東大生100人が選ぶ!勉強になった小説・漫画・アニメ・映画!

「勉強になった小説、漫画やアニメは?東大生100人にアンケート!」

近年、学生にとっての「学び」の場は教室や参考書だけにとどまりません。日常的に親しむ小説やマンガ、アニメ、映画といった“身近なコンテンツ”こそが、学習意欲をかき立て、知識や価値観、自己理解を大きく深める原動力になったと、多くの東大生が証言しています。勉強とは教科書の知識を詰め込むだけでなく、物語の中で生まれる疑問や感動を通じて、自分自身の考え方や世の中の見方を育む営み──。

このアンケートでは、100名の東大生が実際に選んだ作品と、「なぜそれが自分の学びになったのか」という具体的な声を余すところなく集めました。

本記事は、2025年4月時点で東京大学に通う学生を対象に実施したアンケートのうち「勉強になったと感じる本・漫画・アニメ・映画とその理由を教えてください。」という質問に対する結果を基にしています。(オンライン実施、回答は自由記述形式。回答数=100)

目次

小説・教養書――視野と価値観を深める書籍群

『異文化理解の倫理にむけて』(稲賀繁美)

  • 「‘異文化理解’という言葉そのものを問い直すきっかけとなった」
  • 異なる文化や価値観への理解を倫理的に考え直す内容で、異文化摩擦にこそ価値を見出しながら批判的思考を育てる構成となっています。まさに国際社会で必要な共感力や多角的な思考の基盤を与えてくれる一冊といえるでしょう。

『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)

  • 「世界情勢とデータを読み解く指針を与えてくれるから」
  • 統計データに基づいて現実を正しく理解する方法を説いており、人々の世界認識の歪みを「実際に起きている現実」へと修正しようとします。ビル・ゲイツも本書を「最も重要な本の一つ」と評し、事実に基づく思考を鍛える教材として高く評価しています。


『フロイトの生涯』(アーネスト・ジョーンズ)

  • 「人間の思考回路について関心を持つきっかけになった」
  • ジョーンズによるフロイトの伝記は、心理学の黎明期を描いた名著です。精神分析の原点に触れることで、人間の無意識や心の仕組みへの理解が深まり、自分自身や他者への視点を拡大する契機となります。


『読むだけですっきりわかる現代史』(後藤 武士)

  • 「大学受験にも活かせる内容だった」
  • 戦後史をわかりやすく解説しており、特に冷戦期以降の現代史を初心者にも理解しやすくまとめています。体系的に学べる構成で、受験勉強の補助教材としても実用性が高いと言われています。



『チェルノブイリの祈り――未来の物語』(スベトラーナ・アレクシエービッチ)

  • 「自分の知らない現実を知ることができるから」
  • ベラルーシの作家、ジャーナリストであるスベトラーナ・アレクシエービッチによって行われた1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故を経験した人々に3年にわたってインタビューがまとめられた作品です。ノンフィクション的ドキュメンタリー性の高い作品で、世界の問題や人道への認識を深めます。


『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(越川 慎司)

  • 「仕事とプライベートの線引きについて参考になる」
  • 世界水準のエリートであるエグゼクティブたちの休日の過ごし方を集めたもので、休日を「積極的に休息する時間」と「教養を蓄える時間」に位置づける方法を紹介しています。これにより、時間管理やライフスタイルの考え方について学ぶことができます。


『東大読書』(西岡 壱誠)

  • 「単なる優等生だった自分の考えを変えた」
  • 東大生著者ならではの読書法や学び方が紹介されています。西岡氏は「東大生の読書の違いは先天的な才能ではなく、読み方の戦略にある」と語っており、読書や学習に対する固定観念を見直すきっかけになります。
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2. 漫画・アニメ――物語を通じて自然に学ぶ力

2.1 科学・理系への興味を育てるジャンル

『Dr.STONE』(稲垣理一郎)

  • 「化学への興味が湧く」「勉強をする熱意をくれたから」「物語を楽しみながら自然に学べて受験にも役立った」
  • 科学的事象をストーリーで視覚化し、興味を引き出す教材として注目されています。教育研究でも「理科学習の代替モジュール」として評価されるほどです。(下論文参照)

『チ。 ―地球の運動について―』(魚豊)

  • 「勉強をする熱意をくれたから」
  • 15世紀のヨーロッパでコペルニクス的地動説の研究に命を賭けた人々を描く歴史フィクションです。地動説のドラマ性を通じて、天文学や地球科学への関心を喚起します。

『数字であそぼ。』(絹田 村子)

  • 「大学数学や理系大学の雰囲気を学べるから」
  • 京都の名門・吉田大学理学部に合格した秀才の主人公が大学の高度な数学に苦戦する姿をコミカルに描いています。主人公が本気で数学に向き合う様子から、大学数学の楽しさや挫折を身近に感じ取ることができます。


『柔道部物語』(小林まこと)

  • 「柔道に打ち込む主人公から強くなる方法を学んだ」
  • 柔道経験者の作者が渾身の力で描いた作品。青春の葛藤や友情、努力といったテーマが、柔道という競技を通じて感動的に描かれています。

2.2 人生観・倫理観を深める作品

『鋼の錬金術師』(荒川 弘)

