こんなテスト、制限時間以内に解けるわけがない…。
何本もの論文を一日で読むなんて無理でしょ!
そういった困りごとを感じたことがある人は多いのではないでしょうか。本記事では実際に海外で用いられる手法を織り交ぜながら、英語長文を素早く読める方法をお伝えします。
なぜ読むスピードが上がらないのか
そもそも、英語を読むのが遅い原因は何でしょうか。語彙力が足りない、英文を読むのに慣れていないなどさまざまな要因があると思います。今回はその中でも主要な理由を三つお伝えします。
「返り読み」をしてしまう
英語が素早く読めない原因のほとんどは返り読みをしていることにあります。返り読みとは、知らない単語やわからない文につまずき、その箇所を何度も読み返してしまうことです。この読み方が習慣化していると、時間がかかるのはもちろんのこと全体の流れもつかめなくなってしまいます。
文法問題や短文の穴埋め問題、和訳の問題は同じ箇所を何度も読んで丁寧に解いてもいいのですが、英語長文となるとそうは行きません。難しい箇所は後で言い換えられていたり、本文の要旨と関係がないことも多いので一度読み飛ばす勇気が必要です。
一文ごとに日本語訳をしてしまう
英文を読むのに慣れていないと、一文ずつ日本語訳をしてしまい、一段落読むのにとても時間がかかってしまいます。確かに英語の文法は日本語とは違うので慣れるまでは単語の和訳をして並べただけでは違和感があるでしょう。
頭で和訳をせず読むためのコツは二つあります。一つは、単語力を高めること。単語力とは、単語を見て意味がわかった上で、そのイメージが思い浮かんでいる状態のことです。二つ目はスラッシュ読みをマスターすることです。スラッシュ読みとは、一つの文を意味のかたまりに区切り、その部分を和訳してつなげていく読み方です。
いずれも練習が必要なので、まずはできるだけ多くの問題を解き、慣れていきましょう。
ベタ読みをしてしまう
返り読みも日本語訳もしていないはずなのに、なぜか時間が足りない。
そういう悩みを持っているひともいるのではないでしょうか。英語力は十分にあるけれど、読むスピードが上がらない一番の原因は「ベタ読み」をしていることです。ベタ読みとは、一文一文同じ熱量で読んでいく方法のこと。論説文などは主張と具体例に分かれているので、本来は主張のみをつなげていけば内容がつかめるはずなのです。つまり飛ばし読みをしなければなりません。飛ばし読みのやり方は後述しますが、この飛ばし読みの手法が身についていないと英文を早く読むのにも限度があるのです。
英語長文を早く読むための読解法
ここからは、ある程度英語が読める人向けに、さらに読むスピードを上げるにはどうしたらいいかをご紹介します。
知らない単語は無視して突きすすめ
長文読解で最低限必要なのは、無視する勇気を持つことです。時間内に解ききるためには難しい単語一つ一つに構っている暇はありません。ある単語や慣用表現、もしくは一文全てがわからなくてもいったん飛ばして続きを読むように意識してみてください。そうして最後まで読み切り、問題に取り掛かると全体像が見えてくるので、わからなかった箇所も類推を用いて意味が取れるようになります。
スキャニングを使え!
“scan”とは、書類をスキャンするという文脈でよく使われますが、「ざっと目を通す」という意味を持っています。つまり、スキャニングとは文中から必要な情報を見つけ出すために、拾い読みするようにして文章を読む方法のことを指します。
スキャニングを用いて文章を読む方法
スキャニングを用いるには、まず初めに注目する単語をピックアップしなければなりません。つまり、先に問題文を読んで必要な情報を整理する必要があるのです。これは共通テストなどの選択肢がある問題に効果的です。
注目すべき単語が決まったら、文章を流し読みしながら該当する単語を探していきます。慣れないうちは一単語しか追えないかもしれませんが、慣れてきたら言い換えた単語も追いかけられるようにしていきましょう。その単語の前後の文章や段落に問題の答えの核があるはずです。
スキミングをマスターしろ!
