去問をどうやって使えばいいかわからない、いつからどれくらいやればいいの?と悩んでいる方は多いことでしょう。

 今回は、過去問演習のやり方について、現役東大生碓氷明日香が解説します!

目次

過去問演習の目的

 そもそも、過去問演習は何のためにやるものなのでしょうか。それを理解した上で演習するだけで、志望校には確実に近づきます。ここでは3つの主な目的を説明しますね。

現在地が把握できる

 まず、過去問を解くことで志望校のレベルと自分の現在地の差を知ることができます。点数という形で見える化することもできますし、全体的に解けた感じがするかどうかで感覚的にもわかるでしょう。理想と現実のギャップをつかむことは、それからどれくらいの努力をすればいいかを明確にするために必要なこと。過去問を解くことで、それができるのです。

傾向を分析できる

 次に、志望校の入試でどのような問題が出題されているか、どのような形式の試験なのか、傾向を知ることができます。各教科、何分で何問出題されるのか、どの分野が出されやすいのか、それらをわかっておくだけで、試験が全く未知というわけではなくなり、心持ちにも余裕が出てきますよね。

戦略を立てられる

 そして、傾向を分析できるということはすなわち、「自分なりの戦略を立てて試験に臨める」ということです。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉がありますね。これは孫子の兵法の言葉なので、戦いのために書かれたものですが、受験でも同じことが言えます。敵(志望校)の入試を分析して、自分の得意不得意に合わせて時間配分や解く順番を決めておくことで、本番で焦ったり大きな失敗をすることはなくなるはずです。その練習台として過去問はあるのです。

過去問の入手方法

 では、いざ過去問を解くことにしたとして、どのように手に入れればいいのでしょうか。東大生の経験も踏まえて、説明していきます。

おすすめの入手時期

 過去問題集として有名な「赤本」。大学ごとの入試問題を数年分ずつ集めた赤い表紙の本で、本屋に行くとズラリと並んでいるのを見たことがある人も多いでしょう。

 赤本の最新版は、多くの学校で7月末あたりに発売されます。早いところで6月には出ていたり、10月まで出なかったりすることもあるようですが、基本的に早めに買った方がいいです。特に人気校は売り切れてしまうこともあるので、7月には購入しておきましょう。

 まだ志望校が確定していない人は、受ける可能性のある学校のものを買っておくか、決まった瞬間に取り寄せることをお勧めします。

具体的な入手の仕方

 主な入手方法は

①購入する

②ダウンロードする

③コピーする

④譲ってもらう

の4つです。メジャーな大学であれば、書店に行けば売っている可能性が高いですが、ない場合は取り寄せてもらったり、Amazonなどの通販サイトで購入したりできます。

 また、無料会員になれば直近数年分の過去問をダウンロードできるサイトや難関大学の過去問と解答、講評を載せた予備校のサイトなどがあるので、そこからダウンロードするのも手です。

 学校には多くの大学の過去問が置いてあることがあります。また、塾に通っている人は塾で探してみたり聞いてみたりすると、最新版ではないにしても、ほしいい過去問が置いてあるかもしれません。それをコピーさせてもらうのもいいでしょう。私は1年生の時、地元の大学の過去問を塾でコピーして解いていました。

 先輩から譲ってもらうということもできるかもしれません。知り合いで同じ学校を受ける、または受けた人がいたら、お願いしてみましょう。受験が終わったら、よほどの参考書オタクでなければ、過去問は売るか捨てるかなので、快く譲ってくれるはずです。

赤本or青本?

 有名大学になると、「青本」という駿台文庫の過去問集も売っています。赤本と青本どちらがいいか、という議論がよくなされていますが、青本がある場合は青本を買った方がいいでしょう。解説がより詳細に書かれているので、じっくり読み込めば必ず志望校に近づけるはずです。

 ただ、問題集というのは、人によって合う合わないがあるので、必ずどちらも見てみて、好きな方を選ぶのが一番。解説の書き方や本の扱いやすさなどを比較してみて、自分に合うものを見つけてください。

いつから始める?

 では、ここからは皆さんが気になっているであろう、いつから過去問を解くべきなのかについて説明していきます。

共通テストの過去問

 まず、共通テストを受ける人は、その過去問演習をすることになると思いますが、二次試験に共通テストが影響してくる場合は、11月から12月のはじめあたりから過去問演習を始める必要があります。

 共通テストの演習をしていると、80の壁や90の壁といった「点数が思うように上がらないスランプ」が必ずやってきます。それを乗りこえて高得点を目指すには、ある程度の時間が必要なのです。

二次試験(個別試験)の過去問

 一方で、国立の二次試験や私立の個別試験の過去問は、まず高3の夏休みに少なくとも1年分解くことが大切です。夏の段階で自分の現在地と志望校のレベルの差を味わうことで、それ以降の勉強方針を決めやすくなります。

 また、志望校の出題傾向を早く知っておくことで、勉強の効率を上げることにもつながります。例えば、英語の文法について問われる問題が苦手だとして、それが志望校ではほとんど出題されないのであれば、その分野の苦手克服の優先度はそれほど高くないです。でも、頻出の単元が苦手なら、すぐに克服に向けて動き出さなければなりません。早い段階で一度過去問に触れておくと、出題傾向をある程度つかむことができて、残り少ない時間の中で優先順位順に勉強していくことができるのです。

 ちなみに、夏休みと言っているのは、それより早いとまだ高校の学習範囲が習い終わっていないことがあり、過去問を解く上で正しい実力が測れないかもしれないからです。学校の進度が早く、すでに高校範囲が終わっている人はもっと早く触れることも可能でしょう。

何年分解くべき?