  • 「個の弱さや信念、仲間の強さ、命の重さなど、人として学ぶべき点が多くあった」
  • 舞台は錬金術という科学が発達した世界。病で母を亡くした兄弟が、錬金術の禁忌である人体錬成を試みるも。。。戦争、民族差別、命、絆、重く複雑なテーマで心に響く漫画です。



『ワンピース』(尾田 栄一郎)

  • 「友情を学べる」「海賊王の精神を教えられる」
  • 海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公とする、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン。物語全体を通じて、仲間との絆や挑戦し続ける精神が学べます。

『NARUTO』(岸本 斉史)

  • 「素直になることの大切さを学べる」「かっこいい生き方を学べた」
  • 落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが里一番の忍である火影を目指し、仲間たちと共に数々の試練を乗り越え成長していく物語。自己肯定感や誠実さの重要性を主人公の成長から体感できる。

『銀の匙』(荒川 弘)

  • 「迷ってもいいこと、逃げてもいいことの大切さを学んだ」
  • 受験に失敗し、学業のプレッシャーから逃れるため農業高校に進学した農業未経験の主人公が、仲間たちと汗と涙と泥にまみれ、農業の厳しい現実にぶつかりながらも成長していくストーリー。「逃げてもいい」という東大生の感想は、実際に読めば理解できるはずです。



『3月のライオン』(羽海野 チカ)

  • 「他人との関係について考えさせられた」
  • 棋士で孤独な主人公・零が、三姉妹との出会いによって少しずつ心の傷を癒し、生きる希望を見いだしていく物語です。人の温かさに触れ、つながりに気付きながら失ったものを取り戻していく姿が胸を打ちます。

3. 映画・ドラマ――視覚で知り・感じる学び

『最高の人生の見つけ方』(映画)

  • 「価値観が変わった」
  • 末期癌を宣告された余命半年の二人の老人、自動車整備士のカーターと大富豪のエドワードが、退院後に人生最後の「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」を実現するため世界を旅する感動作です。二人はリストにある「スカイダイビングをする」「泣くほど笑う」などの様々な挑戦を経験し、人生とは何か、大切なものは何かを感じ取っていきます。後悔しない人生を送るために、改めて知るべきことを与えてくれる作品です。

『インターステラー』(映画)

  • 常に正確なSF映画だから」
  • 近未来の地球で植物の激減と食糧難で滅亡の危機に瀕した人類は、居住可能な惑星を求めて宇宙の彼方に調査隊を送り込む。クルーの1人として選ばれた男性は、もう会えないと泣きじゃくる娘に必ず戻ると約束して、過酷なミッションに挑む姿を描く壮大な物語です。

『タクシードライバー』(映画)

  • 「社会的孤立を生きる青年が描かれており、自分の恵まれた境遇について考えさせられるから」
  • ニューヨークを舞台に鬱屈した26歳のベトナム帰還兵で元海兵隊員トラヴィス・ビックルベトナムというタクシー運転手の狂気を描いた作品。

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『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』(映画)

  • 「人の初志がどれほど脆く、強いかを感じる」
  • ジョークを連発するユニークな療法で人々の心と体を癒す実在の精神科医パッチ・アダムスの若き日を描いた感動のヒューマン・ドラマ。ウィリアムズお得意のユーモアで、典型的なコメディの粋を超えた作品に仕上がっています。

『リーガルハイ』(ドラマ)

  • 「大学受験にも活かせる内容だった」
  • 戦後史をわかりやすく解説しており、特に冷戦期以降の現代史を初心者にも理解しやすくまとめています。体系的に学べる構成で、受験勉強の補助教材としても実用性が高いと言われています。

4. 多読・濫読のすゝめ

ここまでの通り多くの作品が挙げられた一方で、「一冊には決められません」「多読・濫読が大事!」と回答してくれた人が多いのも事実です。実際、ジャンルやメディアを横断的に手に取ることで、以下のような相乗効果が得られます。

  • 興味の広がり:フィクションで触れたテーマをノンフィクションで深掘り
  • 思考力の複層化:倫理、歴史、科学などを多角的に学び、自分の視点を広げる
  • 学習習慣の定着:エンタメ作品で知的好奇心を刺激し続けることで、自律的学びを促進

1つの作品だけに没頭するのももちろん良いですが、たまには別の作品にも触れて、自分の価値観を広げてみてはどうでしょうか。新たな発見が生まれるかもしれませんよ!


まとめ

東大生100人の回答からは、教養書で知識と視座を広げ、漫画やアニメで思考と共感力を養い、映画やドラマで倫理や社会課題への洞察を深めるという多様な学びのスタイルが浮かび上がりました。教科書だけでは補えないテーマを物語で体験し、映像で視覚的に理解し、書籍で知識を体系化する──こうした複合的なメディア学習こそが現代の学びの醍醐味と言えるでしょう。

高校生・大学生のみなさんも、気になる作品から自分の興味を掘り下げ、学びの幅を広げてみてください。知的好奇心を育むパートナーは、教科書や参考書だけではありませんよ!

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ご質問やご相談だけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

出版編集部、メディア事業部。現在はメディアに限らず多くの学生のディレクションを行っている。大学生の頃は、空手等の武道に勤しむ。趣味はHIPHOP、アニメ鑑賞、マンガ、TCG。

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