「光る君へ」がもっと楽しくなる!紫式部と藤原道長の関係性と歴史背景

「光る君へ」がもっと楽しくなる!紫式部と藤原道長の関係性と歴史背景

皆さんこんにちは!
教育事業部の橋本です。

大河ドラマ「光る君へ」はみていますか?
今回の記事では、普段講義で古文を教えたり、趣味で競技かるたをやっていたりする自分が、「光る君へ」の歴史背景や主人公である紫式部と藤原道長の関係性について紹介していきたいと思います。

目次

大河ドラマ「光る君へ」とは?

大河ドラマ「光る君へ」は、2024年1月からNHKで毎週日曜20時から放送されているドラマです。

新撰組・龍馬伝など、さまざまな名作品を生み出してきた大河ドラマ。歴史上の人物や出来事に基づいて作成されているドラマシリーズです。今年の大河ドラマは「光る君へ」。1000年以上前の平安時代の日本が舞台で『源氏物語』を著した紫式部を中心に物語が展開しています。

「光る君へ」は、『源氏物語』の主人公である光源氏が、その原文のなかで「光る君」と表現されていることに由来しています。実は、この表現は高貴な身分の人に対して、その名前で呼ばないようにするための別称なのです。現在でも、天皇陛下の名前をそのまま呼ぶことはしないと思います。実際に、実名を呼ぶことは日本の伝統の中で不敬に当たるとされています。そこで、現在の天皇陛下は今上天皇と呼ぶのが一般的です。

個人的には、光源氏を表す光る君に「へ」という言葉がつけられているのに趣を感じます。光源氏に向けられた恋文なのか、光源氏のような存在になろうとしているのか、ここからのドラマの展開が楽しみです。

紫式部どんな人物なのか

「光る君へ」の主人公である、吉高由里子さん演じる紫式部はどんな人物なのでしょう?当時の時代背景、有名な歌から探っていきましょう。

時代背景

紫式部は平安時代を生きた女官であり、数多くの和歌を残した人物として有名です。平安時代以前、日本は中国から政治体制や文化など多くの影響を受けていました。影響を受けると言っても、中国へ学びにいく人材が必要であり定期的に留学生を派遣していました。その留学生が今の遣隋使や遣唐使と呼ばれる人々です。しかし、技術が未発達だったこともあり、船旅は険しく、命を落とすものも多いリスクが高いものでした。

その状況の中、中国(当時の唐)の衰退をきっかけに留学生の派遣が取りやめられるようになります。その結果、中国からの影響を受けなくなり日本国内で独自の発展を遂げていくようになるのです。

貴族文化も当然その影響を受けました。漢文や漢詩から、日本独自のひら仮名を用いた文化が花開いていきます。これが、女流文化の発展のきっかけとなりました。紫式部はそのような時代背景の中で生きていたのです。

百人一首

皆さんは百人一首をやったことはありますか?紫式部や清少納言が詠んだ歌もこの百人一首に載っているのです!現代でもなお親しまれる作品を残してきたということですよね。

紫式部の残した有名な歌は
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
です。

久しぶりに出会えたのにもかかわらず、すぐにまた離れてしまった幼友達に向けた歌だとされています。気になった方はぜひ百人一首を買ってみてください。

ちなみに、藤原道長が詠んだ有名な詠
此の世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる事も 無しと思へば
は、百人一首に載っていません。藤原実資の書いた、『小右記』に残されています。​

紫式部と藤原道長との関係

当時、天皇が大きな権力を持っていた日本では、天皇と結婚することが権力を握る上で重要なポイントでした。

藤原道長は、自分の娘を天皇と結婚させることで、権力を握った人物です。天皇の家系に藤原の血が流れるだけでなく、摂政という立場で政治を動かすこともできました。(摂政とは、天皇が幼い場合などに、天皇に代わって政治を行うことができる仕組みのことです。)紫式部が生きた時代には、藤原氏が絶大な権力を握っていました。

そのような中、紫式部は藤原道長の長女に仕えて、雑務を行うだけでなく、家庭教師としての役割も負っていました。絶大な権力を握る藤原道長と、その権力者のもとで教育係を行っていた紫式部の関係。パトロンと芸術家の関係との類似性を感じるようにも思います。

終わりに

今回の記事では、大河ドラマ「光る君へ」の歴史背景や主要人物の関係性を紹介してきました。「光る君へ」8話時点では、恋仲にあるようにも思える、紫式部と藤原道長。今後ドラマではどのような関係性が展開していくのか、今後も見逃せないですね。

先日発売された「東大生と読む源氏物語」では、源氏物語をコミカルに分かりやすく紹介しています。背景知識が少しあるだけで、ドラマがさらに楽しくなると思います。ぜひ日曜20時のお供に読んでみてください。

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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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