蛇口のレバーはなぜ『下げる』ではなく『上げる』なのか?防災から学ぶ!アカデミックマインド育成講座

みなさんこんにちは!

教育事業部アカデミックマインド担当講師の橋本匠です。
今回は、アカデミックマインドの考え方を用いて「日常に溢れる防災」について考えていきたいと思います。

「なぜこの形をしているのか」「どうしてこんなものがあるのか」など、暮らしを支えているものには、意味があります。
今回は「防災」の考え方に絞って、自然災害の多い日本でどのような発明が生まれてきたのかについて考え直していきましょう。

目次

アカデミックマインドとは?

アカデミックマインド育成講座とは?

AIなどさまざまな技術が発達する中、これからの世代に求められるのが「思考力」です。共通テストや大学入試でも「自分で考える力」が試されるようになっています。

本講座では、現役東大生と一緒に「身の回りにあふれる疑問」と「五教科の勉強」を結びつけた課題に取り組み、自ら問いを立て、仮説を作り、検証する一連の思考法「アカデミックマインド」の獲得を目指します。

勉強がより楽しく、身近な存在になるだけではなく、獲得した思考法を大学受験の問題に応用していく講座です。

実際の講義では、「問いを立て、その問いに対して仮説を立て、その仮説を検証する」ことを中心に、自分で一つの問題に取り組んで行くことを目指します。

詳しくはこちらをご覧ください。

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【講義紹介】アカデミックマインド育成講座とは? こちらの記事では、アカデミックマインド育成講座ではどのようなことを行っているのか、詳しくご紹介していきます!

「防災」と言われて思い浮かぶものは?

では、ここからは一緒に考えていきましょう!
まずは、身の回りにある防災と関係のあるものについて30秒で上げられるだけ考えてみてください。

何が出てきましたか?避難用バッグの中身を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?
水や簡易トイレ、懐中電灯などさまざまにありますね。
でも実は、「防災グッズ」以外にも防災に関わるものは身の回りに溢れているのです!

今回の記事は動画を見ながら、実際の講座をイメージできるようになっています。ぜひこちらと合わせてご覧ください。

「蛇口のレバー」は震災経験から考えられている

蛇口について考えてみよう

みなさんは手を洗いたいとき、どうしますか?おそらく、蛇口などに行って水を使うと思います。
では、今回はその蛇口に目を向けてみましょう。
え?蛇口が防災と関係あるのか??そう思いますよね。実はあるんです。
先ほどの話の続きです。

蛇口について、手を洗う時どうやって水を出しますか?
回転式の場合は回すと思います。
レバー式の場合はレバーを動かすと思います。
もしくは最近は自動で水が出てくるところも増えてきましたよね。

レバー式の蛇口。
レバーをどう動かしましたか??
レバーを上げて水を出したのではないでしょうか。でも、レバーは上げるものも下げるものもあるのになぜ「上げる」が思い浮かぶのでしょうか。

ここで「問い」が生まれます。
「蛇口のレバーはなぜ『下げる』ではなく、『上げる』なのか?」
仮説を立ててみましょう。

仮説を立ててみよう!

仮説を立てるには「これってこういうことなのではないか!」と考えることです。
それには、問いへの深掘りが必要になります。
問いを深掘りするのに必要なのは「分解」すること!

実際に問いを分解してみましょう。
蛇口のレバーはなぜ『下げる』ではなく、『上げる』なのか。
つまり、『下げる』ことのデメリット、もしくは『上げる』ことのメリットを考えれば、問いに答えられそうです。

このポイントを意識して、仮説を立ててみてください。
この際に検索など、調べることに頼ってはいけません。自分の頭だけで考えることが重要です。
ヒントは実際に使う場面をひたすら意識してみてください。

誰が、いつ、どのように、使うのか。そこにヒントがあると思います。

解説

さて、自分だけの仮説を立てられましたか?
アカデミックマインド講義では、ここから検証について深めていきますが、今回の記事では解説に入りたいと思います。

『下げる』ことのデメリット、もしくは『上げる』ことのメリットはなにか。
先述したように、ここが今回のポイントになってきます。

下げる蛇口の場合、気付かぬうちにレバーが下がったままになる可能性が上げる蛇口よりも高くなります。
たまたま手がぶつかった場合ももちろんありますし、ものが落ちた時も勝手にレバーが下がってしまいます。

そう、「ものが落ちる」。

日本において、残念ながら馴染み深いであろう地震の際に、そのデメリットが強く影響します。地震でものがおち、蛇口から水が出しっぱなしの状態。でも、住民は避難しているから誰もその水を止めることができない。それが、その地域一帯一斉に起こったら…。
阪神淡路大震災の際に、その影響で消火のための水が不足してしまったこともあります。その反省もあって、蛇口の規格はレバーを上げて水を出すように変更されたのです。

蛇口という身近なものが、実は防災と深い関わりのあるものだったのです。

終わりに

ここまで、アカデミックマインドを通して、「蛇口」という見慣れたものを問い直してきました。

実際に起きた反省を活かして進化したものや、災害時にどんなことが起こるのか予想して、発明されたものなどをいろんな工夫が込められています。
さらに、その発想から人々の暮らしを豊かにする新たなアイディアが生まれるかもしれません。今あるものが、なぜ当たり前になったのか。その部分に目を向けることが大切だと思っています。

今日は東日本大震災から13年。
私はさまざまな東北の地を訪れ、その子どもたちと触れ合い、その地域の魅力に触れてきました。
これからもその魅力を求めて行くとともに、少しでも力になれることはないか模索していきたいと思います。
東日本大震災で被災された方々に追悼の念を送ります。

また次回の記事でお会いしましょう!


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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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