現代社会は、グローバル化、技術革新、価値観の多様化など、かつてないスピードで変化し続けています。このような予測困難な時代にあって、子どもたち、生徒たちが直面する課題もまた、複雑化、多様化しています。学業や進路へのプレッシャー、友人関係の悩み、SNSを通じたコミュニケーションの難しさ、変わりゆく将来への漠然とした不安など、彼らが抱えるストレスは計り知れません。
このような状況だからこそ、学校教育において、単に知識や技能を教えるだけでなく、困難な状況に直面しても、しなやかに立ち直り、前向きに適応していく力、すなわち「レジリエンス」を育むことが、これまで以上に重要になっています。レジリエンスは、子どもたち、生徒たちが自らの人生を主体的に切り開き、変化の激しい社会をたくましく生き抜くための「心の土台」となる力です。
本稿では、学校教育におけるレジリエンス教育の重要性とその意義を深く掘り下げるとともに、先生方が日々の実践の中でどのようにレジリエンスを育んでいけるのか、具体的なアプローチについて、詳しく解説していきます。
レジリエンスとは何か?未来を生きる力を支える「心のしなやかさ」
まず、「レジリエンス」という概念について、改めて確認しておきましょう。レジリエンスは、しばしば「回復力」「弾力性」「しなやかさ」などと訳されますが、心理学や教育学の文脈では、「深刻な困難や脅威、ストレスに直面した場合でも、それにうまく適応し、精神的な健康を維持・回復するプロセスや能力」を指します。
重要なのは、レジリエンスが、生まれつき持っている特別な才能や、単なる「ポジティブシンキング」「我慢強さ」といった精神論とは異なるということです。困難な状況で落ち込んだり、悩んだりするのは自然な反応です。レジリエンスとは、そうしたネガティブな感情を受け止めつつも、そこから立ち直り、状況を乗り越え、さらにはその経験から学び成長していく力なのです。風雪に耐え伸びていく若木のようなイメージです。
さらに強調したいのは、レジリエンスは固定的なものではなく、経験や学習を通して後天的に育成することが可能なスキルであるという点です。つまり、学校教育の中で、意図的に働きかけることによって、すべての子どもたち、生徒たちのレジリエンスを高めることができるのです。
レジリエンスの高い生徒は、失敗を恐れずに新しい課題に挑戦する意欲を持ち、物事を多角的に捉え、柔軟な発想で問題に取り組むことができます。また、自分自身の能力を信じる自己効力感が高く、困難な状況に陥った際には、一人で抱え込まずに周囲に助けを求める(SOSを出す)ことができます。
これらの力は、学業成績だけでなく、社会性や精神的な健康、そして将来のキャリア形成においても、極めて重要な役割を果たします。
なぜ学校教育でレジリエンスが重要なのか?
学校は、子どもたち、生徒たちが知識や技能を習得する場であると同時に、人として成長し、「生きる力」を育むための重要なコミュニティです。特に、自己意識が芽生え、社会性が発達し、将来への展望を持ち始める思春期は、レジリエンスを育成する上で極めて重要な時期と言えます。
現代の生徒たちは、学業成績や受験へのプレッシャー、友人関係の複雑化、いじめの問題、家庭環境の変化、インターネットやSNSを通じた情報過多や対人関係のストレス、そして将来への不安など、実にさまざまな困難に直面しています。これらのストレス要因は、時に生徒たちの学習意欲を低下させ、不登校や心身の不調、問題行動などにつながることも少なくありません。
このような背景において、レジリエンス教育は、生徒たちがこれらの困難やストレスに適切に対処し、乗り越えていくための具体的なスキルとマインドセットを提供します。レジリエンスを高めることは、学業ストレスを軽減し、学習への動機づけを高めるだけでなく、いじめなどの対人関係トラブルへの対処能力や、不登校からの回復力を向上させる効果も期待されます。
さらに、レジリエンスは、自己肯定感を育み、精神的な健康(メンタルヘルス)を維持・増進するための基盤となります。自分の感情を理解しコントロールする力、他者と協力し良好な関係を築く力、困難な状況でも希望を見いだし前向きに行動する力は、生徒たちが主体的に進路を選択し、社会の変化に適応しながら生涯にわたって学び続け、幸福な人生を送るために不可欠な資質です。
