【2026年最速】東大OBが東大二次試験「英語」を解いてみた!

今年の東大入試の問題は、受験業界をかなり騒がせています。25日に行われた数学の試験問題が過去最高の難易度ではないかとうわさされたのに続き、翌26日に行われた英語もそれに並ぶほど難しいものだったからです。
東大を受験したと思われる人たちのSNSの投稿を見ても、あまりの難しさに絶望する声が相次ぎ、阿鼻叫喚の様相を呈していました。
本記事では、今年の東大英語の問題の概観と想定される出題意図、英作文の解答例、そして来年度以降の受験生に向けた対策法について解説します。

目次

各問題の概要

1(A):難

フロイトの著作に関する考察を扱った文章。第二段落の中盤以降の内容が解答の骨子になるが、抽象的な話が続いているため、どうまとめるかより内容そのものが理解できなかった受験生も多いと思われる。解答の書き出しが指定されているのは東大側の良心だと思うが、それでも難しい。ちなみに書き出しが指定された要約の問題は過去に1964年、1994年の2度あった。

1(B):やや難

人間の認知特性に関する文章で、選択肢の紛らわしさに惑わされるより、文章の後半の内容そのものを理解するのに苦労した受験生が多いかもしれない。語句整序は標準レベル。

2(A):やや難~難

「『強い』とは何を意味するか?」という抽象的な問いで、構成をどうするか悩んだ受験生が多かったと思われる。近年の英作文で抽象的、哲学的な問いのものは、2020年の「私たちは言葉を操っているのか。それとも,言葉に操られているのか。」や、2014年の「People only see what they are prepared to see.(筆者訳:人は、自分が受け入れる心づもりのできているものしか見えない。)という有名な言葉についてどう考えるか。」などがあるが、それよりもう一段難しい印象。

2(B):標準

日本語の文章の一部を英訳する形式から、英文の一部が日本語に翻訳されたものを読み、それを英語で表現する形式に変わった。例年のように日本語の機微を解釈する必要がなくなり、問題の部分も比較的英語に変換しやすい構造と語彙(ごい)だったため、難易度は標準的。ただし、新たに追加された英文の空所補充の問題はやや難しい。

3(A):標準

ドイツの教育制度についての講義。東大リスニングとしては標準的な難易度。

3(B):標準

イギリスの刑務所に関して2人が対話しているポッドキャストの聞き取り。こちらも東大リスニングとしては標準レベル。

3(C):やや難

樹皮や岩石に着生する地衣類の生態についての講義。まさに大学の授業のような論の展開で、語彙(ごい)レベルもやや高め。いかに問題と選択肢を下読みして聞く体勢を整えられたかが勝負を分けただろう。

4(A):やや難

外国人の目から見た、日本の能に関する文章。過去2年間は「文法上または内容上の誤り」を指摘するものだったが、今年は「文法上または文脈上の誤り」を指摘せよという問題文に変わった。実際に文脈上の間違いを指摘するものが3つあり、文章全体の内容を理解していないと解けないために苦戦した受験生も多かったと思われる。例年4(A)は捨て問にされる傾向にあるが、今年は他に稼ぎどころとなる大問が少ないため、ここで2~3問正解できていないと合計点はかなり下がると思われる。

4(B):やや難

資本主義社会における労働と休息のバランスについて論じた文章。訳す部分が全体的に長めで、かつ(ア)のdisconnectedや(イ)のunweavingをはじめとして、文脈に合わせて柔軟に訳すのが難しい単語や表現がそれぞれの問題にあった。

5:難

短編小説の読解。昨年と比べて出題形式に大きな変化はなかったが、文章は行間を読まないと理解できない箇所が多く、設問も難しい。特に(C)の和訳は構文が捉えづらく非常に難しかった。その他の記述や選択問題も易しいものが少なく、例年ならある程度点数を稼ぐことを見据えて時間をかける大問であるが、思うようにいかなかった受験生も多かったと思われる。

なぜ東大はこのような問題を出したのか

東京大学の今年の英語は、数学と並び「過去最高レベル」と言えるほどの難易度でした。その背景には、単なる出題傾向の変化以上の意図があると考えられます。

まず特徴的だったのは、テーマの幅広さ。認知科学、教育、生物学、伝統文化、文学(小説の読解)といった多様な分野が扱われ、しかも抽象度が高い文章も多くありました。これは単なる読解力ではなく、幅広い教養と視野を持ち、抽象的な概念を整理する思考力を測ろうとする姿勢の表れでしょう。

実際、東大は東京大学憲章において「世界的視野をもった市民的エリート」の育成を使命として掲げています。つまり今回の難化は、その理念を受験段階からより強く反映させたものと解釈できます。

