授業力向上!魅力的な授業を作る方法

みなさんは「授業力」という言葉を聞いたことがありますか?授業力とは、先生が授業を効果的に展開し、生徒たちの学習意欲を高めたり、理解を深めたりする力のことをいいます。生徒や保護者の満足度向上にもつながり、重要な力であると言われています。この記事では授業力の重要性や、授業力を上げるためにできること、その評価方法などを、現役東大生が紹介します。ぜひご覧ください。

目次

授業力が高いとはどのような状態か

授業力が高い状態とは、単に知識を正確に伝えるだけでなく、生徒の学習意欲を最大限に引き出し、深い学びへと導く指導ができる状態を指します。具体的には、教師が生徒一人ひとりの理解度や興味関心を把握し、それに応じた多様な指導方法を使いこなせることなどが挙げられます。

例えば、生徒が主体的に考え議論するアクティブラーニングを取り入れたり、ICTツールを効果的に活用して授業をインタラクティブにしたりする能力も含まれます。また、生徒が「なぜ学ぶのか」を理解できるような、日常生活や社会とのつながりを意識した魅力的な導入や、生徒の疑問を促す質の高い発問も不可欠です。

さらに、生徒のクリティカルシンキングや問題解決能力を育むための仕掛けを授業に組み込み、知識の習得だけでなく、思考力や表現力を伸ばす支援ができることも重要です。生徒が「この先生の授業は楽しい」「もっと学びたい」と感じ、自ら学ぶ喜びを見いだせる状態こそが、授業力が高いと言えるでしょう。

授業力向上の重要性とその影響

授業力が生徒の学習に与える影響

高い授業力を持つ教師の授業は、生徒の学習意欲を向上させ、深い理解を促します。生徒は授業を通して知的な好奇心を刺激され、自ら課題を見つけ、解決する力を養うことができます。結果として、学力向上だけでなく、思考力や表現力といった非認知能力も育まれるでしょう。授業力の高い先生は、生徒が自らの力を発揮するための起爆剤となりうる存在であるといえます。

教育現場に求められる授業力とは

現在の教育現場では、知識偏重型から思考力・判断力・表現力を重視する「主体的・対話的で深い学び」への転換が求められています。これに応えるためには、教師は一方的に教えるのではなく、生徒の多様な学びのスタイルに対応し、それぞれの生徒が最大限に能力を発揮できるような授業力が求められています。

授業力改善が学校全体に与えるポジティブな効果

一人の教師の授業力が向上すると、そのクラスの生徒だけでなく、学校全体にも良い影響をもたらします。生徒が生き生きと学ぶ姿は、他の教師や保護者にも伝わり、学校全体の教育の質に対する信頼を高めます。また、教師間の連携や情報共有により、学校全体の教育レベルの底上げにつながります。

教師のキャリアアップにつながる授業力の向上

授業力の向上は、教師自身のキャリアアップにも直結します。生徒からの信頼や同僚からの評価が高まるだけでなく、自身の教育観を深め、指導力を磨くことで、より充実した教師人生を送ることができます。研究授業の機会や校内外での研修講師など、活躍の場も広がるでしょう。

授業力を評価する基準と方法

授業力の向上を目指す上で、現状の授業力を客観的に把握し、改善点を見つけるための評価は非常に重要です。ここでは、具体的な評価基準と方法について解説します。

具体的な評価指標の設定

授業力を評価するための指標は、具体的に行動や結果として現れるものであることが重要です。たとえ気持ちだけが変化しても、出力が同じであれば生徒から見ると変化はありません。「発問の質と量」「生徒の発表機会の確保」「ICTツールの効果的な活用」など、多角的な視点から指標を設計します。学校や教科の特性に合わせてカスタマイズすることも有効です。

