東大の良問10問に学ぶ英語の勉強法 著者・青戸さんにインタビュー!

東大入試の特徴的な問題を読み解く人気シリーズ『東大の良問10問に学ぶ英語の勉強法』

執筆されたのは、塾講師をしながら33歳で東大に合格し、プロ家庭教師・塾講師としてキャリア15年の青戸一之さんです。今回はそんな青戸さんに、英語を学ぶ意義やこの本に込めた思いをお聞きしました!

あわせて読みたい
『東大の良問10に学ぶ日本史の思考法』著者の清野孝弥さんにインタビュー! 東大日本史の入試問題は、単なる知識の暗記ではなく、与えられた資料を読み解き、深く思考する力を求めることで知られています。この特徴的な入試問題から、現代を生き...
目次

本書について

——はじめに、この本の内容について簡単に教えてください。

本書では、東大入試の英語の問題の中から、珍しい形式や面白い内容のもので、なおかつ英語の考え方を深く学べる問題を10個取り上げ、解説しています。各章は前半が講義編、後半が演習編という構成になっています。講義編では、問題の構造を解説するだけでなく、東大がこのような問題を出題する意図についても考察しています。演習編では、どのような思考プロセスを経て解答にたどり着くのかを丁寧に解説しています。

——この本を書かれた背景を教えてください。

英語の面白さを、もっと多くの方に感じてほしいと思ったからです。

「東大の入試」と聞くと、難しい印象を抱くと思います。しかし実際に問題を見てみると、英検1級レベルの難解な単語が並んでいるわけでも、極端に長い文章が出題されているわけでもありません。その代わりに、英作文や和文英訳、リスニングなど、英語の力を多角的に問う要素がバランスよく盛り込まれています。特に、日本語での思考と英語での考え方を柔軟に行き来させる問題が多い点が特徴です。

では、なぜそのような出題になっているのでしょうか。それは、単なる技能だけでなく、英語で物事を考える力や、英語らしい自然な表現を使いこなせるかどうかが重視されているからです。つまり、英語を通してどれだけ深い思考ができるかが問われているのです。

こうした視点は、英語が得意な人にはもちろん、あまり得意ではない人や、これから本格的に学びたいと考えている人にとっても大きなヒントになるはずです。その価値を多くの方に届けたいという思いが、本書執筆の背景にあります。

——どのような基準で10問を選定しましたか。

1章から8章までは、実際の東大英語入試の出題順に沿って構成しています。9章と10章には、これまでの東大入試で一度だけ出題された珍しい問題を取り上げました。

選定にあたっては、出題意図や英語の奥深さを味わえる問題でありながら、難しすぎないものを基準にしています。英語が特別得意ではない方にも楽しんでもらえるよう、解説は丁寧に書き、各問題の和訳も掲載しています。

一方で、英語が得意な方には、まず解説を読む前に挑戦してほしいと考えています。演習編の解説についても、絡まった紐がするするとほどけていくような感覚を持ってもらえるように書いています。

著者が考える「英語を学ぶ意義」

——『東大英語10問』は、受験生以外の読者に向けても書かれていますか。

実はこの本は、受験生だけでなく、「なぜ日本人なのに英語を勉強するのだろう」と感じている人にこそ読んでほしい一冊です。

本書では東大の出題意図も大切にしています。ほぼすべての問題に共通しているのが、「コミュニケーションのための言語」という視点です。東京大学の公式Webサイトにも、出題意図として次のように示されています。

「ことば」は,人間が行うあらゆる知的活動の根幹にあります。とりわけ世界の諸地域の交流が盛んになった現代社会を生きる上では,様々な外国語の仕組みを理解し,適切に運用する能力は大きな助けとなりますし,母語や特定の文化に根ざすものの見方に縛られない柔軟な知性を身につけることができれば,自分の思考や視野の幅を広げることもできます。
東京大学公式HPより

私は、英語を学ぶ意義は、仕事や受験で使うかどうかという観点以上に、「異なるものの見方を身につける」という点だと考えています。

たとえば、英語は主語を明示する言語ですが、日本語は「察する」文化や同調の文化を背景に持ち、主語を省略する傾向があります。日本語ならいちいち「私は」などと言わなくても、「うれしい」「ああ、びっくりした」など、自分の感情をそのまま表現できますよね。

一方、英語の感情表現であるsurprise(驚かせる)やsatisfy(満足させる)のような単語は、“I was surprised.”(私は驚かされた=驚いた)のように受け身の形になります。英語は人間と人間でないものを明確に区別するため、出来事から作用を受けて人の感情が動かされたと考え、「~させられた」という形で表現するのです。こうした違いには、それぞれの民族や文化の在り方が反映されています。

