「ノートは芸術じゃない、思考の跡だ!」
新学期、気合いを入れて新しいノートやペンを揃えた新高1・高2生のみなさん。 その「やる気」が、実は「間違った方向」に向かっているかもしれません。
今回は、何も知らされず集められた東大生4名が「あえて効率の悪いノート」で授業を受け、どれだけ点数が下がるのかを実験します。
東大生たちへの「縛り」通告
日時:某月某日 9:00 場所:カルペ・ディエム 会議室
休日のオフィスに、4人の現役東大生が呼び出されていた。
彼らはまだ、自分たちの身に降りかかる「悲劇」を知らない——。


ねえ、今日って何するんですか? 「とりあえず『iPad』持って来て」としか言われてないんですけど

わかんない。でも新藤さんが人を呼ぶってなかなか珍しいよね

僕ら、来週テストあるんですけど……


ご飯とか奢ってくれるんかな
(ガチャッ)

おー、みんな集まってるね。ありがとう!



お疲れ様です。今日はどうしたんですか?

4月になるとさ、新入生が『よし、完璧なノートを取るぞ!』
って張り切るじゃん?

突然なんですか……。
まあ、そうですね

でも、その『張り切りすぎ』が逆に成績を下げる原因になってること、あるよね

あー、色ペンめっちゃ買い揃えるやつとかですね

そう。そこで今回は、『新入生が陥りそうなノートの罠』を極端にした縛りを
みんなに課して、実際に授業を受けてもらいます。
名付けて、『地獄のNGノート検証』です!

え、地獄って言いました?
新藤はその問いには答えずホワイトボードに「検証の流れ」を書き出した。
- 授業&ノート作成
僕が『将棋AIの歴史』について授業をする。
君たちは指定された『縛り』を守ってノートを取る。 - インターバル(休憩)
授業後、少し時間を空けて短期記憶を消す。 - 復習タイム(5分)
テスト直前に5分だけ時間を与える。ここで頼れるのは、
さっき君たちが作った『ダメなノート』だけだ。 - 確認テスト
100点満点のテストを実施。 - 結果発表
東大生がどれだけ成績が下がったか検証する!

どんなに授業を真面目に聞いていても、後から見返すノートが悪かったら意味がないよね。
『後から見返せないノート』を作った時点で、テストは詰むってことを身をもって検証しよう!

なるほど。自分のノートの完成度が命綱になるわけですね

その通り。じゃあ、君たちの手足を縛る『具体的なルール』を発表しようか(ニヤリ)
突如始まったノート企画、一体どうなるのか……!?
それぞれの縛り
今回、4人の東大生に課せられた「地獄の縛り」は以下の通りだ。
どれも新入生がついやってしまいがちな「間違った努力」を、極端にデフォルメしたものである。
① 多色使いの罠:中添
中添に与えられた縛りは『レインボー・アーティスト』。
ルールは「絶対に6色以上使い分けること」だ。重要語句は赤、人名は緑、年号はオレンジ……というように、情報の属性ごとに厳密に色を変えなければならない。「映えるノート」を作るため、彼は授業中、常にペンの持ち替え作業に追われることになる。

何色を使おうかな〜
②人間レコーダー:伊藤
伊藤は『人間レコーダー』となる。
ルールは単純かつ過酷。「講師が喋ったことを、一言一句すべて書き留めること」だ。
重要なポイントだけでなく、どうでもいい雑談、生徒の発言、スベったギャグに至るまで、録音機のごとく全てを文字に起こさなければならない。

なかなか難しそう……
③黒板コピーロボット:寺田
寺田は『黒板コピーロボット』だ。
ルールは「黒板に書かれたことだけを完璧に写すこと」。逆に言えば、講師が口頭だけで補足した内容や、「ここ大事だぞ」という強調は一切無視する。幾何学的な美しさで板書を再現することだけに集中する。

これ結構楽そう
でも、これやっちゃってる人たまにいそうだな……
④情報のゴミ屋敷:廣田
最後、廣田への縛りは『情報のフラット化』。
全ての情報を「同じ文字サイズ・同じ濃さ」で書かなければならない。行間も詰め、改行も禁止。どこが重要でどこが補足なのか、パッと見では全く判別できない「情報のゴミ屋敷」を作り上げる。

ちょっと難しいな、頑張って汚くするぞ


というわけで、この縛りを守りながら授業を受けてもらいます。
テーマは……ちょっとややこしい『将棋AIの歴史』です!
みんな、赤点取らないように頑張ってねー(ニッコリ)
一同「(これ、絶対終わった……)」
いざ、地獄の授業スタート!


