皆さんはChatGPTを使ったことがありますか? 課題やレポートにChatGPTを使う学生がいるとニュースで話題になる一方、授業での活用については、具体的に何ができて、何が得意なのか理解している先生はまだ少ないかもしれません。
「生徒の学びを阻害するのでは?」という懸念と、「うまく使えば先生の負担を減らせるかも」という期待が混在するのが現状ではないでしょうか。この記事では、ChatGPTが持つ能力を整理し、「ChatGPTを授業でどう活用するか」という視点で、先生方の負担を軽減する具体的な活用術と注意点をご紹介します。
【2025年11月5日更新】
ChatGPTとは?教育現場で注目される理由
ChatGPTとは、一言で表すと「人間のように自然な対話ができるAIチャットツール」です。OpenAI社が2022年にリリースして以来、その高い言語処理能力と使いやすさから世界中に普及しました。
教育現場では、生徒が宿題をAIに解かせることへの懸念が先に話題となりました。 しかし、その高度な「質問応答」「要約」「翻訳」「アイデア提案」といった能力は、逆に授業や学習をサポートする強力なツールにもなり得ます。
大切なのは、禁止するのではなく、先生の指導のもとで「賢く使う方法」を生徒と共に学ぶことです。
ChatGPTは、授業準備や生徒対応にかかる時間を大幅に短縮できる可能性を秘めています。
先生の負担を減らす!具体的なChatGPTの授業活用術4選
実際に、さまざまな知人や教師からChatGPTの活用法を聞いてみました!
今回はその中でも実用的だなと感じたものを4つ紹介します。
1. 作文 / 英作文の添削サポート
ChatGPTは、文法やスペルの間違いを指摘するだけでなく、より自然な表現や別の単語を提案することも得意です。生徒が書いた作文をChatGPTに読み込ませ、一次添削(文法・スペルチェック)をさせることが可能です。ChatGPTは間違いを指摘するだけでなく、より自然な表現や別の単語を提案することも得意としています。細かなミスがAIによって減るため、添削にかかる先生の負担は大幅に減少するでしょう。日本語の作文指導にも応用可能です。ただし、最終的な表現のニュアンスや情報の正誤は、必ず人間(先生)が判断する必要があります。
2. 個別最適化された例題・教材の作成
従来、生徒一人ひとりのレベルに合わせた問題を作成するのは、非常に時間のかかる作業でした。しかしChatGPTを用いれば、「中学2年生レベルの二次方程式の練習問題を5問、答えと解説付きで作成して」といった指示で、即座に問題セットを作成できます。生徒のレベルに合わせた練習問題を時間をかけずに作れるだけでなく、共通テストで見られるような対話形式の問題文や、選択問題の「誤答の選択肢」を作成させるなど、問題作成のサポート役としても非常に優秀です。ただし、高度な数学の証明や複雑な計算など、専門分野によっては精度が低い場合があるため、先生による確認(ファクトチェック)は必須です。
3. プログラミング学習の「24時間チューター」
プログラミング学習において、エラーの解決は生徒にとって大きな壁となります。生徒が書いたコードをChatGPTに入力し、エラーの原因を分析させ、正しいコードを提案させることが可能です。先生が常に対応できない時間でも、ChatGPTが「24時間体制のチューター」として生徒の学習をサポートしてくれるため、効率的な自主学習を促進し、先生の負担を軽減することができます。
4. 議論の促進(道徳・国語・探究学習)
議論が停滞した時や、多角的な視点が欲しい時に、ChatGPTは「議論の起爆剤」となります。例えば、道徳や国語の授業で、物語の登場人物の心情を推察する場面。「この場面で、主人公はどうすべきか?」という問いをChatGPTに投げかけ、AIとしての意見を聞いてみます。生徒の意見とは異なる「AIの視点」を加えることで、議論を活性化させることができるのです。また、探究活動で生徒が問いや仮説を立てる際、関連する文献や資料のリサーチをサポートさせたり、アイデアの壁打ち相手として使ったりすることで、探究のプロセスを深めるヒントを得ることもできるでしょう。
【実践】ChatGPTの実際の活用例
道徳の授業で議論を活発にするものとして導入した学校があります。
ある物語を途中まで読み聞かせ、その後「自分ならどうする?」と投げかけて主人公の気持ちになって次の行動を考える授業です。そこで児童の意見を一通り聞いたあと、「AIならどうするか聞いてみましょう!」とChatGPTに同様の質問を打ち込みました。そこで出た意見をさらにクラスで話し合ったのです。議論を重ねていく中で、生徒たちはAIの出した答えだとしても、必ずしも正解ではないことに気がつきました。大事な論点を見落としていたり、議論が堂々巡りになってしまっていたり、議論すればするほどChatGPTの穴が見えてきたのです。
このように、授業を通してChatGPTの使い方と精度、そして自分たちの頭で再検討することの大切さを伝えることもできます。

授業で使用する際の注意点
さまざまな使い方を紹介してきましたが、ChatGPTは新しい技術な分、十分な規制があるわけではありません。この技術を利用する上で少なくとも次の3つのことには注意が必要です。
必要に応じて許可を取る
大学の授業などでChatGPTを使用する分には大丈夫ですが、OpenAI社の規定によるとChatGPTは13歳以上の人が利用可能で、18歳未満の人が使う時には保護者の同意が必要です。
小学生にChatGPTを用いた授業をする際は、各々が動かすのではなく先生が代表して動かすようにしましょう。中高生はそれぞれが動かして構いませんが、授業へ導入する前に保護者の方へ同意をいただくようにしてください。
ファクトチェックの必要性を伝える
ChatGPTは便利ですが、完璧ではありません。質問の内容や投げ方によっては間違った情報が出てくることもあります。例えば、ある分野の先行研究の論文をChatGPTに聞いたところ、全て架空の論文が出てくることもあったそう。
そのため、ChatGPTの意見や答えを参考にすることはあっても、鵜呑みにしないようにするのが大切です。もしChatGPTによる意見をそのまま用いるのであれば、自分でもう一度調べ直してから使用するようにしましょう。ChatGPTが間違った答えを出すプロンプトをあらかじめ用意して、生徒の前で実演し、ファクトチェックの重要性を伝えるのもいい方法かもしれません。
ガイドラインを作成する
非常に便利な技術ではありますが、よく言われているように「ズルできる」技術でもあります。ChatGPTで作成した文章を課題として提出しない、学習にChatGPTを用いた場合は報告する、など生徒の学年や状況に合わせたルールをあらかじめ提示しておくことが必要です。
まとめ
まとめ:AI時代を生きる生徒たちのために
ChatGPTは、使い方を間違えれば生徒の思考力を奪う懸念がありますが、正しく使えば先生の業務負担を劇的に減らし、生徒の学びを深める強力なサポートツールとなります。
大切なのは、ChatGPTに全てを任せるのではなく、あくまで「人間(先生・生徒)が主導」となり、時間のかかる作業をサポートしてもらうという視点です。
まずは先生自身が一度、無料で使える基本機能を試してみてはいかがでしょうか。
【実践事例】ChatGPTと「探究学習」の組み合わせ
この記事ではChatGPTの基本的な活用法を紹介しましたが、AI時代の「探究学習」はどのように変わっていくのでしょうか?
そのほかにも、生徒指導に必要な観点を解説している記事もこちらで紹介しています!併せてご確認ください。
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