フィードバックを活用した評価システム

生徒や他の教師など、授業を聞く人の目線からのフィードバックをもらうのが有効です。生徒からのアンケート同僚教師からの授業観察コメント自己評価などを組み合わせ、改善点と良い点を明確に伝えることで、次への具体的な行動につながります。フィードバックをもらう際は先に決めた評価指標を念頭におき、その指標に対するコメントをもらえるようにすると良いでしょう。特に生徒向けのアンケートにおいては質問設定に注意しましょう。たとえば「良い先生だと思いますか」といった抽象的な問いを出すと、生徒目線での良い教師と教師目線での良い教師に乖離(かいり)が生まれる可能性が高いです。生徒目線だと居眠りをさせてくれる教師の評価が高くなるかもしれませんが、授業力の定義から考えればそのような教師の授業力が高いとは言い難いですよね。

自己評価と授業観察の活用方法

教師自身が自分の授業を振り返る自己評価は、授業力向上の第一歩です。授業後に「今日の授業で生徒はどこまで理解できたか」「もっと改善できる点はなかったか」などを自問自答することで、客観的な視点を持つことができます。自己評価においては、達成・未達成を明確に区別できるようにすると良いでしょう。たとえば「生徒の主体性を上げる」という評価目標を「生徒全員が少なくとも一回発言できる授業にする」といった形に具体化します。この場合、事後評価は「達成した」か「達成しなかった」の二つに絞ることができ、どうすれば達成できたのかといった振り返りもしやすくなります。

生徒の成果による授業力の評価

授業力の最終的な評価は、やはり生徒の学習成果に現れます。定期テストの点数だけでなく、発表内容の質、レポートの完成度、グループワークでの貢献度など、多面的な成果から授業の効果を測ることができます。生徒の主体的な学びがどれだけ引き出されたかという視点も重要です。

授業力向上に役立つ第三者評価の導入

教育専門家や外部のコンサルタントなど、第三者による評価を導入することも有効です。客観的な視点からのアドバイスは、新たな気づきや改善のヒントを与えてくれます。特に、特定の課題解決に特化した評価を受けることで、集中的な改善が期待できます。

効果的な授業を実現するテクニック

それでは、実際に授業力を高め、生徒の心を掴む魅力的な授業を作り上げるための具体的なテクニックを見ていきましょう。

アクティブラーニングを取り入れる方法

アクティブラーニングは、生徒が主体的に学びに参加する授業形態です。グループディスカッション、ペアワーク、発表、質疑応答などを積極的に取り入れましょう。教師はファシリテーターとして、生徒の学びを支援する役割を担います。具体的な活動例を事前に用意し、生徒がスムーズに取り組めるよう促すことが成功の鍵です。また困っている生徒に対して、どうやって好奇心を引き出すような声かけをできるのかどうかも肝です。

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興味を引き出す授業設計のポイント

生徒の興味を引き出すためには、導入部分で生徒が「なぜ学ぶのか」を理解できるような問いかけや、身近な事象との関連付けが効果的です。また、動画や写真、実物資料などを活用し、視覚や聴覚に訴えかける工夫も重要です。授業全体を通して、生徒が「もっと知りたい」と思えるような仕掛けをちりばめましょう。

クリティカルシンキングを育む授業手法

クリティカルシンキング(批判的思考)を育むには、単に知識を詰め込むだけでなく、多様な意見を比較検討させたり、情報の根拠を問うような発問をしたりすることが有効です。ディベートやグループで自由に意見を出し合うブレーストーミングを取り入れ、生徒自身が論理的に思考し、自分の意見を形成する機会を与えてみましょう。

問題解決型授業の導入法

問題解決型授業は、生徒が与えられた問題を自ら解決していく過程を通して、知識を定着させ、応用力を高める手法です。現実世界の問題をテーマに設定したり、教科の内容と関連付けて具体的な課題を提示したりすることで、生徒の学習意欲を高めることができます。教師は適切なヒントを与えながら、生徒が自力で解決策を見つけられるよう導きます。

 ICTを活用したインタラクティブ授業の実施

プロジェクターや電子黒板、タブレット端末などのICT(情報通信技術)を積極的に活用することで、授業はより教師と生徒の双方向に効果的で魅力的なものになります。オンラインアンケートツールを使った意見集約、共同編集ツールでのグループワーク、シミュレーションソフトでの実験など、生徒が能動的に参加できる環境を整えましょう。