じゃあ始めまーす。
えー、1990年代からAIは進化してまして、
2013年の電王戦では『ボナンザ』とか『ツツカナ』が登場しました。
ボナンザは重要単語です。テストで出します!
あ、ちなみにこれ、佐藤名人とか三浦九段が負けちゃったやつね

ちょっ、待って!
『ボナンザ』はソフト名だからこの色、『佐藤名人』は人名だからこの色で……
あーもう、ペン選んでる間に次の話に行っちゃう!

(無言でひたすらペンを動かし続けている)


なんか盤面出てきた


で、ここからが重要なんだけど、AIは将棋の『戦法』も変えちゃったんだよ。
スライドのこの写真を見て。
これは『矢倉(やぐら)』っていう昔からある守り方なんだけど……

やばい、盤面も黒板だから写さなければ
えーっと、こことここに「歩」があって……

その『矢倉』がね、AIの登場でボコボコにされて勝てなくなっちゃった。
代わりに出てきたのが、この『雁木(がんぎ)』とか『エルモ囲い』っていう形なんだ

(黒板には目もくれずひたすらペンを動かし続けている)

AI将棋戦法ヤグラボコボコガンギエルモ囲い評価値がすべて……

『エルモ』ってセサミストリート? キャラ名?
いやソフト由来の戦法名だから……この色でいいか?
いや、重要だからこの色?


昔はね、羽生善治さんの『マジック』とか、森内俊之さんの『鉄板流』とか、
棋士の個性が光ってたんだよ。 でもAIは計算だからさ。
『美しさ』より『数値(正解)』を優先するようになっちゃった。
これ、なんか文学的で悲しいよね〜。
あ、伊藤くんは僕のこの情熱までしっかりと書き写してね〜

(とにかくペンを動かし続けている)
〜15分後〜

はい、これで講義は終わりです! お疲れ様でした〜

一同「マジでめっちゃ疲れた……」
文面に書き起こすだけでもカオスな授業がなんとか終わりを迎えた。
4人の東大生は無駄な努力によって精神と肉体を削り取られ疲弊しまくっていた。
4人の「縛り」ノート
さて、ここで一度4人のノートの中身を見てみよう。
うまく記憶に残りにくいノートを作成できたのだろうか……
(※ノートの見せ合いの会話はテスト終了後に行っていますが、ここに載せておきます。)
レインボー中添



めちゃ見やすい!
流れもまとまってて綺麗

色使い分けは後から見やすくていいかも!
授業の記憶はあまりないけど……

見やすさも大事だけど、授業を受けた時の記憶も同じくらい大事だよね
黒板ロボット寺田



めちゃ綺麗だね

まあやっぱり板書に書かれていることだけを写すと楽だったかな。
量も少なかったし、ゆっくり書けた。
ただ、それ以外の情報は薄れつつある……
情報のゴミ屋敷廣田



なんだこれ

なんか気持ち悪いな

改行ないの嫌すぎるな

自分で見返してもなかなか気持ち悪いくらい敷き詰められてる……
記憶には残りやすかったけど、見返すときが地獄だな
レコーダー伊藤







あぁ、何もわからない

呪文?

天才の書き方してる

こうなることは正直見えてた
自分のノートに裏切られる

はい、休憩終わり!
いまから「5分間」だけ復習時間を取ります。
もちろん、教科書やスマホは禁止。
頼れるのは、さっき君たちが作った『縛りノート』だけです
一同「うわぁ……」

はい、スタート!

〜5分後〜

はい、5分経過! iPadを閉じて!
これより『将棋AI歴史・理解度確認テスト』を行います。
制限時間は15分。100点満点です。はじめ!

まずいぞ……
(カツカツカツ……)

一斉にペンを走らせる音が響く。 しかし開始1分後、教室の空気が変わった。

……ん? この問題見覚えがないな。
……えっと、新藤さんが何か言ってた記憶があるな。
でも……黒板に書いてあったっけ?

あー、これノートの右上にオレンジペンで書いたやつだ!
……いや、青だったか? 色のイメージが強すぎて、肝心の内容がボヤけてる……!
大事なのは覚えてるんだけど、『どっちが大事だったか』が混線してる!

この問題ノートの真ん中あたりに書いた記憶がある!
……けど、前後の文脈がわからん。
どの情報も並列に並べちゃったから思い出そうにも思い出せない。

…………(白目)
伊藤は既にペンを置いていた。 彼に残された武器は、授業中の過酷な労働で得た「手首の痛み」と、わずかに耳に残っている「先生の声」だけだった。

終了〜! ペン置いて!


