文科省、2023年大学図書館デジタル化に向けロードマップ公開

文科省、2023年大学図書館デジタル化に向けロードマップ公開
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学術論文への無償アクセスが可能に

文部科学省は7月1日、2030年「デジタル・ライブラリー」実現に向けた大学図書館のロードマップを公開しました。「支援機能・サービス」「場」「人材」の3つを優先的に取り組むべき領域とし、一大学の一図書館に閉じない形で連携・協力することを有力な手段として位置付けています。

大学図書館が蓄積した情報やデータへのアクセスを保証し、利活用できるようにすることで継続的な知の再生産が行われるシステムを維持するため、今日の大学図書館にはオープンサイエンスとデータ駆動型研究の推進とともに学修者本位の教育の実現に即した機能的変化が求められています。この変化に対応して図書館が実現すべきとされているものが「デジタル・ライブラリー」です。

学術論文などを誰からでも無償でアクセス可能にする「即時オープンアクセス(OA)」については、2025年末の義務化を目指しています。

文部科学省「オープンサイエンスの時代にふさわしい『デジタル・ライブラリー』の実現に向けて~2030年に向けた大学図書館のロードマップ~」2024年7月4日(最終閲覧日:2024年6月26日)

東大生の考察:デジタル・ライブラリー化の意義

大学図書館は大学における学習や研究の不可欠な基盤として機能しており、書籍や論文などの学術情報が体系的に収集・蓄積・整理されているだけではなく、新たな研究成果が積み上げられる場所でもあります。学生や研究者が質の高い情報にアクセスできることは学問の進展にとって極めて重要なことで、大学図書館は学習と研究の両面において重要な役割を果たしています。

大学図書館が「デジタル・ライブラリー」化されると、学術情報は検索可能な状態で公開され、各大学が集積したデータに誰でもアクセスできるようになります。これにより、分野や所属大学が異なる研究者同士のデータの共有が容易になり、コラボレーションによって研究の進展が加速する可能性が高まります。また、大学図書館が収集した信頼できるデータの活用により、AIなど民間のサービス向上も期待できるかもしれません。

大学図書館が「デジタル・ライブラリー」化するにあたり、各大学が個別に進めたのでは、相互利用を前提とする効果は限定的なものとなってしまいます。各大学図書館が大学の枠を超えて協力するために、文部科学省のロードマップに従って全国の大学が足並みを揃えることには大きな意義があるといえるでしょう。

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この記事を書いた人

東京大学法学部卒。司法試験の勉強をしていたはずが、いつの間にか麻雀プロになっていた。日本プロ麻雀協会に所属。初恋の相手はイーサン・ハント。映画鑑賞、スポーツ観戦、料理が好き。

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