文科省、「スクールロイヤー」の活用を全国の教委に要請

文科省、「スクールロイヤー」の活用を全国の教委に要請
目次

助言だけではなく直接交渉も

文部科学省は3月28日、教員の負担を軽減するため、学校の問題に対して法的助言をする弁護士「スクールロイヤー」の幅広い活用を求める通知を全国の教育委員会に発しました。「スクールロイヤー」には助言やアドバイスを求めるだけではなく、重大な事態の場合には学校側の代理人として保護者と直接交渉してもらうことが適切であるとしています。

いじめや体罰など、学校現場でも法的な対応が求められるケースがあるため、弁護士会から派遣を受けるなどして「スクールロイヤー」を配置する教委は増えています。しかし、文科省の発表によると、2022年度に「スクールロイヤー」を活用した39都道府県教委のうち、保護者との直接交渉や面談への同席を依頼したのはごく一部に留まりました。

今回の通知では、保護者が限度を超えた要求を繰り返すなどした場合は「スクールロイヤーが学校や教委の立場に立った代理人として直接やりとりをすることが適切な事案もある」としています。文科省担当者は「円満な解決や教員の負担軽減のためにも、幅広く活用してほしい」と話しており、文科省は今後、具体的な運用方法を提示することも検討しています。

日本経済新聞「スクールロイヤー活用を 文科省、全国の教委に要請」2024年3月30日(最終閲覧日:2024年4月1日)

東大生の考察:専門家の介入が必要

「スクールロイヤー」とは学校の抱える様々な問題に対して法的な助言や対応を行う弁護士のことで、アメリカなどの諸外国では一般的に導入されています。日本でもここ数年で導入が進められ、2020年度からは教育委員会が弁護士に相談する際の費用を地方交付税で負担できるようになりました。

「スクールロイヤー」は学校側の代理人としてではなく、あくまで「子どもにとっての最善の利益」を最優先に活動することが期待されています。実際の事例では、いじめの訴えに対してガイドラインに沿った適切な対応を学校側に助言したり、過剰な要求を行う保護者に対して情報整理を行い自治体の相談窓口を案内したりと、その活動は多岐に渡ります。

学校内は外部の目が届きにくく、教職員と生徒の間に明確な力関係があるという特殊な環境です。そのために保護者の要求などについて合理的か不当かを判断するのが難しく、本人同士で対等な交渉を行うことは困難です。そこで、法的な紛争解決や交渉の専門家である「スクールロイヤー」を活用することで、子どもたちの利益を守と同時に、教員の負担や学校側のリスクを軽減することが期待できるのです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学法学部卒。司法試験の勉強をしていたはずが、いつの間にか麻雀プロになっていた。日本プロ麻雀協会に所属。初恋の相手はイーサン・ハント。映画鑑賞、スポーツ観戦、料理が好き。

目次