学校教育全体でレジリエンス育成に取り組むことは、生徒一人ひとりのウェルビーイングを高め、より良い学校文化を創造し、ひいては社会全体の持続的な発展に貢献する、極めて意義深い取り組みなのです。

今日からできる!レジリエンス教育の実践アプローチ
レジリエンス教育を推進するために、特別な時間を新たに設ける必要はありません。日々の授業、学級活動、休み時間の関わり、面談など、あらゆる教育活動の中に、生徒たちの「心のしなやかさ」を育むチャンスがあります。
ここでは、先生方が意識的に取り組める具体的なアプローチを、行動レベルのヒントとともに紹介します。
1. 失敗を恐れず挑戦できる「安心基地」を作る
生徒が「ここは安心して自分を出せる場所だ」「失敗しても大丈夫」と感じられる環境は、レジリエンスの土台です。
意見を言いやすい環境づくり
日々の授業から意見を言いやすい環境を作ることが、生徒の心理的安全につながり、さまざまなことに挑戦できるようになります。
授業中に「どんな意見でも、まずは言ってみよう」「間違ってもいいんだよ、そこから学べるから」と繰り返し伝えましょう。挙手しにくい生徒には、グループでの話し合いや、付箋・タブレットを使った無記名での意見提出なども有効です。どんな意見が出ても、まずは「なるほど、面白い視点だね」「そう考えたんだね」と受容的に受け止め、否定的に評価をする際は生徒の意見表明を妨げることにならないよう細心の注意を払いましょう。
難しい課題に挑戦した生徒には、「結果はどうあれ、チャレンジした勇気が素晴らしい!」と、そのプロセスを具体的に認めましょう。もし失敗しても、「今回の経験から、次にどうすればもっとうまくいくだろうか?」と一緒に前向きな振り返りを促すことで、少しずつチャレンジしやすい環境になっていきます。。
ルール作り・グループワークへの参加を促す
クラス目標や学級のルール、行事の計画などに生徒が主体的に関わる機会を作りましょう。「みんなで決めた」という意識が、自分たちの手で安心できる環境を守ろうという気持ちを育てます。
ペアワークやグループワーク、係活動、委員会活動など、生徒同士が互いの考えを尊重し、協力し合い、助け合う経験を意図的に設定しましょう。この時間を設定することで、自分だけでなく周りの友人とともに成長していくという考えが身につくのです。
「聞く姿勢」を大切にする
生徒が話しかけてきたら、できる限り作業の手を止め、目を見て、相槌を打ちながら話を聞きましょう。忙しくてすぐに対応できない場合でも、「ごめん、今は少し忙しいから、16時には必ず時間を作るね」と誠実な対応を心がけることが信頼につながります。
2. 自分の「いいね!」を見つけ、自己肯定感を育む
自分自身の価値を認め、可能性を信じる力は、困難に立ち向かう原動力になります。そのためには生徒に積極的にポジティブな声かけをすることが大切です。
「具体的に」褒める/期待を伝える
「頑張ったね」だけでなく、「〇〇さん、レポートの考察部分、自分の体験と結びつけて深く考えられていて感心したよ」など、具体的な行動や努力、その結果現れた良い変化を言葉にして伝えましょう。結果だけでなくプロセスも評価することが大切です。
また、生徒の可能性を信じ、「先生はいつも応援しているからね」といった温かい期待感を言葉で伝えましょう。プレッシャーをかけすぎるのは禁物ですが、適切な声掛けによって、自分は期待されているんだと自己肯定感が高まっていくのです。
「強み」発見アクティビティ
道徳や学級活動の時間に、「わたしの良いところ」「友達の良いところ」を見つけ、伝え合う活動(例:良いところ探しカード、サンキューメッセージ、他己紹介)を取り入れましょう。キャリアパスポートなどを活用し、自分の興味・関心、得意なこと、価値観などを定期的に振り返る機会も有効です。
一人ひとりに「役割」を
学級内の係活動や行事の役割分担などで、すべての生徒が何らかの形でクラスや学校に貢献できる機会を作りましょう。「自分はこの集団に必要な存在だ」という所属感や貢献感が自己肯定感を高めます。
「できた!」を積み重ねる
