新年度必見!クラスがまとまる学級目標の決め方とは?

新年度が近づいて来ました。4月になると、小学校を始めとした学校の学級担任にはとある仕事が降ってきます。そう、「学級目標決め」です。

どのようなクラスにしたいか、1年間どんな目標に沿って過ごしたらいいか、みんなで話し合って決める学級目標ですが、そのベストな決め方とは何なのでしょうか?

今回は、学級目標の決め方について、東大教育学部生の碓氷明日香が詳しく解説します! 

目次

学級目標の目的

まず、そもそも学級目標を設定する目的は何なのでしょうか。目的がはっきりしていないまま決めても、生徒たちにとっては何がなんだかよくわからないでしょう。手始めに、その目的について考えてみます。

主に、目的は2つあります。1つ目は、「みんなで意見を出し合って学級目標を決めることで、クラスの一員としての自覚を芽生えさせる」ということです。このクラスのために働く、頑張るという意識を、年度の始めに持たせることができる機会が、この学級目標の設定というわけですね。

そして、2つ目は「1年間を一つの目標に向かって団結して過ごせるようにする」ことです。1年というのは、成長して目標を達成するという意味においては短く、何も意識せずに過ごすには長い。その1年を、クラスのみんなで一つの目標を設定し、その目標を常に意識させることで、みんなで協力し合って成長する時間にすることができるのです。

つまり、目標を決める時もその後も両方大切になってくる、ということですね。理想的な目標を設定しつつ、1年間その目標を生徒の頭に置いておかせることでやっと、学級目標はその意味を成します。

学級目標の決め方

では、どのように決めていけばいいのでしょうか。ここでは、決める上での注意点と、実際の流れを説明します。

生徒だけに決めさせない

まず、注意すべきことですが、生徒だけに任せっきりにするのは避けた方がいいでしょう。「生徒のための目標だから、生徒たちだけで話し合って決めさせよう!」とやってしまいがちだと思いますが、それでは学級担任として持っている「こういう学級にしたい」という思いとズレてきてしまうことがあります。

例えば、担任としては勉強、友人関係、学校生活のそれぞれの面で目標を考えたかったのに、生徒たちだけで話し合わせてしまっては、「元気に過ごす」といった偏った目標になってしまう。こんなことがあるわけです。

生徒よりも、先生の方が大局を見ることができるのは当たり前のことです。年齢が上の分、経験が豊富ですからね。だから、先生が生徒の意見をまとめつつ、その学級にふさわしい目標を一緒に考えてあげることで、バランスのよい目標を立てることができるのです。

先生が勝手に決めない

しかし一方で、先生が勝手に目標を決めてしまうのも良い決め方とは言えません。一方的に目標を押し付けられて、守ろうという気になる生徒の方が少ないでしょう。自分たちで考えて決めるからこそ、クラスの一員という自覚が芽生え、その目標のもと頑張ろうというやる気が出てくるのです。

つまり、生徒たちだけで決めさせるのではなく、そして先生が勝手に決めるのでもなく、先生と生徒が全員で考えて話し合って決めるのが最善と言えます。

学級目標を決める理想の流れ

では、どのような流れに持ち込めば、先生と生徒で一緒に学級目標を決めることができるのでしょうか。ここでは、一つの例を紹介します。もちろん、これ以外にも方法はあると思いますが、大切なのは「全員から意見を集め」、「それをなるべく取り入れて」目標を決めるということです。先生はみんなの意見をまとめつつ、方向性を微修正するサポート役になればいいのです。それでは、この点に注目しつつ、流れを見ていきましょう。

①全員から意見を集める

まずは、全員から学級目標のもととなる意見を集めます。例えば、「どんなクラスにしたいですか?」といった質問を書いた紙を配ってアンケートを取るのです。

この時、「どんな学級目標にしたいですか?」という質問でアンケートを取るのはやめておきましょう。採用された生徒と採用されなかった生徒で差がついてしまいます。あくまでこの段階では、クラスの理想像を問うのです。

②先生が全員の意見をなるべく取り入れて目標を提案

アンケートを取ったら、一度先生が持ち帰って全ての意見に目を通してください。そして、なるべく全員の意見を取り入れて学級目標の案をいくつか出すのです。このフェーズが最も難しいでしょう。

どの意見に対しても、先生なりの解釈を目標の案に繋げて生徒に説明できるようにしておくのがベストです。みんなの意見をちゃんと見たよ、その上でこう考えてこの目標にしたんだよ、ということを表明できるからです。全員の考えを大切にしていると示すことが生徒との信頼を築く上で非常に大切になってきます。