この単語は、カードのスキミングで聞いたことがあるのではないでしょうか。スキミングとは「すくいとる」という意味で、英語長文においては筆者の主張に関係のある箇所のみを選択的に読んでいくことです。共通テストなどの英語長文を何個も読まなければならないテストでは、一つの文章、段落中から効率よく筆者の主張を抜き出してくる必要があります。
スキミングを用いて文章を読む方法
スキミングにおいて重要なのは筆者の主張を正しく判断し、その部分を選択的に読むことです。より効率よく抽象部分を抜き出すにはいくつかのコツがあります。英語長文ならではの論理と文章中のディスコースマーカー(つなぎ言葉)を用いて、どの部分が筆者の主張なのか、もしくは主張を補強するための具体例なのかが把握できるのです。
例えば、Howeverなどの逆接のあとには筆者の主張が、For exampleなどのあとには具体例がくるといったことが予想できます。
英語の文章では、結論や主張が文章の初めに明確に記述されることが多いです。そのため、文章を読む際には第一段落と最終段落を重点的に読むといいでしょう。各段落の一文目のみを読むのも効果的です。試しに近くの英語長文の各段落の一文目のみをつなげて読んでみてください。なんとなく筆者の主張が伝わってきませんか?具体例などの余計な情報がないからこそ筆者の主張が理解しやすくなるのです。
いずれも意識して英語長文を読んでいないと身につかないので、次の勉強から気をつけてみてください。
速読を身につけるための勉強法
これまでは速読の手法について解説してきました。続いては、英語長文を速く読むために日々の勉強の中で意識しなければいけないことを解説していきます。
まずは精読をしよう
何度も「筆者の主張」という単語を用いてきましたが、そもそも主張って何?と思っている人はいませんか。
飛ばし読みはチート技ではなく、英語能力が一定以上ある人しか十分に使うことはできません。ベタ読みした時点でどこが主張でどこが具体かがわかっていないと、どの部分を飛ばしていいかわからないからです。そのため、たとえテストでは飛ばし読みを用いて文章を解いたとしても、復習の際には精読を行うようにしてください。精読とは単語や文法を確認しながら一文一文丁寧に意味をとり、文章全体の論理構造を追うことです。これは問題を解くときとは全く異なり、いくら時間をかけてもいいので懇切丁寧に行うようにしましょう。
一度読んだ英文は音読で定着!
続いて大事なのは音読を行うことです。読解と音読は関係がないように思えますが、実はとても密接に結びついているのです。そもそも頭の中で正しい単語の発音ができていないと読むスピードは遅くなってしまいます。正しい英語能力を身につけるためにも大切なのですが、それ以上に英語の論理構造を覚えこむことが必要です。
一度解いた問題は精読して意味をとり、そのあとでできるだけ速く、かつ意味を意識しながら全て音読しましょう。一朝一夕でスピードが上がるわけではありませんが、何度も練習しているうちに少しずつスピードが上がっていきます。
多読を習慣化しよう
これは受験生には少し難しいかもしれませんが、まだ受験までに時間がある高校一、二年生はぜひ取り入れていただきたいです。多読とはその名の通り、英語の物語や論説をできるだけたくさん読むこと。英語の文章なら初めは絵本のような子供向けの本でも大丈夫です。また多読に特化した本だと、その本に載っている単語数が記載されている場合もあります。少しずつ、日本語で読んだことのある本や難しい小説を読むなどレベルを上げていけばいいのです。
紹介したような飛ばし読みの技術は基本的には論説文やレビュー、チラシなどにしか使えません。小説など英語の文章を速く読めるようになるには、本場の小説に触れてみてもいいかもしれません。
おわりに
いかがでしたか。まず英語の基本である精読ができないとなかなか効果を実感しにくいかもしれませんが、一度コツをつかむとストレスなくたくさん読めるようになります。ぜひ意識してみてくださいね。
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