少し努力すれば達成できる「スモールステップ」の課題を設定したり、学習発表会や作品展示などで成果を発表する機会を設けたりすることで、生徒が「やればできる!」という成功体験を積み重ねられるよう工夫しましょう。
3. 感情リテラシーとストレスマネジメントを学ぶ
自分の感情に気づき、理解し、適切に対処する力は、心の安定に不可欠です。まずは先生自身のメンタルを保った上で、生徒の精神状況を正確に把握し、サポートしていくことが必要なのです。
生徒の感情を受け止める
生徒が怒りや悲しみなどのネガティブな感情を見せたとき、頭ごなしに否定せず、「そうか、そんなに腹が立ったんだね」と、まずはその感情をそのまま受け止めましょう。その上で、「怒る気持ちは分かるよ。でも、物に当たったり、人を傷つけたりする以外の方法で、どうやってこの気持ちを伝えたらいいかな?」と一緒に考える姿勢が大切です。
自分に心の余裕がないときはついつい中身を聞かずに解決策を考えようとしてしまいますが、まずは一度話を深く聞き、この先生は
ストレス対処法(コーピング)を教える
保健体育の授業や特別活動などで、ストレスが心や体に与える影響について学び、具体的なストレス対処法を複数紹介しましょう(例:深呼吸、ストレッチ、好きな音楽を聴く、絵を描く、散歩する、信頼できる人に話す、十分な睡眠をとるなど)。「自分に合った方法を見つけておくと、いざという時に役立つ」と伝え、試してみることを促します。
ロールプレイングで練習してみることも非常に有効です。
友人との意見の食い違い、頼み事を断りたい場面など、具体的な対人関係のシナリオを用いたロールプレイングを取り入れ、自分の気持ちを相手に伝えつつ、相手の気持ちも尊重するコミュニケーションスキル(アサーション)を練習します。
相談できる場所を知らせる
悩みの中には、担任の先生だからこそ相談しにくいこともあるはずです。その悩みを放置するのではなく、他の相談機関もあることを提示することが必要です。
教室や廊下に、スクールカウンセラーや養護教諭の相談時間・場所、地域の相談窓口(電話番号やウェブサイトなど)を掲示するなど、困ったときに頼れる場所があることを繰り返し周知し、相談への心理的ハードルを下げましょう。
4. 考えて乗りこえる「知恵」と「勇気」を養う
困難な状況を分析し、解決策を見つけ出し、実行していく力は、主体的に生きる上で不可欠です。
「問いかけ」で思考を深める
生徒が問題にぶつかった時、すぐに解決策を提示するのではなく、「どうしてこうなったと思う?」「何かできることはないかな?」「もし〇〇してみたら、どうなるだろう?」「他の方法はないかな?」といった問いかけを通して、生徒自身が多角的に考え、解決策を見出すプロセスを支援しましょう。
課題解決型学習(PBL)や探究活動の実践
教科の学習や総合的な学習(探究)の時間で、生徒が身近な疑問や社会的な課題などをテーマに、主体的に情報を収集・分析し、仮説を立て、解決策を探り、実行・評価するという一連のプロセスを経験させましょう。教師は答えを教えるのではなく、生徒の思考を促すファシリテーター役に徹します。
先生からの問いかけのみではなく、生徒同士で議論することで思考を深めることもできます。グループワークにおいて、意見が分かれた際に、それぞれの意見の根拠を明確にし、互いの考えを尊重しながら議論を進め、最終的にグループとしての結論を導き出すプロセスを経験させましょう。対立を乗りこえて協力することの重要性を学ぶことができます。

情報を正しく扱う力を養う
生徒の興味・関心、適性、価値観などを丁寧に把握した上で、さまざまな選択肢(進学先、就職先など)に関する客観的な情報を提供します。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを生徒自身が整理し、比較検討できるようサポートし、最終的には生徒が主体的に、そして納得して自分の道を選べるよう、継続的な対話を通して支援します。
生徒自身が情報を得るためには正しい情報リテラシーを持っておくことが必要不可欠です。
インターネット検索や資料読解の際に、情報の信頼性を見極める方法、必要な情報を効率的に収集・整理する方法、得られた情報をもとに自分の考えをまとめる方法などを、教科指導の中で意識的に指導しましょう。