お疲れ様。じゃあ、いまの感触(手応え)を聞いてみようか

いや、板書部分は完璧に書けましたよ。
そこは満点の自信あります。
でも……一部の問題がちょっと……記憶になくて……8割はいったと思いますけど

情報はすべてあるはずなんですけどね。探すのに時間食いました。
でもまあ、網羅はしてるんで7〜8割はいけたかな?

僕も自信あります。色は裏切らないっす。
8割後半、あわよくば満点狙えるか

なるほど。……伊藤くんは?

……記憶喪失って、こういう気分のことを言うんですね。
ノート見ても何もわかりませんでした。
耳に残ってる『先生の雑談』を頼りに埋めましたけど……

ふふふ。それじゃあ、運命の『答え合わせ』といこうか……!
運命の結果発表!
結果!
第1位:中添 88点
第2位:寺田 71点
第3位:廣田 70点
最下位:伊藤 58点
伊藤の感想

一番書いたのに、一番努力が報われなかったですねー。
正直結果はわかってましたけどね!

書くことに集中しすぎて、手は動いてたけど脳みそは止まっちゃってたね

そうですね。書くのに必死すぎて、先生の話、右から左に抜けてました……。
内容は何も覚えてないです……
中添の感想

これがカラフルノートの力だ!

ただし中添くん、君、テスト中めっちゃ顔色悪かったよ?

正直、死ぬほど疲れました。
色分けのおかげで記憶には残ったけど、『あの単語は何色だっけ?』って思い出すのに必死で。
運もありました。これ毎回の授業でやったら過労死します

点数は取れるけど長続きはしないってことだね
寺田の感想

黒板の文字を写すことに満足して、耳が死んでました……

黒板には「結論」しか書かれないからね。
テストに出る「理由やプロセス」が抜け落ちると危ないね

それは本当にそうです
板書に自分で付け足してく書き方って大事だなと実感しました
廣田の感想

うわー、微妙! ノートにはすべて書いてあるはずなんですけど……

5分っていう短い時間の中でノートの情報が整理されてないと、
必要な情報を探すのに時間がかかるよね

『どこに答えがあるか』を探すのに時間かかって、最後焦りました。
検索性のないノートは無駄ですね
まとめ:東大生がたどり着いた「最強のノート術」とは?

というわけで、今回の検証でわかった『ノートの真実』をまとめるよ!
これが「成績が上がらないノート」だ!
- すべて書こうとする(伊藤)
- 脳の処理能力が「書く作業」に使われ、「理解」がおろそかになる。結果、何も覚えていない。
- 脳の処理能力が「書く作業」に使われ、「理解」がおろそかになる。結果、何も覚えていない。
- 黒板だけ写す(寺田)
- 黒板には「結論」しか書かれない。テストに出る「理由(プロセス)」が抜け落ちる。
- 黒板には「結論」しか書かれない。テストに出る「理由(プロセス)」が抜け落ちる。
- 整理しすぎる・色を使いすぎる(廣田・中添)
- 見返すのに時間がかかったり、授業中に疲れて集中力が切れる。「継続性」がない。

じゃあ、新入生はどうすればいいか。 答えはシンプル。
『思考の痕跡』を残すノートを作ればいいんだ
明日からマネできる「思考ノート」の作り方
① 色は「3色」で十分!
- 黒: 基本情報
- 赤: 先生が「重要」「テストに出る」と言ったこと
- 青: 自分が「へぇ〜」「なんで?」と思った気づき
→ などペンを持ち替える時間を減らし、「聞く」ことに集中しよう。
② 「翻訳」して書け!
- 先生の言葉をそのまま書くな。
- 「つまり〜ということ」「要するに〜」と、自分の言葉に要約(翻訳)して書く。
伊藤くんみたいに「えー、あー」なんて書く必要はない!
③ 「余白」と「矢印」を使え!
- 黒板のコピーなんてスマホなどで撮ればいい。
- ノートの価値は「矢印(→)」にある。「Aだから→Bになった」「Aなのに→Bなのはおかしい」という因果関係をメモしよう。
- あと、後から書き足せるように余白があるくらいが丁度いい。
エピローグ

というわけで、みんなわかったかな?

新入生のみんなも、新しいノートを買ったらまずは『余白』を恐れずに、
『自分の頭で考えたこと』を書いてみてね。
そうすれば、伊藤くんみたいな悲劇は回避できるはずだ!
みんな頑張ってね〜!

この惨劇の全貌は東大カルペディエムYouTubeチャンネルでも公開予定!
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