国語の現代文の教科書にあるような文章でも、日本と西洋の文化差として、「自然と調和して生きるか、自然をコントロールするか」という対比がよく語られます。日本庭園が自然をありのままの姿に近い形で取り込もうとしながら構成されるのに対し、西洋の庭園は左右対称に整えられ、自然を秩序立てて配置します。こうした自然観の違いが、先ほどの感情表現の違いにも表れているように感じます。

「もったいない」という言葉も象徴的です。英語にも 「waste 無駄な」という語はありますが、資源を惜しむ心情まで含めた感覚は日本特有で、「MOTTAINAI」という単語が世界で話題になりました。
参照リンク

こうした文化的背景まで視野に入れながら言語を捉えることも、本書の大きなテーマの一つです。海外の言語を学ぶことは、その背後にある価値観や世界の見方に触れることでもあるのです。

本書の見どころ

——特に読んでほしい章とポイントを教えてください。

個人的に特におすすめしたいのは、第10章です。リスニング問題を扱っていますが、最初に日本語を聞いたあと、英語訳の正誤を考える形式になっていて、通訳試験のような少し変わったタイプの問題です。

この章の魅力は、日本語と英語の違いが端的に見えてくる点にあります。たとえば問1に出てくる「理解に苦しむ」という表現を、単純に suffer と訳してよいのか、そもそも「苦しむ」とはどのような状態を指すのか、といったことをさまざまな角度から立体的に考えることができます。

英語があまり得意でないという方は、まず第10章から先に読んでみていただきたいと思っています。日本語と英語は一対一で置き換えられるものではありませんし、これはどの言語にも共通して言えることです。その違いを面白いと感じられるようになると、英語学習そのものも楽しくなると思います。

おわりに

——この本で、読者に伝えたいことを教えてください。

多様性の時代と言われるなかで、自分とは異なる感覚や考え方を持つ人を知り、受け入れるためには、まず自分自身の視野が広くなければならないと感じています。世の中にどのような考え方があるのかを知らなければ、少し違うというだけで切り捨ててしまいかねません。

言語を学ぶことは、まさに視野を広げることだと思います。異なる価値観や発想に触れ、それを理解しようとすることが、受け入れるための第一歩になるのではないでしょうか。

もう一つ伝えたいのは、「表現力」の大切さです。英作文だけに限らず、和文英訳や和訳、さらには英文和訳の問題など、日本語でも英語でも、自分の言葉で書き、まとめる場面は数多くあります。

東大が表現力を重視しているのは、言葉がコミュニケーションの道具だからです。こちらの意図が正しく伝わらなければ、コミュニケーションは成立しません。

本書で扱っている問題は、さまざまな角度から自分の考えを英語で考えたり、日本語で解釈したりすることを促してくれるものばかりです。そうした思考の往復の面白さ、奥深さを感じ取っていただけたらと思っています。

——青戸さん、ありがとうございました!

東大の良問10に学ぶ英語の思考法 (星海社新書) 新書 – 2026/2/18 

青戸 一之  (著)

「英語の思考法」が学べる東大入試問題を堪能する

東大英語は「英語の思考法」を学ぶのに最適な題材です。東大はこれまでの入試問題を通じて、世界レベルのコミュニケーションに必要な英語とは何かを世に問いかけてきました。文法や語彙などの難易度もさることながら、センター試験(現在の共通テスト)より10年以上早くリスニングを試験問題に導入し、時には文学作品やマンガを英語で考えさせる問題を出すなど、東大は「英語をいかに使うか」を入試を通じて示してきたのです。そんな東大英語を徹底的に研究した東大卒講師が選りすぐった10問をもとに、英語の重要ポイントを詳細に解説したのが本書です。この1冊で東大レベルの英語の考え方をマスターしましょう!

あわせて読みたい
『家庭教師の技術』著者青戸一之インタビュー! 家庭教師の仕事は〝勉強を教えること〟ではない。その... 家庭教師としての、生徒との接し方が書かれた『家庭教師の技術』。 執筆されたのは塾講師をしながら33歳で東大に合格し、プロ家庭教師・塾講師としてキャリア15年の青...

公式サイトにて、カルぺ・ディエムが提供している具体的なサービスを紹介中!

カルペ・ディエムでは、学校や保護者のみなさまが抱える懸念やニーズに応える形で、講演・講座・ワークショップを提案し、それらを実施しております。

生徒の皆さんの大学選びや学部選びのワークショップ、モチベーション向上を目的とした講演、独自の探究学習授業、長期休暇中の学習合宿、難関大学合格を目指した通年プロジェクトなど、さまざまなプランをご用意しております。

私たちの講師は現役東大生で 偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠をはじめ、地域格差や経済格差などの多様な逆境を乗り越えた講師たちが、生徒の皆さんに寄り添って全力でサポートいたします。

ご質問やご相談だけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

目次