5. 「助けて」と言える力、支え合う関係を育む
困ったときに頼れる人々の存在を知り、実際に助けを求めることができる力は、孤立を防ぎ、レジリエンスを支えます。
「わたしの応援団」を可視化する
学級活動などで、「自分が困ったとき、つらいときに頼れる人や場所」を具体的に書き出す「サポートマップ」作りをしてみましょう。家族、友人、先生、部活動の顧問、習い事の先生、親戚、スクールカウンセラー、保健室の先生、地域の相談窓口などを思い浮かべ、リストアップすることで、自分が一人ではないことを実感させます。
「助けてほしい」「相談したい」と思ったときに、誰に、いつ、どのように伝えればよいか、具体的な方法を教え、練習する機会を設けることも有効です。「相談することは決して弱いことじゃない、むしろ問題を解決するための賢明な行動だよ」というメッセージを伝え続けましょう。実際に相談に来た生徒は、温かく、真摯(しんし)に受け止める姿勢が重要です。
「ありがとう」を伝え合う
日常的に、感謝の気持ちを言葉やカード(サンキューカードなど)で伝え合う機会を作りましょう。自分が周りの人に支えられていることへの気づきを促し、温かい人間関係を育みます。
多様な出会いと協力の喜びを体験する
地域人材をゲストティーチャーとして招いたり、職場体験学習を実施したりするなど、家族や教師以外のさまざまな価値観を持つ大人と関わる機会を提供しましょう。視野が広がり、ロールモデルや将来の相談相手が見つかる可能性もあります。
体育祭、文化祭、合唱コンクールなどの学校行事や、地域清掃などのボランティア活動を通して、仲間と目標に向かって協力し、支え合うことの達成感や喜びを体験させましょう。
自分と異なる価値観を持つ人と触れ合う機会が増えることで、世の中には様々な考えを持つ人が存在し、自分の意見を表明しやすくなります。
6. ポジティブ思考と意味・目的意識の涵養:希望を見出し、前向きに進む力
困難な状況でも、その中に意味や成長の可能性を見出し、希望を持って未来に向かう力は、レジリエンスを強くします。
視点を変える練習(リフレーミング)
失敗やネガティブな出来事に対して、「この経験から学んだことは何かな?」「この状況の良い面を探してみるとしたら何だろう?」「別の見方をすればどう考えられるかな?」と、物事を捉え直す(リフレーミング)練習を促しましょう。例えば、「発表で緊張した」→「緊張したけど、準備したことは最後まで言えたね!」、「試合に負けて悔しい」→「悔しいね。でも、チームで最後まで諦めずに戦えたのは素晴らしい経験だよ」といった声かけです。
はじめはなかなか思うように進まないかもしれませんが、繰り返し練習を行うことで次第に生徒自身でも視点を変えることができるようになります。
「できたこと」「良かったこと」に注目する
一日の終わりや週の終わりに、学級日誌や個人の振り返りシートなどで、「今日できたこと」「今週頑張ったこと」「嬉しかったこと」などを書き出す時間を作りましょう。小さな成功やポジティブな側面に意識的に目を向ける習慣を育てます。
また「感謝日記」をつけたり、朝の会や帰りの会で「今日感謝したいこと」を共有したりするなど、当たり前と思っていることの中に感謝を見出す習慣を奨励しましょう。感謝の気持ちは、心の安定や幸福感を高めます。
学びの意味や目的を考える
授業や活動の導入で、「なぜこれを学ぶのか」「これが将来どのように役立つのか」といった目的や意義を生徒と一緒に考え、共有しましょう。キャリア教育と関連付け、将来の夢や目標と現在の学びを結びつけることで、学習への内発的な動機づけを高め、困難な課題にも粘り強く取り組む力を育みます。また、生徒のやる気がなくなってしまった時でも
心を動かす体験を
文学作品の読み聞かせ、美しい音楽や絵画の鑑賞、自然体験活動、スポーツ観戦などを通して、生徒の心を揺さぶり、感動や畏敬の念を抱かせるような体験の機会を提供しましょう。豊かな情操は、困難な状況でも希望を見出す感性を育みます。
