6月20日は世界難民の日~難民についてもっと知ろう~

6月20日は世界難民の日~難民についてもっと知ろう~

6月20日は「世界難民の日」です。2000年に国連総会で決定され、1951年の「難民の地位に関する条約」を記念して設定されました。この日は、難民への支援と連帯の表明、難民問題への意識向上、具体的な支援行動の推進を目的とされています!

目次

難民とは

そもそも、難民とはどのようなひとのことをさすのでしょうか。

難民とはどんな人のこと?

難民とは、自分の国での迫害や紛争から逃れて他国に避難している人々のことです。国際法によれば、1951年の「難民の地位に関する条約」で、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団への所属、または政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあるため、自国の保護を求めることができず、または求めることを望まない者」と定義されています。
難民と移民はしばしば混同されますが、実は両者は大きく異なるのです。移民は、より良い生活条件や経済的機会を求めて自発的に他国に移住する人々であるのに対し、難民は必要に迫られて自分の住む場所を離れなければならなくなった人々のことをいいます。また、国外に逃れる難民のほかにも、国境を越えず国内で避難する国内避難民(IDP)も多くいます。

難民の受け入れ

難民が生まれる原因はさまざまで、主なものとして戦争、内戦、迫害、自然災害などがあげられます。難民たちは故郷を離れ、安全な場所を求めて長い旅路に出ますが、その道中は非常に過酷で危険に満ちています。

難民保護の重要な原則の一つに「ノン・ルフールマン原則」があります。これは、難民が迫害を受ける恐れがある国に強制的に送り返されることを禁じる国際法上の原則です。この原則は難民の基本的人権を守るための重要な支えとなっているのです。

世界で多くの難民を受け入れている国々としては、トルコ、レバノン、ヨルダン、ウガンダ、ドイツなどがあります。これらの国々は、主な紛争地域と隣接しており、数百万人もの難民を受け入れ、彼らに対する支援を提供しているのです。

日本に難民はいるの?

実は、日本における難民の数は比較的少ないです。2023年時点で、日本には約2,000人の難民が滞在しており、その出身国はミャンマーやシリア、アフガニスタンなど様々です。

日本の難民受け入れ状況が他国と比べて非常に厳しい理由には、日本政府は難民認定基準を厳格に運用しており、そのため認定率が低いことが大きな一因とされています。これには政府の政策や方針だけでなく、文化的・社会的な背景も影響しているといえるかもしれません。

世界の難民の現状

昨今注目を浴びている地域

 ウクライナ

ロシアとの紛争が続く中、ウクライナでは数百万人の人々が家を追われ、避難を余儀なくされています。ウクライナの難民問題は、2014年に始まったロシアとの紛争が根源にあります。ロシアがクリミアを併合し、ドンバス地域で親ロシア派武装勢力との戦闘が始まったことで、多くのウクライナ人が国内外に避難を余儀なくされました。特に2022年にロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始したことで、状況は急激に悪化し、数百万人が国外に避難しました。避難民の多くはポーランド、ドイツ、チェコなどの近隣諸国に身を寄せています。国際社会はUNHCRを通じて支援を行っていますが、物資不足や生活環境の悪化が大きな課題となっています。

 パレスチナ

現在注目されているもう一つの地域としてパレスチナが挙げられます。パレスチナの難民問題は長年にわたり続いており、その歴史は1948年の第一次中東戦争に遡ります。この戦争により、約75万人のパレスチナ人が故郷を追われ、難民となりました。その後も、イスラエルとアラブ諸国との間で繰り返される紛争や戦争により、難民の数は増加し続けました。現在、約500万人のパレスチナ難民がガザ地区、ヨルダン川西岸、レバノン、シリア、ヨルダンに居住しています。UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が教育、医療、食糧支援などを提供していますが、資金不足や政治的な緊張が続く中での支援活動は困難を極めています。

