布施川天馬『東大式節約勉強法』「お金」がない人に届けたい1冊!

【著者インタビュー】布施川天馬『東大式節約勉強法』「お金」がない人に届けたい1冊!

受験勉強は「ゲーム」だと語る布施川天馬。
新書版の『東大式節約勉強法』発売を受けて、改めてこれまで出された著書や執筆背景、読みどころをインタビュー!  明日からできる節約の考え方を教えていただきました。

目次

お金も時間もない!  環境が整っていない状況でもできる勉強法を伝えたい。

——布施川さんは、『東大式節約勉強法』をはじめとして、これまで複数の本を出されていますよね。それぞれの本の内容を教えていただけますか

1冊目の『東大式節約勉強法』は、簡単に言うと「お金や時間をかけずにどうすれば成績を上げられるのか」を書いた本です。僕はあまり裕福ではない家庭で育ったので、その環境の中でどうやって勉強したらお金をかけずに成績を伸ばせるのかを書きました。僕はあまり勉強したくなかったので(笑)、ゲームやYouTubeの時間は確保しつつ、家で勉強をしなくても成績を上げられる方法をまとめました。

そしてこの本は、最近新書版を出すことができました!  字数にして2万字、まるまる1章分も加筆しています。それでいて本の大きさもワンサイズコンパクトになっており、元の文庫版から大体4割引きのお値段なので、いまからお買い求めの方は新書版の購入をおすすめします。

2冊目は『東大式時間術』です。1冊目の『東大式節約勉強法』の本でもスケジュールの組み方や1日の中でどう時間を使うかなどについて触れたのですが、そこにもっと踏み込んだ本になります。

3冊目が『最高の自宅勉強法』です。なんと僕の本では珍しく、初めて絵が入っています(笑)! 僕の好きなイラストレーターの橋本ライドン先生にお願いをしたところ、奇跡的に描いていただくことができました。1冊目の『節約勉強法』が文字を読むのに抵抗がない人向けだったのに対して、『最高の自宅勉強法』は各項目を1つ1つやっていけば理解できる作りになっています。2色刷りでイラストも入っているので、より分かりやすく、見やすい本に仕上がっています。1冊目が難しかったという方や、勉強が嫌い、本を読むのが苦手という方におすすめの本です。

——どれも布施川さんの経験が詰まった本ですね。今日は『東大式節約勉強術』について詳しくお話を聞いていきたいと思います。まず執筆のきっかけを教えていただけますか?

自分がどのように受験勉強をしてきたかをまとめておきたいという思いはありました。でもそれ以上に僕みたいに、周りがほとんど東大にいくことがない状況の中で「どうやって勉強したらええねん!」としんどい思いをしている方の役に立つような本を書きたいという思いが強かったです。

東大に受かる子がいる学校って、偏差値が高いとかいろんな理由がありますが、やっぱり「東大を目指す環境があること」つまり「東大目指そうかな」と言ったときに「いいじゃん」と言ってもらえる環境があることが大きいと思います。

普通の学校には東大に受かった人や受けた人、受からせた経験のある先生はなかなかいないので、どんな勉強をしたらいいか分からないんですよね。なのでそういった環境の方に対して、お金とかを使わないという視点で書いてみようと思ったんです。

——都心と地方の格差もありますし、環境がパーフェクトなことってなかなかないですよね。

そうですね。地域によっては予備校がなかったり、選択肢が少なかったりという状況も多いと思います。お金もあって、周りの応援もあって、良い塾もあってなんてことは多くないですし。そういった自分の周りに武器が少ない人が、自分の弱点を補うにはどうすればいいのかを、お金や時間という視点でまとめた指南書といってもいいかもしれません。

本番で勝てばいい!  「考える時間をなくせ」とはどういうことなのか?

——「お金」の場合、具体的にどうやって「節約」をするのでしょうか?

「お金」の節約の観点でいうと、YouTubeやネット配信もいいですが、参考書を使うのが一番コスパはいいと思います。参考書は、1ページに載っている内容から得られる内容に対して払う金額が一定である、という点でコスパがいいです。

僕も東大受験に、Amazonとメルカリを使って必要最低限の参考書を集めたところ、合計1807円で揃いました。もちろんこれは必要最低限で、これで十分というわけではないですが、買い足しても1万円くらいで収まるはずです。このように、自分の使える予算の中でどういうふうに道具を揃えたらいいかと考えるとき、「節約」の考え方が役立つと思います。

なるほど!  今からでも実践できそうです。「時間」の節約はどうでしょう?

「時間」の節約の観点では、「考える時間をなくせ」ということですね。

ここでいう「考える時間」とは「考えているフリをしているだけの時間、うーんと唸っているだけの時間」のことです。

「考える」ってしんどい作業なんですよ。たとえば解けない問題があって、何を読んでも分からないとき、何を考えればいいんでしょう?

問題が分からない理由は2つあって、1つ目は単純な知識不足、2つ目は発想の転換ができないことなんです。問題後半になるにつれて発想の転換が必要な問題は増えますが、とくに勉強したての人は、知識不足が原因であることが多いんです。そんなこと考えても無駄じゃないですか。0から知識は作れませんから。

結局受験勉強に必要なことって、頭をよくする・我慢強くなるといったことではなく、試験会場で出された問題を、その場で自力で解ける能力を身につけることなんです。なので、解けない問題があったとき、すぐ答えを見てしまったとしても、本番で勝てればいいんです。

——「考える」ということに意固地になってはダメですね。

そうですね。まずは、そもそも「分からない場所がどこなのか分かっているのか」ということを確かめてみるといいと思います。それが知らないものなら調べる、知っているけど分からないなら3分考えてみましょう。3分考えても分からないなら、自分にない発想なので、人から教えてもらって、自分の発想一覧に加えていけばいいんです。

もっと困っている人が手に取れる本を出したい

——最後に今後の展望を教えていただけますか?

これまでお金がない人向けに本を書いたりしてきました。その中で、実際に本を出してみて驚いたことがあります。以前、僕のツイッターにシングルマザーの方からDMが届いたんです。その方は娘さんの勉強のために、僕の本やYouTubeをみてくださっているようだったのですが、「お金がないので本は図書館などで読んでいます」と仰っていて。

僕の家は裕福ではなかったですが、流石に本1冊も買えないというほどではなかったので衝撃を受けました。ただ、いま考えると、その方からすれば、読んでみるまでは「役に立つのか立たないのか分からない本」ですから、手持ちに余裕がなければ購入にはなかなか踏み切れないですよね。

今回新しく出版された『節約勉強法』の新書版の方は、もともとの文庫版から4割引きの946円で売っているので、この調子でいけば2030年ごろには200円とかで売れるのでは!?  などと思いつつ(笑)、もっと困っている人にも本が届くように、頑張っていきたいと思います。

著者プロフィール

布施川天馬 (ふせがわてんま)
1997年生まれ 東大文学部4年生

世帯年収300万円台の家庭に生まれ、予備校に通うだけの金銭的余裕がなかったため、オリジナルの「お金も時間も節約する勉強法」を編み出し、一浪の末、東大合格を果たす。

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東大式節約勉強法 (扶桑社新書)
扶桑社 (2022/7/2)

「受験勉強はゲーム」である。お金がない環境で、著者が実践した戦い方「節約術」を紹介。具体的な方法が載っているだけではなく、自分も頑張れる勇気がもらえる1冊。

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この記事を書いた人

東京大学で薬学や心理学を中心に勉強しています。高校時代に発達障害の方とその支援者を中心に様々な人と関わってきた経験があり、人と話しその人の人生を知るのが好き。ボカロとお笑いが大好き。

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