中学の情報教育「技術」担当教員、23%は正規免許なし

中学の情報教育「技術」担当教員、23%は正規免許なし
目次

地域差も明らかに

文部科学省は2月13日、中学校における「技術・家庭科」技術分野の指導体制に関する実態調査結果を公表しました。全国の公立中学校に対して行われた調査の結果、技術科担当教員9,719人のうち、技術の正規免許を所有しているのは7,474人(約77%)にとどまることがわかりました。

残りの2,245人(約23%)は他教科の正規免許を所有する教員が担当しているか、正規免許を所有する担当教員が確保できない場合に都道府県が例外的に発行できる「臨時免許」を所有する教員が担当していました。

また、正規免許所有者の割合には地域差があることも明らかになりました。東京都、群馬県、茨城県およびさいたま市、京都市、大阪市では「技術」担当教員の100%が正規免許を所有していたのに対し、和歌山県では25%にとどまり、宮崎県で36%、大分県で42%と、7つの道県で正規免許の所有率が50%以下となりました。

文科省は調査結果を受け、技術の正規免許所有者を計画的に採用する、正規免許所有者が複数校で指導する等の対策を各教育委員会に促し、2028年度(令和10年度)までに免許外教科担任および臨時免許所有者をゼロにすることを目標としています。

文部科学省「中学校技術・家庭科(技術分野)内容『D 情報の技術』」2024年2月13日(最終閲覧日:2024年2月14日)

東大生の考察:情報技術教育の重要性

情報技術の発展が今後も予想される現代社会において、子供たちに情報技術教育を施すことの重要性が飛躍的に高まっており、カリキュラムの再構成や教員の養成を含む指導体制の改善が求められています。実際、学校のICT環境を整備する「GIGAスクール構想」が推進され、大学入試共通テストに「情報I」が新設されるなど、徐々に変化が生じてきています。

その中で、情報教育を担当する「技術」科目の正規免許を所有している教員が少ないという問題が浮上しています。情報教育を施そうにも、指導者が不足しているのです。

問題の背景には、そもそも技術の教員免許を取得できる大学の数が少ないことがあります。文科省が発表した「令和5年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学」の一覧によると、中学校教諭一種免許状が取得できる大学の学部・学科数は、数学が388、英語が427存在するのに対し、技術は117と少ないことがわかります。

学校教育の教科の中でも「技術」は特に専門性の強い教科であり、正規の教員免許を取得した講師が担当することが望ましいです。将来を担う世代が情報技術を正しく理解し活用できるようにするため、教員を養成し、学校教育の現場で適切な指導体制を整えることが極めて重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学法学部卒。司法試験の勉強をしていたはずが、いつの間にか麻雀プロになっていた。日本プロ麻雀協会に所属。初恋の相手はイーサン・ハント。映画鑑賞、スポーツ観戦、料理が好き。

目次