※本稿は、宇野仙(著)『日本史と地理は同時に学べ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
日本史の「なぜ?」を地理の視点で読み解く
奈良時代から江戸時代にかけて、日本には「島流し」という刑罰が存在しました。
これは、時期によっては死罪に次いで重い刑罰として機能したといわれており、政治犯や殺人犯に対して、現在でいうところの「無期懲役」のような形で機能していたと考えられます。
歴史上の有名人を含め、多くの人物が流刑に処されています。後鳥羽上皇や後醍醐天皇など、が島流しされたことは日本史の授業で習った人も多いことでしょう。
では、なぜ島流しが、そこまで厳しい刑罰として扱われたのでしょうか?
1ついえるのは、当時の小島はかなり過酷な環境である場合が多かったということです。未開の地も多く、今の刑務所のように食事が提供されるわけでもありません。農業が整備されているわけでもないので、飢え死にしてしまう人も少なくなかったようです。
もちろん、身分の高い人の場合、そこまで過酷な生活を強いられることはありませんでしたが、やはり都市部の生活とは比べ物にならないほど大変だったわけです。
もう1つ考えられるのは、日本が、それだけ「社会」を重視する国だったということです。日本という国は島国であり、外国と隔絶された国家が形成されています。また、山がちな地形のため、隣の村に行こうとするだけで労力が大きい、稲作が中心のため、農業における決まり事が守られないと大変なことになってしまう、などの特徴もあります。これらの要因から、日本は「社会」が重視される国民性が育まれたといわれているのです。
これらの点を踏まえると、日本人にとって島流しは「社会からの究極の隔絶」だったのではないかと考えられます。島流しは、自力で故郷に戻ることができず、友人や家族に会うことすら叶わず、今までの社会的地位をすべて捨てることになるのです。
当時の人たちにとって、社会と隔絶されることは、死と同等の意味を持つほどのとても恐ろしいことだったのかもしれません。
このように、本書では日本史に登場する人物や出来事の「なぜ?」を取り上げ、地理の視点から読み解きます。さまざまな角度から眺めることで、学びはより深まっていくのです。
この本について
学校で、日本史と世界史と地理が大きく社会科としてくくられていることからもわかる通り、地理と歴史には密接な関係があります。
そのため、地理と歴史は科目を横断しながら学ぶことによって、相乗効果で同時に理解がより深まり、しかも学び自体も10倍楽しくなるのです。
本書では、日本史に登場する人物や出来事の「なぜ?」について、「地形・気候」「貿易・産業」「農業・工業」「人口・まちづくり」「宗教・文化・民族」という5つの地理にもとづくカテゴリーに分けて解説します。
本書が、「日本史と地理について、もっと学んでみよう」と思う人が増えるきっかけとなれば幸いです。
日本史と地理は同時に学べ!
著者:宇野仙
出版:SBクリエイティブ(2024/12/26)
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日本史と地理は、高校の科目では別々に扱われていますが、
両者にはじつは多くの「接点」があります。
本書では、日本史と地理の「接点」がある出来事や事象を取り上げて、
日本史と地理の両方の観点から解説します。
日本史と地理は、同時に学ぶと10倍わかる!!楽しくなる!!!
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