学生も手話通訳を担当
九州大学は4月3日、伊都キャンパスで入学式を行いました。2023年に「手話は言語」と定めて手話を使いやすい環境の整備をめざす福岡県手話言語条例が制定されたことを受けて、入学式では初めての手話通訳が導入されました。
入学式では、国の試験に合格した手話通訳士のほか、手話を学ぶ九州大学の学生2人が通訳を務めました。院生2532人が参加した式典で司会の通訳を担当した法学部2年の白水愛彩さん(19)は、ろうの両親を持ち、昨年参加した自身の入学式では、式典時に両親が状況を把握できるか不安だったと言います。
入学後、支援を必要とする学生を学生が支援する九州大学の「ピアサポーター」となり、手話を学びました。家庭で使っていた手話について、参考書を買い揃えて本格的に学び、「社会生活全般を話題に手話で平易な会話ができる程度」とされる全国手話検定2級を取得しました。入学式に向け、鏡をみながら感情を込めて手話をする練習を積んできたといいます。式後、「配慮して『くれる』のではなく当たり前に手話通訳がある環境に一歩近づけた」と語っていました。
今回の手話通訳を提案したキャンパスライフ・健康支援センターインクルージョン支援推進室の下中村武助教は、「必ずしも(手話を必要とする)当事者だけに向けた取り組みではない」といいます。「共生社会であるために手話通訳をつけることが当たり前にあるべき配慮だと知ってほしい」と狙いを話しました。
朝日新聞デジタル「入学式で初の手話導入、九大 通訳した学生『当たり前の環境に』」2024年4月4日(最終閲覧日:2024年4月4日)