「熱中症特別警戒アラート」も活用
文部科学省は4月30日、全国の教育委員会などに対し、新たに作成した学校向けの熱中症対策のチェックリストを通知しました。チェックリストには、体を暑さに慣らす「暑熱順化」を取り入れること、全身冷却や救急要請の体制を整備すること、活動を中止する判断基準をあらかじめ定めることなどが盛り込まれています。
2023年度、学校内や登下校中に熱中症となったケースは3240件に上りました。通知では、今年の夏も全国的に気温が平年より高くなると予想されているため、今年から新たに発表される「熱中症特別警戒アラート」などの状況を確認しつつ、地域にアラートが出ていなくても実際に活動する場所の危険度を暑さ指数などで把握し予防するよう求めています。
ガイドライン作成に際しての手引きでは、体育の授業後や下校中に熱中症の疑いで亡くなった事例を示したうえで、子どもにも異変があった際の通報方法を伝えておくことや、日ざしを遮る手段として帽子や日傘を活用することも挙げられています。
NHK「学校向け熱中症対策チェックリスト 新たに作成し通知 文科省」首都圏 NEWS WEB、2024年4月30日(最終閲覧日:2024年5月2日)
東大生の考察:ガイドラインの意義
学校にはたくさんの決まり事がありますが、中には合理的ではない規則や、現代の価値観に適合していない慣習も散見されます。特に児童・生徒の健康に関わる決まり事に関しては重大な事故を招きかねないため、全国的に見直す動きが強まっています。
集団生活を営むためには誰もが一定のルールを守る必要があり、学校は子どもが集団生活の初歩を学ぶ場でもある以上、児童・生徒にルールを遵守させることが一定の意義を持つのかもしれません。しかし、そのために子供の健康や安全を損なうようでは、教育機関として本末転倒であると言わざるを得ません。
授業中に熱中症などのアクシデントが発生した場合、現場の教員には臨機応変な対応が求められます。児童・生徒の健康のためにはそうするべきであったとしても、現場判断で既存の規則や慣習に反した行動を取るのは現実的に難しいものでしょう。事前にガイドラインを策定することで、現場の教員が安心して子どもを守るための決断を下しやすくなることを願います。