授業力を向上させるための自己研さん方法

授業力は、一朝一夕に身につくものではありません。継続的な自己研さんによって磨かれるものです。ここでは、日々の実践に取り入れやすい自己研さんの方法を紹介します。

教育研修やセミナー参加の効果的活用

教育委員会や教育関連団体が主催する研修会、セミナーには積極的に参加しましょう。最新の教育理論や指導法、他校の先進的な取り組みなどを学ぶことができます。参加するだけでなく、学んだことを自身の授業で実践し、効果を検証することが重要です。

先輩教師との授業改善プロジェクト

経験豊富な先輩教師から学ぶことは、授業力向上に非常に有効です。先輩の授業を見学させてもらったり、自身の授業についてアドバイスをもらったりする機会を設けましょう。共同で授業案を作成したり、研究授業に取り組んだりする「授業改善プロジェクト」を立ち上げるのも良いでしょう。

本や資料を用いた自己学習法

教育書や専門雑誌、論文などを読み、最新の教育動向や研究成果を学ぶことも欠かせません。特定のテーマに絞って深く掘り下げたり、さまざまな教育観に触れたりすることで、自身の授業力を多角的に見つめ直すことができます。

授業収録と見直しによる自己評価

自身の授業を動画で撮影し、後から客観的に見直すことは、自己評価の質を高める上で非常に効果的です。自分の話し方、生徒への目配り、時間配分などを具体的に確認し、改善点を発見できます。声に出して改善点を指摘しながら見直すと、より効果的です。

異業種から学ぶ授業アイデア

教育分野に限らず、プレゼンテーション、コーチング、ファシリテーションなど、異業種でのノウハウやテクニックは、授業力向上につながるヒントを与えてくれることがあります。セミナーに参加したり、関連書籍を読んだりして、多様な視点を取り入れましょう。

 授業力向上を目指す教師のコミュニティ作り

授業力の向上は、一人で抱え込むものではありません。教師同士が学び合い、支え合うコミュニティを形成することは、持続的な成長につながります。

学び合いの場としてのオンラインフォーラム

インターネットを活用したオンラインフォーラムやSNSグループは、地理的な制約なく、全国の教師とつながれる貴重な場です。授業の悩みや成功事例を共有したり、疑問点を質問したりすることで、多様な視点や解決策を得ることができます。近年はCanvaを通した教員コミュニティなどもあり、その幅は広がってきています。また弊社公式LINEでも教育に関する情報を発信しています。

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弊社公式LINE:https://line.me/R/ti/p/@413uuvkk

実践共有を目的とした地域勉強会

地域の教師同士で集まり、定期的に勉強会を開催するのも有効です。特定のテーマを設定し、各自の実践を持ち寄って共有したり、模擬授業を行ったりすることで、互いの授業力を高め合うことができます。

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全校的な授業研究会の開催方法

学校全体で定期的に授業研究会を開催することは、学校全体の授業力向上に大きく貢献します。特定の教科やテーマを設定し、研究授業を行い、その後、参加者全員で協議を行うことで、効果的な指導法について深く議論できます。

授業改善をテーマにしたワーキンググループ

特定の教科や学年で、授業改善を目的としたワーキンググループを結成することも有効です。少人数で集中的に議論し、新しい授業プランを共同で開発したり、教材を共同で作成したりすることで、実践的な授業力向上につながります。

教育専門家との連携によるネットワーク構築

大学教授や教育コンサルタントなどの教育専門家と連携し、指導やアドバイスを受けるネットワークを構築することも有益です。最新の教育研究の知見を取り入れたり、個別具体的な課題解決に向けたサポートを受けたりすることで、より専門性の高い授業力向上を目指せます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。授業力の向上は、生徒の成長に直結し、教師自身のやりがいにもつながる大切な取り組みです。本記事でご紹介したテクニック、評価方法、そして自己研さんやコミュニティ作りのヒントをぜひご参考ください。ご覧いただきありがとうございました。


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この記事を書いた人

メディア事業部、教育事業部。
旅行や地理・政治が好きな東京大学経済学部生です。

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