さらに、2027年9月開設予定の新学部・カレッジオブデザイン(CoD)の存在も無関係ではないでしょう。この学際的・創造的な人材を育てる新学部の構想は、既存の入試にも「より広い知の基盤を持つ学生」を求める方向性を促している可能性があります。CoDは優秀な学生が東大を蹴って、海外の名門大学へ進学する近年の流れを食い止めるべく考案されたと言われています。今回の難化は、そうした流出に対し、「東大はこれだけ高い知的水準を求める」という強いメッセージを発したものとも考えられるのです。

以上のことを踏まえると、今年の英語は単なる難化ではなく、東大の理念・改革・国際競争力という複数の要素が重なった結果と見るのが自然でしょう。

英作文の解答例

先述の通り、今年の英作文は非常に抽象的な問いで、苦戦した受験生が多いと思われるので、ここで解答作成のポイントを3つのステップに分けて示します。

ステップ1

問題では“What does it mean to be strong?”( 「強い」とは何を意味するか?)と、抽象概念に対する定義を問われているので、まずは「強さとは○○である」と自分なりの考えを示すことが必要です。ここで一般的な視点を否定する文を入れておくと、客観性と説得力が増します。

例)To be strong does not simply mean having power over others. True strength lies in self-control and resilience.
(強いということは、単に他人に対して力を持つことを意味するわけではない。本当の強さは、自制心と逆境から立ち直る力の中にある。)

ステップ2

次はこの定義に対する肉付けです。具体例を示しながら、自分の考えをもう少し詳しく説明します。

例)A strong person is able to face failure without losing hope, and accept criticism without complaining. For example, a student who fails an important exam but continues to study hard instead of blaming others shows real strength.
(強い人は、希望を失うことなく失敗に向き合い、不平を言わずに批判を受け入れることができる。たとえば、大事な試験に失敗しても他人のせいにせず努力を続ける学生は、本当の強さを示している。)

ステップ3

まとめの1文で締めくくります。

例)In a world that values visible achievement, such inner strength may be more important than ever.
(目に見える成果が重視される世界では、こうした内面的な強さこそこれまで以上に重要だ。)

のように、テーマを広げて余韻を持たせるパターンもありますが、難しいと感じる人は以下のように「自分がここまで書いた解答を1文で要約する」というスタイルでもOKです。

例)In this sense, true strength is self-discipline rather than physical force.
(この意味で、真の強さとは肉体的な力ではなく、自制心である。)

東大合格のための3つの対策

東大英語は単純に語彙(ごい)や文法が理解できていれば解けるというものではなく、ある意味それができて初めてスタート地点に立てるような代物です。合格するには、以下の3つの対策が必須と言えます。

①時間配分と解く順番の戦略立て

試験時間120分のうち、リスニングの30分を除く90分を各問題にどう配分し、どの順番で解き進めるか。こうした明確な意図に基づいた戦略を立てず、単に最初から順に解いていくだけでは、ズルズルと時間を浪費して追い込まれていくだけになるでしょう。目安としては、大問5の長文にかける時間が20~25分、それ以外の大問は8~10分です。あとは解く順番も含めて、自分の得意不得意や得点戦略に基づいて調節してください。

②記述問題を6割のクオリティで逃げ切る練習

要約や英作文などの記述問題は、時間無制限で自分にとってのベストな解答を作る練習と、10分程度かけて6割のクオリティで妥協する練習の、本番を想定した2つの練習が必要です。前者は実力アップのため、後者は本番での対応力を高めるためです。

東大入試は6割の得点で合格者平均点に並ぶため、記述問題も満点が取れれば理想ですが、6割のクオリティで十分です。時間をかけても満点レベルの解答が書ける保証はありませんし、こだわりすぎると他の問題に割く時間がなくなって結果的に全体の点数が下がる恐れがあるので、普段の勉強では妥協する練習も必要です。

③リスニングで安定して10問以上正解できる実力

東大のリスニングは30分で15問。昔は記述形式の問題もありましたが、近年はずっと選択式で、〇か×かしかありません。つまり、東大入試の中で唯一かける時間も採点基準も平等な問題ということです。ここでどれだけ得点を稼げるかが合否を分けるといっても過言ではないでしょう。リスニングの能力は一朝一夕では身につかないので、毎日の地道なトレーニングが必須です。

最後に

上の3つに加えて、幅広い分野の情報に興味と関心を持ち、日ごろから知識を蓄えておくことが望まれます。東大が求めているのは、まさにそのような学生です。長文にせよリスニングにせよ、扱われているテーマに関する前提知識が少しでもあれば、内容の理解がスムーズになるでしょう。「今年は難化したから来年はきっと易化するだろう」という安直な希望は捨てて、地道な勉強に励んでください。


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この記事を書いた人

塾の教え子の受験失敗を機に30歳で東大受験を決意し、1日3時間の勉強で3年で合格。東大文学部を卒業して、現在はキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師業に携わる傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。趣味は野球とビリヤード。

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