多様性意識の向上や制服の機能面の充実化
菅公学生服株式会社のカンコー学生工学研究所は、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所の特別研究員である内藤章江氏と共同で「多様性に配慮した制服の導入効果の検証」の調査・研究を行い、調査報告書をまとめました。調査対象は2018年から2023年に制服変更を検討した中学校2027校で、うち441校から有効回答を得たものです。
報告によると、学校制服の変更・追加導入(女子スラックスの導入含む)により期待した効果は「多様性意識の向上」「ジェンダー意識の向上」「制服の機能面の充実化」が高く、導入後の様子(効果・影響)は、期待の高かった項目に加え「気候への適応変動」や「制服の選択・着用における躊躇の排除」が多くみられました。
本報告書は調査に協力した学校や要望のあった学校・教育関係者などに7月下旬ごろより配布を開始しており、今後はカンコー学生工学研究所サイトでも公開予定です。
カンコー学生服「【調査報告書 配布開始】『多様性を配慮した制服の導入効果の検証』 お茶の水女子大学 内藤先生とカンコー学生工学研究所の共同研究」PR TIMESプレスリリース、2024年8月6日(最終閲覧日:2024年8月9日)
東大生の考察:「多様性に配慮した制服」
近年、「多様性に配慮した制服」を導入する学校が増加しています。単に女子制服にスラックスを追加するだけでなく、ジャケットやカーディガン、スラックスやスカート、シャツ、リボンやネクタイなど、複数の選択肢から自由に組み合わせて着用できる制服が広まりつつあります。
背景にあるのは性の多様性への配慮だけではありません。「多様性に配慮した」と過度に強調し、その制服を着用することが「自分は当事者です」と主張するのと同義であるかのような印象を生徒に与えてしまっては、かえってその制服の着用を躊躇させてしまうおそれがあります。
そこで重要になるのが、すべての生徒に「選択の自由」を保障することです。誰もが自分の好みに合った制服を選べるようにすることで、他の生徒の満足感を保ちつつ、当事者の精神的負担を軽減することができます。性別や個性にかかわらず、生徒一人ひとりが自分に合った快適な装いで学校生活を楽しめるようにすることこそが、現代に求められる制服の在り方といえるのではないでしょうか。