たこやき先生かわひー(川人佑太先生)にインタビュー

みなさんこんにちは!
シリーズでお届けしている先生100人インタビュー、今回は現在大阪の通信制高校において非常勤講師をされながら、たこ焼き屋をされておられる川人佑太先生にお話を伺いました。よろしくお願いします。

目次

先生の紹介

川人先生はもともと大学の事務員として働いておられました。その後、実際に生徒と関わりたいという気持ちから教員免許を取得し、大阪市で中学校教員をされました。中学校では教科主任と学年主任を担当し、担任はしたことがないという異色の経歴をお持ちだそうです。
そして今は中学校を退職し、ルネサンス大阪高校という通信制高校において非常勤講師をしながらたこ焼き屋を経営しています。このたこ焼き屋ではnoteなどにおける大人からの支援によって4個100円のたこ焼きを子どもたちに無料で提供しています。

note(たこやき先生かわひー)はこちら https://note.com/kawahii

インタビュー

たこ焼き屋さんについて

どうしてたこ焼き屋さんを始めようと思ったのですか?

率直に、自分が子どもたちと雑談をする場所が欲しかったからです。そのような場所を作ろうと思い何が良いか考えていた時にふと「たこ焼きだ!」と思ったのでたこ焼きをやることにしました。

今たこ焼き屋さんはどのような感じですか?

子どもたちが雑談をしています。勉強をしていく子もいますし、たこ焼きを食べながら他愛もない話をいろいろして帰っていきます。僕にとっては話している内容とか意味とかというのはあまり関係なく、文脈を紡ぎ続けたいだけです。基本的には僕が雑談をしたいというただそれだけがモチベーションです。結果的に繋がりができているのであればそれはそれでいいのかなと思いますがそこに目的があるわけではないです。

たこ焼き屋さんと高校教師という二つの職業の関わりにはどのような意味がありますか?

意味はないですが、結果的には高校教師、という肩書きのおかげである程度お店は信頼を得られていると思います。

たこ焼きやの将来について考えていることはありますか?

よく聞かれるんですけど、全く考えてないですね。僕はブリコラージュという考え方をベースに活動をしています。ブリコラージュというのは目的を達成するために規格化された部品を集める「設計」とは反対に、その場で手に入るものを寄せ集めて試行錯誤しながら新しいものを作るという手法です。たとえば冷蔵庫をみて今日の献立を何にするかを考えるのもブリコラージュに近い考え方です。新しい状況に対応してまた次のブリコラージュを行うといった継続を行っていて、このようなことを今後も続けていけたらと感じています。だからゴール時点は特にないです。

探求学習について

近年盛んに語られる「探求学習」について川人先生の考え方を伺いました。

生徒からの「なぜ」という質問に対してどのように対応されておられましたか?

答えを言ってしまうケースも結構ありますね。「どうしてたこ焼き屋をやっているの?」という質問に対しては「たこ焼き屋があったほうが面白いやろ〜」といった形で回答しています。また「どうして無料でたこ焼き食べれるの?」と聞かれた時にも「ネット上でお金を払ってくれる人がいるんだよ」と答えています。あまりピンときてなさそうな時もありますがそれはそれでいいと思います。内容によっては一緒に考えてみたりすることもありますね。

子どもの疑問を導くようなことはされてますか?

意図的にはやっていないですね。ただ様々な雑談をしている中で自然に疑問が生まれてくるというようなことはあると思います。雑談というのは議論とは違ってそれ自体が目的なので、そのような中から色々な疑問が湧いてくるのは自然なことかもしれませんね。

そのような雑談のコツはありますか?

特にないですが、笑っておくといいんじゃないでしょうか。僕は結構こうニヤニヤしてますから(笑)あまりそこで困ったことはないですね。話の引き出しを増やすというのはそこまで意識していませんが、自分の専門分野(数学)に関してはだんだんと深まっていくということがあります。

これからの教育とAIについて

教育においてAIはどのようなものになっていくと思いますか?

やはりAIというのはどんどん教育にも入ってきて、それこそ教師の仕事を奪うようなことにもなると思います。AIを使った個別指導も現実味を帯びてくるものだと思います。長期記憶を有したパーソナライズされたAIとともに子どもが育っていくわけです。知能面においてノーベル賞受賞者すら凌駕するAIがもう数年で出てくるという予想もあります。そのような世界の中で『個々人が学ぶべきこと』は現時点では考えつきません。とはいえ我々は幻想の中を生きています。「考えつかない」というのも幻想かもしれません。きっとこれから先も物語を生み出し続け生きるのでしょう。その一端を教育が担うのではないでしょうか。

AI時代に大切なことはなんだと思いますか?

最終的には絶滅orユートピアorディストピアなので、機能的なアイデンティティだけではなく存在的なアイデンティティを重視することになるんだろうなと思います。それは例えば、「車の方が速く走れたとしても我々は足の裏からの跳ね返りが気持ちいいと感じるため走る」ということです。「なんで走るんですか?」「気持ちいいからです」。これは自己目的的ですね。もちろんスポーツとして物語という機能性もありますが。過渡期に関しては機能性がコモディティ化した世界で贈与的な関係性が市場原理に寄与しうるのかなと思います。それはバックエンドでは同じAIが乗っているけど、フロントとして「前もこの人に教えてもらったから次も教えてもらおう」という話です。現に今でも散髪屋を乗り換えないという話はそこに通づるものがあると考えます。

最後に

今回は「たこ焼き先生かわひー」こと川人佑太先生にお話を伺いました。独自の考えと信念の中でそれを貫いて歩いているということを感じました。改めて今回取材にご協力いただいた川人先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。関西に帰省した際にたこ焼き屋を訪問させていただきます!


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この記事を書いた人

メディア事業部、教育事業部。
学校推薦型選抜で入学し、現在東京大学1年生です。関西出身。
高校の時は放課後に地元を散歩し、地域の人と交流したりしていました(受験の前日もやっていたことは内緒)
今年の夏休みに2ヶ月かけて日本縦断(いわゆる最長片道切符の旅)をするなど、旅を趣味としています。放課後に温泉に行ったりします。
瀧廉太郎のファンです。荒城の月を目覚ましにしています。
日本の文化を次の世代へ伝承するための地方創生に向けて大学で勉強中です。

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