宇都宮短期大学附属高等学校 アカデミックマインド 第10回

カルぺ・ディエム講師の、布施川講師(文学部4年)榎本講師(医学部3年)新藤講師(教養学部2年)橋本講師(教育学部3年)が、2024年3月5日に宇都宮短期大学附属高校の高校1年生を対象に「アカデミックマインド育成講座」という講演会・ワークショップを開催しました。

アカデミックマインド育成講座とは、「自分で考える力」を育む講座です。

AIなどさまざまな技術が発達する中、これからの世代に求められるのが「思考力」です。共通テストや大学入試でも「自分で考える力」が試されるようになっています。本講座では、現役東大生と一緒に「身の回りにあふれる疑問」と「五教科の勉強」を結びつけた課題に取り組み、自ら問いを立て、仮説を作り、検証する一連の思考法「アカデミックマインド」の獲得を目指します。

勉強がより楽しく、身近な存在になるだけではなく、獲得した思考法を大学受験の問題に応用していく講座です。

全10回からなるアカデミックマインド講義の今回は第10回目、最終回です。

本記事では、イベントの様子を実際に講義を担当した講師の橋本が紹介します!

目次

推薦入試問題に挑戦!

東京大学の推薦入試では、学部によってその試験形式や内容が大きく異なります。それは学部により求める能力や学生像が大きく異なるからです。

前回の講義では法学部の推薦入試問題を用いました。

法学部のアドミッションポリシーに他者との対話を通じて主体的に課題解決をすることを求められているからです。だからこそ、身近なテーマである「チケット転売」を「ディスカッション」という形式で考えさせられたのです。

今回、生徒のみなさんに出題されたのは工学部の推薦入試問題の改題。

小論文という問題形式を用いている工学部ではどんな能力や学生像が求められているのでしょうか。

それは「自ら問題設定を行うことができる」ことです。

さまざまな研究を無秩序に行うのではなく、社会課題解決のために主体的に研究を行う学生を求めている思想を感じることができます。他人とのコミュニケーションが必要なディスカッションではなく、自己対話を繰り返し行う必要のある小論文を用いていることも納得できますね。

今回生徒さんに出題した問題はこちら。

『数多くの発明や発見の中で、あなたが「生活の役に立っている」と考える発明や発見を1つ取り上げ、なぜそう感じたか、説明してください』

出題された生徒さんは普段出会わないような問題に大きく戸惑っている様子です。

そこで、講師の方からグループごとにテーマを設定し、それぞれのグループごとに話してもらうようにします。

対話を通した気づき

「この問題で重要なのは「あなたが」と強調されているところです。みなさん自身の経験を振り返りながら考えてみてください!」

そう話す橋本講師。アプローチの方法に悩んでいた生徒さんも動き始めます。

生活の役に立っているという言葉の解釈を自分なりに行いながら、そこに基づいた自分の経験をグループで話します。

小論文という問題形式では、自己対話が求められますが、いきなり小論文形式で取り組んでも難しいです。自己と対話するためには、他者との対話ができることが必要不可欠です。

自分の話を言語化して口に出すことで自己理解を進めることができるとともに、人の話を聞くことを通じて自分との対話方法について発見をしていきます。

普段聞かない仲間の話に驚きあいながら、周りの話を通して自己理解を深めていきます。

自己との対話と他者との対話を通して新たな発見をする生徒さんの様子を見ることができました。

最後に

「自分で問いを立て、その問いに対して仮説を立て、その仮説を検証する」

アカデミックマインドの1番基礎であり、1番重要な考え方です。

10回の講義を通してその考え方について解説し、共通テスト問題を用いながら演習し、推薦入試問題を通じて応用させてきました。特に後半では

この講義を通して、勉強を楽しんでもらうことはもちろん、学校で習うことが日常生活ひいては人生に繋がっていることを実感してもらえたら幸いです。

今学校でやっていることに無駄なことなんてないですし、それを活用できることも一つの能力です。

そのヒントはたくさんお伝えしてきたと思っています。

1年間お疲れ様でした!ぜひこれからもアカデミックマインドをして行ってください!

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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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