島しょ地域にいながら最新のICT知識を学ぶ
沖縄県うるま市の中学生たちは2月19日、制作したオリジナルのゲームやキャラクター、楽曲など、「ネット部活」で取り組んできた1年間の活動成果を発表しました。
「ネット部活」はうるま市で通信制高校を運営する角川ドワンゴ学園と市教育委員会が2020年から続けている取り組みで、島を出なくても最先端のICTを学ぶことができます。市内の小中学校5校と角川ドワンゴ学園のN中等部が参加しており、毎週月曜日に生徒たちがオンラインでコミュニケーションを取って活動しています。
「ネット部活」の主な活動はデジタルコンテンツの作成です。オリジナルキャラクターの制作にあたっては生成AIを活用するなど、最新のICTの知識を駆使して創作に取り組んでいます。オリジナル楽曲の制作にあたって地元出身のアーティストであるHYからアドバイスをもらうなど、情報通信技術により地域の垣根を越えて交流が生まれました。
沖縄テレビ「ICTを活用したうるま市の島しょ地域のネット部活 子ども達が1年の成果を発表」OKITIVE、2024年2月20日(最終閲覧日:2024年2月22日)
東大生の考察:「ネット部活」の意義
人口減少が進んだ地域、特に島しょ部のように都市へのアクセスが容易ではない地域では、子供が生活の中で出会う人の幅が狭くなったり、経験が得にくくなったりするという問題が生じています。部活動などで指導する十分な人材を、地域の中で用意することにも限界があります。
これらの困難は、ICT技術を活用することである程度は乗り越えることができます。「GIGAスクール構想」の推進で生徒1人に1台デジタル端末が与えられるようになれば、「ネット部活」への参加はますます容易になるでしょう。
技術の進歩が目覚ましい社会をこれからも生きていく子どもたちにとって、学生のうちに情報通信技術の基礎を学ぶことには大きな意義があります。出会いや経験を通じて視野が広がり、非認知能力の育成にもつながる「ネット部活」は、新たな部活動の形として普及していくのかもしれません。