③生徒がさらに意見を出して微調整

次に、学級目標の案を学級会で先生が提案し、それに対して生徒がさらに意見を出して微調整して最終決定します。生徒自身が話し合いに参加して決めた、という意識を持てるようにすることが大切なので、このフェーズは非常に重要です。

最終的には、多数決などを使うことになると思いますが、少数派の意見も取り入れたり、折衷案を考えたりすることも場合によっては必要になるでしょう。

④教室に貼る

そして、目標が決まったら、どのように教室に貼るかを最後に話し合います。模造紙をどのように使うか、目標の周りのデコレーションは何を使ってどのようなデザインにするか。それらが決まったら、実際に制作の時間を設け、協力し合いながら壁に貼れるようなポスターを作りましょう

魅力的な学級目標にするために

学級担任は、目標の方向性を微修正するサポート役だと述べましたが、どのような方向性に定めればいいのでしょうか。どうすれば、魅力的な学級目標にすることができるでしょうか。

前向きな言葉で構成する

大切なのは、「前向きな言葉で構成する」ということです。掟のように「〜してはならない」という否定の言葉を使った目標はやる気を損ねます。前向きで明るい意味の言葉を使うこと、否定文を使わないこと。これらを意識しましょう。

もし、生徒から否定文の提案が出たら、それを言い換えて肯定文にしてあげるといいでしょう。

みんなの願いが取り入れられている

当たり前のことですが、できるだけみんなの願いが取り入れられている学級目標が理想的です。前述しましたが、どのアンケートの回答に対しても、学級目標に繋げて説明できるようにしておくことが大事です。

そして、この「みんな」の中にはもちろん、先生も含まれています。先生の願いもしっかり込めて決めましょう。そうすることで、1年間の学級経営の道筋が見えてくるはずです。

意識しやすく、覚えやすい

もう一つ大事なのは、「意識しやすく、覚えやすい」目標を立てるということです。目標は立てて終わりではありません。そこから1年間継続して意識し続ける必要があるものです。だから、頭に入りやすい、覚えておきやすい目標にするといいでしょう。

すらっと口に出せる目標をオススメします。普段のホームルームなどで繰り返しその言葉を使うことで、みんなの頭にも残りやすくなりますからね。

学級目標の種類と例

では、実際にどのような学級目標があるのか、実例を見ていきましょう。目標の立て方には大きく4種類あります。生徒の意思も踏まえつつ、どの形が最適かじっくり選ぶようにしましょう。

スローガン型

まずはスローガン型というものがあります。目標をそのまま言語化したもの、というイメージでしょうか。

互いに助け合い、明るく、笑顔で楽しい学級にしよう
Catch a Dream
信じ合い 助け合い 友情の輪を深めよう

イメージ型

次に、イメージ型というものもあります。これは、なりたい学級の姿を何かに例えて、それを目標にする、という決め方です。

羅針盤
スケッチブック
向日葵

  

あいうえお作文型

また、何かの言葉の一文字ずつを頭文字とする言葉、文章を作って目標とする方法もあります。これがあいうえお作文型です。

Believe Enjoy Smile Try  (頭文字を繋げるとBEST)
3S  (親切、成長、信頼)
「な」にがあってくじけずに 「か」んしゃの気持ちを忘れず 「ま」っすぐゴールに向かって進もう  (頭文字を繋げると「なかま」)

熟語型

最後は、熟語型です。二字熟語や四字熟語を目標として掲げている学校、学級を見たことがあると思います。理想の人物像を意味する熟語はそれなりにたくさんあるので、クラスにぴったりのものが見つかるかもしれません。

有言実行
文武両道
質実剛健
邁進
飛翔

学級目標は学級経営の基盤

いかがでしたでしょうか。学級目標の設定目的を踏まえ、理想的な決め方について説明しました。生徒の考えに寄り添いつつ、自分の願いも合わせて素敵な目標を立てるのは、それなりに難しいことです。ですが、学級目標はその1年間の学級経営の基盤になる非常に重要な存在なのです。

決めるだけで終わりではありません。学級会の名前にしたり、学級通信のタイトルにしたりして、ことあるごとに生徒、そして先生自身がその学級目標を意識できる環境を作りましょう。また、行事の前後や学期末など、節目ごとに学級目標がどれくらい達成できているのか、振り返る機会を設けましょう。

そうやって、定期的に学級目標についてみんなで考えることで、クラス全体でその目標に近づいていくことができるのです。この記事を読んだ教員のみなさんが、来年度の学級経営を理想的にスタートできることを願っています。


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この記事を書いた人

大学では教育学部基礎教育学コース所属。世界史が好きだったことを踏まえ、教育の国ごとによる違いやその歴史に興味を持っている。趣味はアニメ鑑賞、読書。

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