いまなお難民問題が残っている地域

 ミャンマー

ミャンマーでは、少数民族ロヒンギャに対する迫害が長年続いています。特に2017年には、ミャンマー軍による大規模な攻撃により、約70万人のロヒンギャがバングラデシュに避難しました。彼らは今も難民キャンプで過酷な生活を強いられています。この問題の背景には、ロヒンギャが国籍を持たない無国籍者として扱われ、基本的人権を剥奪されているという事実があります。

 アフガニスタン

アフガニスタンでは、40年以上にわたる戦争と内紛が続いています。1979年のソ連侵攻、1990年代の内戦、2001年のアメリカ主導の侵攻、そして2021年のタリバン復権により、多くの人々が国外に避難しました。イランやパキスタンには何百万ものアフガン難民が暮らしています。彼らの生活は厳しく、就業機会の不足や教育の欠如が深刻な問題です。

 シリア

シリアの内戦は2011年に始まり、これまでに約500万人が国外に避難しました。トルコ、レバノン、ヨルダンが主要な避難先となっています。内戦は未だに終結しておらず、国内避難民も多く存在します。UNHCRや他の国際機関が支援を行っていますが、資金不足や治安の悪化が支援活動の妨げとなっています。

 ソマリア

ソマリアでは、1991年の独裁政権崩壊以降、内戦と無政府状態が続いています。これに加えて、干ばつや洪水といった自然災害が頻発し、多くの人々が国外に避難しています。ケニアやエチオピアには多くのソマリア難民が住んでおり、彼らの生活は厳しい状況にあります。国際社会の支援も限られており、食糧や医療の供給が不足しています。

 南スーダン

南スーダンは2011年に独立しましたが、2013年に内戦が勃発し、多くの人々が避難を余儀なくされました。内戦は民族間の対立が激化した結果であり、ウガンダ、スーダン、エチオピアに多くの南スーダン難民が避難しています。難民キャンプでは、食糧不足や医療の欠如が大きな問題となっています。

各地の難民に対する国際的支援

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)をはじめとする国際機関は、難民支援に大きな役割を果たしています。各国政府も、難民受け入れや経済的支援を通じて国際社会の一員としての責任を果たしています。また、NGOやNPOも現地での支援活動を展開し、難民の生活支援や教育支援に取り組んでいます。

私たちにできること

難民のことについて知る

まず、難民問題について知ることが大切です。ニュースを通じて最新の情報を得ることはもちろん、NGOや国連がSNSで発信している情報をチェックしたり情報を自分のアカウントで共有してみるのも効果的でしょう。また、難民に関するイベントに参加することで、直接的な知識や経験を得ることができます。

難民を支援する

具体的な支援としては、一番身近な例として募金活動があります。難民を支援するための募金は、彼らの生活環境を改善するために重要な資金源となります。難民を支援している団体は多数存在していますが、それぞれの支援内容や活動を調べて、自分が関心を持ったり信頼できると感じたりした団体をみつけてみてはいかがでしょうか。私たちの外食1食分が、難民にとっては1日を生き延びる大きな力となりえます。

また、難民によって運営されているレストランや店舗に足を運ぶことで、直接的な支援を行うこともできます。これらもSNSで発信されていることが多いので、確認してみてはいかがでしょうか。さらに、難民支援団体に参加し、ボランティア活動を行うことも有意義です。

おわりに

難民も私たちと同じ人間であり、困難な状況に直面している彼らを支援することは、社会の一員として自らの仲間を助けるという意義をもつといえるでしょう。難民問題は遠い存在ではなく、私たちの日常生活にも深く関わっています。より身近な存在として難民を理解し、支援の手を差し伸べることが、共生社会の実現に向けた一歩となるでしょう。6月20日の世界難民の日を機に、難民問題について考え、行動を起こしてみませんか。


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この記事を書いた人

東京大学では、法学を専攻。人権問題や環境問題に関心があり、学部卒業後は公共政策大学院に進学(予定)。高校時代から遅くとも22時半には就寝する、極度の朝型。趣味は、ランニング・映画鑑賞・サッカー観戦など。

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