 では、夏休みに少し触れ始めて、最終的に何年分解くのが理想なのでしょうか。ここでは、第一志望校とそれ以外の学校に分けて説明します。

第一志望校

 まず、第一志望校の過去問は最低10年分解くのが必須です。大学が課す試験はその大学がほしい人材の現れです。求められていることを読み取り、それにふさわしい対策をするためにはそれなりの量をこなして相手を分析することが必要です。

 有名大学の場合は25か年分の教科別過去問集が出ていることがあります。苦手科目やまだ分析が足りないと思う科目はそれくらい積み重ねてもいいと思います。ちなみに、私は東大数学の過去問30年分ほどを2周しました。ただ、それをするために他の科目がおろそかにならないように気をつけてください。

それ以外の学校

 滑り止めで受ける学校や受ける可能性がある学校は、3~5年分解くことをお勧めします。あまり多く第一志望以外の学校の対策に時間を割いてももったいないですし、ただ一方で対策を怠りすぎると安心して第一志望校の受験に向き合えないでしょう。傾向を把握し、ある程度練習をするためにはこれくらいがちょうどいいでしょう。

科目別おすすめ過去問演習法

 おまけに、科目別の過去問演習法を書いておきます。もちろん、学校によって出題形式はそれぞれですし、個人で得意不得意が変わってくると思うので、参考程度に。

国語

 国語の記述は添削してもらうことが大事です。解答例と自分の解答を見比べても合っているかどうかわからないことが多いですよね。学校の先生に添削をお願いしたり、塾の添削講座を取ったりして、自分の解答を改善するにはどうしたらいいのかを教えてもらいましょう。

 そして、解説を読む上で、どのポイントが必要でどういう経緯でその要素を拾ってきたのか、一般化するように抑えていくと解答の書き方が見えるようになっていきます。

 古文漢文は問題を解いた後に、文章の中で足りていない知識を拾ってその都度覚えることが大切です。そのためには、全訳を読みつつもう一度問題文を読んでみて、例えば古文では品詞分解をするなど、さらに細かく文章を分析する必要があります。そうすれば、自分には何が足りていないかを自覚できるでしょう。もちろん、これは過去問に限った話ではありません。

数学

 数学はひたすら問題を解いてください。数をこなせばこなすほど、解法の一般化はしやすくなります。なぜその解法を取るのか、なぜそこでその式変形をするのか、解答の一行一行を分析し、大事な要素を抽出していけば、数学は点数が取れるようになっていきます。

 また、数学の試験で戦略が必要な点は「時間配分」なので、必ず時間を測って過去問演習をしましょう(もちろん他の教科もですが)。どのように時間を使うのか、自分なりの戦略を見つけるために、いろいろ試してみることをお勧めします。

 数学が苦手な人は特に、自分がわかっていることを前面に押し出す解答を書く練習をすることも大切ですね。1点でも部分点を取って、点数を積み重ねることが合格に近づくために一番大事なことですから。

英語

 英語は大学によって出題形式が大きく異なる教科です。だからこそ、しっかり傾向を分析して、必要とされている力が何なのかを知り、それを伸ばす。そのための過去問演習です。

 必要な力がわかったら、それを伸ばす専用の問題集を使って弱点強化をし、もう一度過去問を解いてみる。これを繰り返して、自分の実力と試験のレベルとのギャップを少しずつ縮めていきましょう。

 また、英語も古文漢文と同じく、問題を解いた後に自分の足りていない知識を拾ってその都度覚えることで、少しずつレベルアップしていくことができます。母語とは違うという点で、これら3つの勉強法はそう大きく変わりません。

理科

 主要教科に対して、あまり対策の時間を割けないかもしれないので、要点を抑えることが大切になってきます。どの科目も当たり前に知識は必要とされていて、その上で問題文から条件を正しく読み取り、それらを組み合わせて正しく計算し、答えを出すという流れがあるわけですが、そのどの段階でミスが発生したのか、一問一問分析してみて、同じ過ちを繰り返さないためにどうするかを考える。知識が足りていなければ、教科書に戻る。問題の条件の使い方がわかっていなければ類題を探して解く。計算ミスは何をすれば減るか対策を考えて講じる。そうやってミスを減らしていくと、着実に点数は伸びていくはずです。

社会

 社会はどの科目も基礎知識の上に資料読解が乗っている形なので、間違えたらそのどちらの段階ができてなかったかを確認する必要があります。もちろん、科目によって知識の量は全然違いますが、取りこぼしている知識はその単元ごと復習してまるごと思い出しましょう。資料読解で間違えたのなら、解説をじっくり読んだり、資料を調べたりして正しい答えを導くために必要な考えを取り入れるようにしてください。

記述問題は、作題者がどのような答えを求めているかを想定しながら書いて、それが正しかったかどうか解答例で確認するようにしましょう。大学側の意図がつかめると自然と点数も高くなるはずです。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。過去問を手に入れて演習する上で、さまざまな壁にぶち当たるかもしれません。志望校がすごく遠く感じることもあるでしょう。でも、着実に点数を積み重ねていくしかありません。この記事が、その一助となりますように。

 そして、この記事を見るのが少し遅かった人へ。中には夏休みなんてもう終わってる…という人もいるかもしれませんね。そんな方に伝えたいことは「過去問を解く目的を見失うな」ということです。最初に、過去問を解く目的について触れました。これが達成されることが大切なので、焦らず、本来の目的だけ見つめてください。でも、年数はしっかりこなせるように計画的に努力してくださいね。

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この記事を書いた人

大学では教育学部基礎教育学コース所属。世界史が好きだったことを踏まえ、教育の国ごとによる違いやその歴史に興味を持っている。趣味はアニメ鑑賞、読書。

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