これらのアプローチは、一つひとつが独立しているわけではなく、相互に関連し合っています。先生方が日々の教育活動の中で、これらの視点を意識し、生徒一人ひとりの状況に合わせて柔軟に取り入れていくことが、生徒たちのレジリエンスを効果的に育む鍵となります。
レジリエンス教育とコロナ禍
レジリエンス教育はコロナ禍をきっかけに再度注目されるようになったと言われます。コロナ禍においては学校が休校になり、部活動も活動中止となりました。コンクールや大会も軒並み中止となり、当時の中高生の中にはこれまで掲げていた目標を失ってしまった人も多くいたはずです。この記事を書いている本人も中学生の時にコロナ禍に遭いました。吹奏楽部の部長をしていたのですが、飛沫感染の観点から活動も大会も卒業コンサートもなくなりました。
このような状況のなかで「どうすればこの困難を乗り越えられるだろうか」と考える人もいました。オンラインでつないで筋トレをしていた運動部の人もいましたし、私の所属していた吹奏楽部ではZoomで音楽理論の勉強会を開いたり動画を合成して合奏風の演奏動画を作ったりしました。
しかし、この時はレジリエンス教育を取り入れている先生が少なかったと感じます。困難を乗り越えようと取り組みをしていた人はごくわずかでした。一方、その取り組みの中核にいた人や、コロナをチャンスと捉えて動いた人が今難関大学にいるとか、新しいチャレンジを進めていたりします。コロナ禍はレジリエンス力を身につけている人の強みが現れた機会であり、またその重要性を如実に示した機会であったのではないでしょうか。
教職員自身のレジリエンスとチームとしての取り組み:ともに育み、支え合う
生徒たちのレジリエンスを育むためには、まず、教育を担う教職員自身が心身ともに健康で、レジリエンスを発揮できる状態にあることが不可欠です。教職は非常にやりがいのある仕事ですが、同時に多忙な業務、高い責任、多様な関係者との調整など、多くのストレス要因を伴います。バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクも指摘されています。
教職員一人ひとりが、自身のストレス状態に気づき、適切なセルフケア(休息、趣味、運動、信頼できる人への相談など)を実践することが重要です。加えて、同僚同士が互いの状況を理解し、サポートし合える職場風土、管理職によるメンタルヘルスへの配慮や負担軽減策、相談しやすい体制づくりなど、学校組織全体での支援が求められます。
さらに、レジリエンス教育を効果的に推進するためには、特定の教師だけが頑張るのではなく、全教職員がその重要性について共通理解を持ち、それぞれの専門性や役割に応じて連携・協働していく「チーム学校」としてのアプローチが不可欠です。校内研修などを通じてレジリエンスに関する知識や指導スキルを共有し、学校全体で育成方針を明確にすることが望まれます。
そして何よりも、教職員自身が困難な状況にしなやかに対応し、前向きに職務に取り組む姿は、生徒たちにとって最も身近で力強いロールモデルとなります。教職員自身のレジリエンスを高めることは、生徒たちのレジリエンス育成に直結するのです。
まとめ:未来をたくましく生き抜く力を、すべての生徒たちへ
レジリエンス教育は、変化が激しく予測困難な現代社会において、子どもたち、生徒たちが自らの人生を主体的に切り開き、幸福に生きていくために不可欠な「生きる力」の核となるものです。それは、特別な教育課程ではなく、学校教育のあらゆる場面において、意識的に育むことができる力です。
心理的に安全な環境を基盤とし、自己肯定感を育み、感情と上手に付き合う方法を学び、問題解決能力を高め、人とのつながりの大切さを知り、希望を持って未来に向かう力を養うこと。これらの取り組みは、生徒一人ひとりの内に眠る「心のしなやかさ」を引き出し、困難を乗り越える勇気と、未来を創造する力を与えます。
先生方の教育に対する情熱と専門性、そして生徒たちへの温かいまなざしこそが、レジリエンスというかけがえのない力を育む原動力です。ぜひ、本稿でご紹介した視点やアプローチを参考に、日々の教育実践の中にレジリエンス育成の要素を取り入れてみてください。


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