【ラグビーW杯2023】日本vsアルゼンチンは勝ち負けじゃない所で決勝進出が決まる!?勝ち点の仕組みから東大生が解説!

皆さん!
今、日本でラグビーがアツいです!

それは現在、フランスでラグビーW杯2023が行われているからです。そして、まさにこの記事が公開される頃には、日本vsアルゼンチンの直接対決が行われます。スポーツ大好きな僕は、「この試合がどのような結果になれば日本は決勝トーナメントに行けるのだろう?」と気になって、インターネットで現在の順位表を確認してみました。すると、とても興味深いことに気付いたのです。
まずはこちらの順位と勝ち点の一覧表をご覧ください。

こちらは、10月1日時点での予選グループの順位表です。
5チームの中で決勝トーナメントに出場できるのは2チームのため、1位のイングランドは決勝進出が決定しています。
ここで勝ち点が同じアルゼンチンと日本が10月8日に試合を行い、どちらかが勝てばそのチームが決勝トーナメント進出を決めます。ところで、皆さんこの順位と勝ち点を見て違和感はありませんか?

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目次

計算の申し子が気付いた勝ち点の違和感

僕は、勝ち点の部分に大きな違和感がありました。「3勝で勝ち点14」「2勝で勝ち点9」という部分です。
「勝ち点」という言葉に馴染みのない人も多いと思うので簡単に説明させていただきます。
勝ち点とは、スポーツの総当たり戦などで順位を決めるために、勝敗に応じて与えられる点数のことです。トーナメント方式であれば、勝ったチームが次の試合へ進み、負けたチームはその時点で敗退になるため、このような仕組みの必要がありません。しかし、総当たり戦の場合、すべてのチームが同じ数試合を行うため、その勝ち負けに応じて点数をつけて、その点数で順位を決めているのです。

「勝ち点」制度が広く使われている有名な例として、日本のプロサッカー「Jリーグ」が挙げられます。Jリーグでは、20チームが総当たり戦を行い、それぞれのチームが各試合において勝利した場合「勝ち点3」、引き分けた場合「勝ち点1」、負けた場合「勝ち点0」が与えられ、全ての試合が終わった時点でその合計点に応じて順位を決めています。

このように考えると、上で示した順位表には違和感がありませんか?「今の勝ち点の話はあくまでサッカーの話だから、ラグビーの勝ち点はまた違うんじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、仮にそうだったとしても、イングランドの勝ち点は3の倍数に、アルゼンチンや日本の勝ち点は2の倍数になるはずだと思いませんか?

数字が好きな僕は、この表を見た瞬間に「おかしいな?」と思ってしまいました。ラグビーの勝ち点は一体どのようなシステムになっているのか。気になった僕が実際に調べてきました。

ラグビーの勝ち点の仕組み

サッカーの勝ち点と違う部分は、各試合において勝利した場合の勝ち点がラグビーでは「4」になります。引き分けの場合はラグビーでは「2」になります。これがまず1つ目の違いになります。ちなみに、負けた場合の勝ち点はどちらも「0」で、ここに違いはありません。

ここまでで考えると、現在2勝0分1敗の日本の勝ち点は「4×2」で「8点」という計算になりますよね?しかし、表の通り現在の勝ち点は「9点」です。これは一体どういうことでしょうか?

ラグビーは時間内により多くの得点をとったチームが勝利するスポーツなのですが、その得点の取り方にはいろいろな種類があります。その一つに、ボールを相手のゴールエリアまで運んで、接地(地面にボールをつけること)した際に認められる「トライ」。この「トライ」を1試合の間に4本以上行うことができると、ボーナスポイントとして「勝ち点1」が加わるという仕組みになっています。

つまり、この表から日本代表のチームは、3試合のうち1試合で4本以上のトライを決めて、ボーナスポイントを獲得したことが分かります。同様に、現在1位のイングランドは3連勝をしましたが、そのうち2試合で4本以上のトライを決めたことが分かるのです。このように考えると、非常に面白いと思いませんか?

得失点左という考え方

このボーナスポイントを踏まえると、今週末に控えている「日本vsアルゼンチン」の直接対決でも複雑な条件が絡み合ってくることが分かります。

まず、総当たり戦の順位には「得失点差」という概念があります。

例えばあるチームAが2試合を行なって、1試合目が「70-10」で勝利、2試合目が「20-50」で敗北した場合、戦績は1勝1敗で、得失点差は「+60」と「-30」を足し引きして「+30」となります。

別のチームBが同じく2試合を行い、1試合目が「10-40」で敗北、2試合目が「50-40」で勝利した場合、戦績は同じく1勝1敗ですが、得失点差は「-30」と「+10」を足し引きして「-20」となります。このとき、AとBではAの方が上の順位になる、というルールがあります。

日本とアルゼンチンは現在アルゼンチンの方が得失点差がプラスで大きいので、2位がアルゼンチン、3位が日本となっているのです。

これを考慮すると、どちらかのチームが勝利した場合はそのチームが決勝トーナメントに進出し、引き分けの場合は得失点差でアルゼンチンが決勝トーナメントに進出する、と考えることができます。

引き分けてもトライの本数で日本は決勝に行けるかも!

ですが、それに上で説明したボーナスポイントの話を加えると、引き分けの場合でも日本が決勝トーナメントに進出できる可能性が残っていることが分かるのです。具体的に言うと、日本がトライを4本以上決め、アルゼンチンのトライが3本以下の状態で、合計の得点が同じになって試合が引き分けで終了した場合、日本の勝ち点は「2点+1点」加わって「12点」になるのに対して、アルゼンチンの勝ち点は「2点」のみが加わって「11点」となるので、日本が決勝トーナメントに進出できることになるのです。もちろんこれは非常に稀なケースにはなりますが、勝ち点を考えることで、その試合における望ましい戦術も変わってくるのです。

さて、ここまで「勝ち点」というものに着目して、ラグビーW杯について説明していきました。もちろん勝つことが一番大事なのですが、トライを重視した戦い方もとても大事になるので、8日はそんな試合が観れるのではないかと僕は期待をしています。皆さんも、このような総当たり戦のルールを理解した上で、ぜひ日本代表を応援していただけると嬉しいです!

それでは、今回の記事はここまでとなります。皆さんまた次回の記事でお会いしましょう!

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この記事を書いた人

理系で東京大学に入学したが、教育をより深く学びたいと思い現在は教育学部に所属。高校まではずっと野球部に所属し、大学でも野球を続けている。趣味はピアノと旅行で、旅先のストリートピアノで流行の曲を弾くことが一番の楽しみ。

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